ここからスターが生まれる!?ワールドトライアウト2019本戦レポート!

「すべての野球選手たちにチャンスを与えたい」として、株式会社ワールドトライアウトが公開トライアウトを初開催。プロ野球史にその名を残す伝説のスラッガーを監督として招き入れるなど注目度満点のトライアウトがいよいよ本戦を開催。その様子をレポートします。

注目は監督だけじゃない!?

会場となった明治神宮球場

清原和博が監督を務めるとして注目を集めているワールドトライアウト。11月7日に行われた予選も注目を集めましたが、その予選などを通過した選手や元メジャーリーガー、さらに今季までNPBでプレーした選手たちなど、実績抜群の選手たちが明治神宮球場へと集結しました。

午前と午後に1試合ずつの試合を行うスタイル。この試合に出場する選手のオーダーを決めるのが、監督である清原氏の仕事となります。
 

試合前のシートノックを打つ片岡篤史氏


さらに打撃コーチとして日本ハム、阪神で活躍した片岡篤史氏、投手コーチには巨人などで活躍した入来祐作氏を招聘。NPBが開催する合同ドラフト顔負けの目が離せないトライアウトとなりました。
 

Youtuberが好投を見せる!?

開門と同時に飛び込んできたファンの方々。バックネット裏の最前列はあっという間に満員に



午前9時。いよいよ神宮球場に観客が入場します。予選でも300人以上の観客が集まりましたが、この日はその数倍という観客が開門と同時に駆け込んできました。監督を務める清原氏の姿を一目見ようと応援グッズを携えた熱心なファンも多く見られました。

予選を通過した選手たちに加え、元NPBの選手が4名、そして外国人選手の5名が合わさり、合計26名の選手がこの日のトライアウトに参加。午前中の試合に出場することになりました。

第1試合のルールは以下。
・試合時間90分
・野手の選手はレッドチャレンジャーズもしくは、ネイビーウォリアーズに属する
・投手はどちらのチームにも属すことなく、打者との対決のみ
・投手の投球数は15球まで。打席途中で15球に達した場合はその打者との対戦が終わるまで
・試合時間によって最終イニングが決定。残り30分になると2ボール0ストライクからスタート
 

第1試合の出場選手たち。打順は清原氏が決定しました


第1試合、とりわけ目立ったのが投手として出場した箭内翔太選手でした。

サイドハンドから小気味いい投球を見せる箭内翔太選手。投手に転向してわずか2年というのだから驚きです



今季は四国アイランドリーグの徳島インディゴソックスに在籍し、予選でも好成績を残していた投手。動画配信サイトYoutubeで「qooninTV」というチャンネルから動画を配信しているYoutuberでもあります。この試合では5人目の投手として登場し、3人の打者を相手に2奪三振を記録。最速は138キロ止まりでしたが、鋭い変化球を駆使して打者を翻弄する姿は非常に印象に残りました。

一方、打撃面でアピールしたのは岡本仁選手。この日は清原氏をはじめ、PL学園の先輩たちが一堂に会したことで予選会以上に気合いが入ったのか、ライトへのスリーベースヒットをはじめとした長打も連発し、大きくアピールしました。
 

打席に向かう前の岡本仁選手。プロテクターにはPL学園時代の先輩である吉川大幾のものを譲り受けて使用していました


 

休憩後、トークショーに現れたのは?

休憩後には清原氏のスペシャルトークショーを開催。その相手となったのはなんと東尾修氏でした。清原氏とは現役時代はもちろん、監督と選手として2年間プレーしたことがあるなど旧知の仲である2人。
 

東尾修氏と並ぶ清原和博氏。「お腹が出てるな!」と清原氏の腹部をさするシーンも



当時の西武ライオンズでエース投手として活躍していた東尾氏は、PL学園で大活躍を収めてプロ入りした清原氏からしたら兄貴分ともいうべき選手です。「キヨが門限破りをしたときに課せられた罰金の減額の交渉をしに行った」など、当時を振り返るトークで会場を大いに沸かせてくれました。

清原氏の印象深いエピソードとして語ってくれたのが1986年の日本シリーズ。実は第1戦目で自打球を当ててしまい、左足の親指を骨折するというアクシデントがあったものの、痛み止めの注射を打つなどして耐えて、史上最多となる8戦目までフル出場するなどそのタフネスぶりに驚いたそう。最後まで和気あいあいとしたトークで楽しませてくれました。
 

元NPBの選手たちが意地を見せる!

トークショーとそのあとのホームラン競争のあと、第2試合が行われました。

若干ルールが変わり、以下のような形。
・試合時間は2時間30分
・試合時間によって最終イニングを決定する
・投手は打席には立たない

午前中の試合とは異なり、投手もどちらかのチームに属する形となり、チーム対抗戦としての色合いが濃くなりました。

ここから午前中には登板のなかった元NPBの投手たちと外国人選手が参戦。高木勇人選手とカイル・ハルボーン選手による投げ合いで試合が始まりました。

よりハイレベルな戦いが繰り広げられることになりましたが、ここで意地を見せたのが西武を退団したばかりの高木選手。
 

投球練習中の高木勇人選手。抜群の切れ味を誇る変化球は健在でした



今季は0勝に終わりましたが、巨人時代の2015年には先発ローテーション入りして9勝を挙げた実力派です。この日の直球の最速こそ140キロと抑え目でしたが、その分シュートやカーブなどの変化球がキレキレ。筆者はバックネット裏から見ていたためその軌道がよく見えたのですが、ボールは打者の手元で大きく変化して2イニング7人に対してノーヒット2奪三振という快投を見せました。

この高木選手の投球に火が付いたのか、高木選手の所属するレッドチャレンジャーズはその後打線が爆発。元中日の友永翔太選手らの長打が飛び出しました。試合は時間の関係で6イニングまでで終了しましたが、結果は10対2で相手チームを圧倒しました。

 

ヒットで出塁する友永翔太選手。観客席で見守る家族の前で活躍を収めました


 

MVP&MIPは誰の手に?

白熱したトライアウト本選も終わり、監督を務めた清原氏からMVPとこの日集まった観客からの投票で決まるMIP選手の発表。

MVPに輝いたのは第2試合で群を抜く好投を見せた高木選手です。インタビューでは「ただ一生懸命に投げた。その結果が良かった。自分より若い人がいっぱいいて、すごく刺激になった」と声援を送るファンにそう話してくれました。そんな高木選手は今後、メキシカンリーグへの移籍を目指しているということで、今後のチャレンジのための資金として、MVPの特典であるクラウドファンディングで集めた資金から支援を受けることになりました。
 

MVPを獲得した高木勇人選手(中央)。今後はメキシカンリーグへの移籍を目指しています



そしてファンからの投票によって決まるMIPには箭内選手とナッシュ選手がダブル受賞。彼らもまた、クラウドファンディングで集めた資金をもとにチャレンジを続けていくことになりました。
 

インタビューに答える箭内翔太選手(左から2番目)。自身のYoutubeチャンネルの告知も欠かしませんでした


 

「本当は70番を付けたかった」清原氏の思いとは

すべてのトライアウトが終了後、神宮球場の記者席にて清原氏が記者会見。自身の球界復帰の思いやこの日の感想などを語ってくれました。特に印象深かったのが「監督ということだったので本当は70番を付けようかと思ったんです」というコメントです。
 

インタビューに答える清原和博氏。故仰木氏への思いが満ち溢れていました



清原氏の背番号と言えば、西武時代は3番、巨人、オリックス時代は5番を付けていたため、70番は一見、縁がないように感じる番号。それだけに不思議に思われる方もいるかと思いますが、その理由に清原氏は自身の恩師としている故・仰木彬氏への思いを語ってくれました。

「自分も(トライアウトに参加した選手たち)彼らのように野球ができない状況になった時があった。その時、拾っていただいた仰木監督の70番をつけてみたかった」。今後は仰木氏のような指導者としてNPBの舞台に戻ることが目標と語ってくれました。

もしかすると近い将来、このトライアウトを受けた選手たちはもちろん、清原氏もNPBへの復帰があるかもしれません。

ワールドトライアウト公式サイト

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