優勝候補はどの大学?第96回箱根駅伝の見どころ

いよいよ、第96回箱根駅伝(第96回東京箱根間往復大学駅伝競走、2020年1月2日・3日開催)が近づいてきました。ここでは前哨戦や、29日に行われた区間エントリー後の有力校の動向や最新情報を加味した展望を紹介します。

いよいよ、第96回箱根駅伝(第96回東京箱根間往復大学駅伝競走、2020年1月2日・3日開催)が近づいてきました。
 

ここでは前哨戦や、29日に行われた区間エントリー後の有力校の動向や最新情報を加味した展望を紹介します。
 

今回の箱根駅伝はルール等の大きな変更はありませんが、筑波大学が26年ぶり、創価大学が3年ぶりの出場と復帰組が多くなっています。特に筑波大学は第1回大会優勝校であり大河ドラマの影響からも多くの注目を集めています。出場校の内訳は前回の箱根路でシード権を獲得した10校、予選会を突破した10校、関東学生連合の計21チームとなっています。
 

シード権がないとどうなる?

シード権がある大学は、夏休み期間中(8月〜9月)に余裕を持ったスケジュールで練習を行うことができ、箱根駅伝を見据えた走り込みを行ったり、避暑地などでスピードを鍛える練習を行うことが多いです。そして、秋口に各地で行われる記録会(タイムを狙うためのレース)などに出場し、5000mや10000mで自己記録を狙い、その流れで出雲駅伝や全日本大学駅伝に挑みます。
 

一方の総合11位以下の大学は、10月に行われる箱根駅伝予選会を突破しなければ、箱根駅伝へ出場することができません。そのため、必然的に秋の大目標は「予選会通過」ということになります。
 

シード権のない大学は、夏休み期間はおおむね予選会対策に取り組まなければなりません。予選会は20kmの距離で行われるため、距離を走る練習が多くなります。
 

また、秋口に行われる記録会などにも出場しますが、そこで調子のピークを合わせすぎてしまうと、予選会本番にピークが合わせられず、予選会で本来の走りができない、というケースを何年も見てきました。記録会は予選会の選手選考を兼ねて出場するケースも多く、選手は非常に難しいスケジュールをこなすことになります。


今年の予選会では、次点の麗澤大学がボーダーラインから36秒差のところまであがってくるなど、新鋭校も力をつけています。また立教大学は予選会23位でしたが今シーズンより本格的に強化を開始。来年度から有力な新入生も集まり、今後の強化がどんどん進む、との話も聞きます。


このように、次回の予選会では出場権をめぐる争いはさらに激しくなることが予想されるため、2020年の箱根駅伝でシード権を獲ることはとても重要になります。
 

2020年の箱根駅伝、優勝候補は?

最大の注目は東海大学が箱根駅伝2連覇達成なるか、という点であるといえます。現在の4年生は高校時代の実力者揃いであり、入学前より「黄金世代」といわれてきました。最終学年を迎えた今シーズン、出雲駅伝・全日本大学駅伝・箱根駅伝の「三冠」の有力候補でしたが、初戦の出雲駅伝で4位。全日本大学駅伝ではメンバーを入れ替え、優勝。箱根駅伝の区間エントリーを見た段階でも隙の無い布陣になっていると感じます。
 

対抗として考えられるのは青山学院大学、駒澤大学。そのほかにも往路で主導権を握りたい東洋大学、國學院大學。後半までもつれたら帝京大学にも可能性があるのではないかと考えられています。詳しくは次の通りです。
 

●東海大学(第95回箱根駅伝1位、出雲駅伝4位、全日本大学駅伝1位)

エントリーメンバー発表(12月10日)の段階で主力数人の欠場があったものの、それを感じさせないほどの選手層の厚さが東海大学の武器です。それは区間エントリー(12月29日)においても同様で、当日に変更可能な補欠選手に主力選手が多すぎる印象を受けましたが、現状のエントリー選手でも十分に優勝争いができそうな布陣となっています。

1区鬼塚翔太選手(4年)、3区西川雄一朗選手(4年)、5区西田壮志選手(3年)は前回大会も区間上位で走っており、往路で勝てずとも、ある程度の差で終われば8区小松陽平選手、10区郡司陽大選手(ともに4年)らが控える復路で逆転もできる、という計算でしょう。
 

●青山学院大学(第95回箱根駅伝2位、出雲駅伝5位、全日本大学駅伝2位)

前回大会から大きくメンバーが入れ替わった青山学院大学。箱根駅伝経験者4名というフレッシュな顔ぶれとなっています。2区には出雲駅伝・全日本大学駅伝とエース級の活躍をしている岸本大紀選手(1年)がエントリーされており、3区鈴木塁人選手(4年)とセットでどこまで上位に進出できるかがポイントとなるでしょう。5区飯田貴之選手(2年)は前回8区区間2位の実績を持ち、初の5区に挑みます。補欠選手となっている吉田圭太選手(3年)の往路起用があるかにも注目です。
 

復路は現状では上級生の起用が多くなっています。6区谷野航平選手、7区中村友哉選手(ともに4年)はトラック競技でタイムを伸ばしており、もし先頭にいるのであればこのあたりで勝負を決めたいところでしょう。
 

●東洋大学(第95回箱根駅伝3位、出雲駅伝3位、全日本大学駅伝5位)

総合優勝のためには往路の主導権を握ることが必須であり、その狙いが表れたエントリーとなりました。1区西山和弥選手(3年)、2区相澤晃選手(4年)、3区吉川洋次選手(3年)のエントリーは強力。できればハイペースの展開に持ち込み、後続を引き離したいところです。4区渡邉奏太選手(4年)は長らく故障に悩まされていましたが、3年ぶりの箱根駅伝でどこまで走れるかに注目です。5区は宮下隼人選手(2年)を起用。今シーズン急成長の選手で関東インカレ(1部)ハーフマラソン2位の走力も兼ね備えています。
 

6区は区間賞候補筆頭の今西駿介選手(4年)。3年連続出場となり、6区で優位にたてるのは大きなアドバンテージとなるでしょう。復路のエース区間9区には定方駿選手(4年)をエントリーしていますが、できれば6区までに差を広げて逃げ切りたいところでしょう。
 

●駒澤大学(第95回箱根駅伝4位、出雲駅伝2位、全日本大学駅伝3位)

駒澤大学も総合優勝の可能性が十分にあるチームです。


1区に中村大聖選手(4年)をエントリーし、どういった展開になっても区間上位で走るでしょう。3年連続2区となる山下一貴選手(4年)、2年連続5区の伊東颯汰選手(3年)、2年連続6区の中村大成選手(4年)など、ポイントとなる主要区間に区間上位実績のある経験者をエントリーできた点が強み。加えて補欠選手となっている田澤廉選手(1年)の起用区間次第では往路優勝の可能性も。復路は箱根駅伝実績者という点で少し劣るものの、ハーフマラソンの実力者揃いです。とはいえ、優勝するには6区あたりで決定的な差を付けたいところです。
 

●帝京大学(第95回箱根駅伝5位、出雲駅伝7位、全日本大学駅伝8位)

前哨戦で奮わなかったことから評価を落としていますが、ハーフマラソン1時間2分台の選手を5名擁しており、距離の長い箱根駅伝のほうが上位にくる可能性があります。例年出遅れ気味の往路序盤と5区を凌げれば、復路で大いに巻き返しも可能だと思われます。2区星岳選手(3年)、5区平田幸四郎選手(4年)の走りがポイントとなるでしょう。
 

復路は出雲・全日本不出場の島貫温太選手(4年)が前回大会同様6区に入るなど、経験者を多くエントリー。9区・10区にも実力者をエントリーし、終盤の競り合いになったときに魅力を感じます。
 

●國學院大學(第95回箱根駅伝7位、出雲駅伝1位、全日本大学駅伝7位)

他校が往路重視のエントリーにしているのは國學院大學を大差で逃したくないためだと思われます。前回1区区間10位の藤木宏太選手(2年)を補欠選手としていますが、往路主要区間での起用が濃厚でしょう。2区土方英和選手、5区浦野雄平選手(ともに4年)など前回往路3位の原動力となった選手たちの走りで、まずは初の往路優勝を大差で狙いたいところ。
 

復路は箱根駅伝初出場のメンバーをエントリー。有力校の顔ぶれと比較すると爆発力は無いかもしれませんが、復路を先頭でスタートすれば、そのままリズムよく逃げ切れるかもしれません。

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