結婚を経験した女性の中には、夫方の父母や義兄弟など、義理の親戚との付き合いに悩んだ経験がある人も多いことでしょう。本当の親子のように仲良くなるためには、お互いの性格が穏やかであることはもちろん、歩み寄るための“戦略”もまた必要なのだと。今回の取材から強く感じることになりました。
 

夫から騙す。これが最善策

神奈川県在住の本田舞衣子さん(仮名・35歳)。昨年11月に出産し、2ヶ月の里帰りを終えて自宅に戻ってきた舞衣子さんは、現在、とてもHAPPYな生活を満喫しているといいます。


「義理の家族のみなさんに、とても良くしていただいているんです。夫と私の食事づくりから、洗濯、掃除、買い物(費用はもちろん義父母持ち)、子どもの検診時の送り迎えまで、こちらから頼んだわけでもないのに義父母が率先してやってくれているんですよ。これからもサポートをしてくれるというので、早々に仕事に復帰する予定になっています。実家に里帰りしていたときは『もっと動かなきゃダメでしょ! 家事くらい手伝いなさい! 早く仕事に復帰したい!? なにバカなこと言ってるの!』って、逆に母から怒られまくりの日々だったので、ほんと、帰ってきてよかったです」


そんな「楽園」のような義実家があったなんて……!と、思わず驚いてしまいましたが、この楽園を手に入れるために、舞衣子さんはたくさんの布石を打ってきたのだそう。


30歳の夏に、大学院時代から付き合っていたご主人と結婚。ご主人とは、出会った瞬間に「この人なら、私を最大限に輝かせてくれる!」、そう思ったといいます。


「夫を恋人にするために何をすればいいか、まずは夫をじっくり観察しながら考えました。とても堅実で、研究熱心。話もきちんと聞いてくれるし、無駄なお金は一切使わない。ただ、性格的に、やや古臭いというか、男気っていうんですか、そういうところがあるようだったので、夫の前では『何もできないけど、がんばっている、けなげな私』を演出したんです。私は身長が低いためか、昔から「守ってあげたい」系に勘違いされることが多くて。でも、中身はけっこうガサツで、オッサンな性格なんですよ。でも、夫の前ではそういう面をすべて封印したんです」


策が功を奏し、大学でなにかと舞衣子さんの面倒を見てくれるようになったご主人。そろそろかな?とばかりに舞衣子さんから告白すると、ご主人はイチもニもなくOKしてくれたといいます。


「付き合い始めてからも『私はあなたがいないと何もできないの。あなたがいてくれるから、私は生きていけるの』的なオーラを出しまくりました。夫は今でも思っているんじゃないですかね、『舞衣子は、俺がいなきゃダメなんだ!』って。


絶対に夫には言えないんですが、実は収入も個人資産も、夫の倍くらいあるんですよ。でも家では『私はどんなに頑張っても給料が安い。○○くん(夫)は本当にすごい。結婚してよかった♡』っておだてまくっています。預金通帳などはすべて実家に隠してありますし、家計はすべてまかされているので、夫はまるで気付いてないようですけど」
 

可愛い女を演じ続けることで、夫の庇護を手中に

28歳の秋。結婚を意識したご主人からプロポーズされた舞衣子さんは、今後の対策を練りに練ったといいます。


「夫も私もいわゆる理系畑の出身で、身なりに構わないタイプが多い研究室&仕事なのですが、そうしたなかでも夫は清潔感があります。決して顔がよいわけではないのですが、女性が近寄りやすいタイプだったんです。『きちんとアイロンの効いたシャツを着てくるってことは、母親がマメなんだろうな』『6つ年上のお姉さんがいるってことは、ある程度は口を出しているんだろうな』そうとなると、確実に『姑・小姑 VS 私』になるだろうな、って。そのあたりを、どうすれば解決できるか、じっくりと考えました」


母にとっての息子。年の離れた弟。誰がどう考えても、夫は「溺愛」されているとしか思えなかったという舞衣子さん。顔合わせの日まで2週間。ご主人に対して、


「お母さまやお姉さまに気に入られなかったらどうしよう。結婚を反対されたらどうしよう。○○くん(夫)と離されでもしたら、私、どうすればいいんだろう。でも私、気に入ってもらえるようにがんばるから!」


そう訴え続けたといいます。


すると、そこは男らしい気質を持つご主人。顔合わせの瞬間から必死の形相になり「俺がいなければ何もできないかわいい舞衣子。彼女を少しでもいじめたら、たとえ母親であっても、姉であっても、絶対に許さない!」的なオーラを出しまくってくれ、姑さんや義姉さんは、その勢いに気圧されていたのだとか。


「男の人って、単純ですよね。そこが可愛いんですけど」
 

墓場まで持っていく。それこそが“策”

その後、とんとん拍子に結婚に至った舞衣子さんご夫婦。時折、文句を言いたそうにしている義母や義姉を見ることがあったそうですが、ことなきを得ずに済んでいるといいます。


「内情を知っている親友からは『アンタ、腹黒すぎ!』って言われたこともあります。でも、私だって夫に寄りかかり切りで何も努力していないわけじゃありませんから」


舞衣子さんは、義実家を訪れる機会があるたびに、“行列ができるくらい人気で、義実家の人がなかなか食べられないけど食べたがっているお菓子”を必ず準備。マイエプロンを持参し、言われる前に家事などを手伝うようにしているといいます。


「義父母・義姉の誕生日には、少しお高めのプレゼントを忘れずに贈っていますし、母の日、父の日のお祝いも欠かすことはありません。冠婚葬祭等で夫方の親戚が集まるときは、率先してお酌してまわるようにしています。こういう会合のときって、親戚のパワーバランスとか、実情とか、借金とか、そうしたものを知るためのいい機会になるんですよ。すべては情報収集のため。どんなときもぬかりはありません!」


策(という名の努力!?)が実を結んだためか、結婚から5年経った今、義母・義姉ともに、舞衣子さんのことを「本当の娘(妹)」のように可愛がってくれるようになり、文字通り「楽園」が完成したのだといいます。


「実は私、愛読書が『三国志』なんです。中でも陸遜伯言が大好きで……。あくまでも私の見解ですが、ゲームの世界でいえばザコキャラ的な扱いの人なのに、じわりじわりと頭角を現していって、気付いたときには蜀を滅ぼすくらいの軍師になっている感じが、もう本当にたまりません! 私も陸遜のように、じわりじわりと、自分の未来のために策を弄し続けるのみです」


ずるがしこく腹黒い女性と見えなくもないですが、自分が幸せに暮らせる場所を作るために、策を講じ努力してきた舞衣子さんは、まさに「禍福門なし唯人の招く所」ということわざを体現しています。


「『義母が何もしてくれない』『小姑にいじめられる』って嘆いている友人もいますが、私からしたら笑止千万。自分から何も動かず努力もしないで、『結婚して嫁になったんだから、可愛がってもらえて当然』という前提がおかしいことに気付くべきです。書類上とはいえ家族です。自分が幸せになるために、家族にも幸せになってもらいたい……そう思うべきだと、私は思っています」


人を動かすには、まず自分から――なかなかに小気味よい「策士嫁」の策。今後の活躍にも期待したいものです。