高校野球の悪しき文化かもしれない?投手の連投問題

日本の学生スポーツの中でも毎年、ダントツで盛り上がりをみせているのが高校野球。春の
センバツ大会、夏の甲子園大会とともにNHKらで連日放送される中で素質溢れる球児たちが活躍する姿に多くの人々が熱狂してきました。毎年盛り上がりを見せる中で、問題となっていたのが投手の球数問題です。

 

2018年夏の甲子園大会を通して881球投げた吉田輝星(写真:岡沢克郎/アフロ)



投手にとって肩は消耗品とはプロ野球の世界でも言われていることですが、成長途上の高校生もそれは同様で、投げ続ければそれだけ故障のリスクは高くなります。未来ある球児の今後が掛かるだけに故障を避けるためにも途中で降板させたいと思っても、一発勝負の舞台でなかなか割り切れないという難しい問題があります。

そもそも、高校野球の歴史を紐解くとひとりの投手が決勝まで投げ切ることはよくある話で「連闘こそが高校野球の華」という向きもありました。
 

球児の肩を守る新制度が誕生

そうした認識にメスを入れるべく、11月に高校野球連盟はひとりの投手が投げられる投球数を制限。2020年の春のセンバツ大会からは1週間で500球以内(登板中に達した場合は打者との対戦が完了するまで)、それ以上投げることを認めないとしました。さらに球数だけがかさむ敬遠も申告制を導入。投手の肩や肘を守ろうという動きが明確になりました。

ただし、この1週間500球という制度、球数には明確な理由があるわけではないのでイマイチその信ぴょう性がないのでは?という声も挙がっています。そこで過去の投手の甲子園大会での投じた球数の影響はどうだったのでしょう?
 

登板過多が球児の肩・肘に影響!?

検証したのは1990年以降の夏の甲子園大会で投球数の多い投手たち。高校を卒業した後にプロ入りした選手たちも数多くいますが、どのような成績を残しているのでしょうか?

年度 選手名 高校名 投球数 高校卒業後の進路 プロ入り通算成績
2006年  斎藤佑樹 早稲田実業  948 早稲田大学→日本ハム 88試合登板15勝26敗 防御率4.34 
2018年 吉田輝星 金足農 881 日本ハム 4試合登板1勝3敗 防御率12.27
1997年 川口知哉 平安 820 オリックス 9試合登板0勝1敗 防御率3.75
2014年 今井重太朗  三重 814 中部大
2010年 島袋洋奨 興南 783 中央大学→ソフトバンク  2試合登板0勝0敗 防御率0.00


上記の5名のうちプロ入りしたのは4名、うち3人はドラフト1位指名と高く評価されていましたが、プロ入り後の結果は散々。しかもプロ入りした投手4人のうち、今季がプロ入り1年目だった吉田輝星を除くと、全員が高校卒業後に肩や肘を故障した経験を持っています。

ちなみに表には入りませんでしたが、島袋洋奨と1球差となる782球を高校3年の夏の大会で投げたのは松坂大輔。プロ入り後も活躍しましたが、彼もまたメジャー移籍後にトミー・ジョン手術を受け、その後は故障に苦しみました。高校時代の投球過多との因果関係は不明ですが、投げ過ぎが故障の遠因になったとも言えるでしょう。
 

今後の高校生投手はどうなる?

いかがでしたか? 図らずとも投球数の多かった投手たちはその後故障に見舞われるケースが多く見られます。高校野球のこの改革が今後の高校球児たちにどのような影響を与えるか…来春のセンバツ大会から導入されるので、注目してみるのもいいかもしれません。