すでに卒業後の鹿島入団が内定

日本代表の森保一監督は、6月から7月にかけてブラジルで開催されるコパ・アメリカ(南米選手権)に東京五輪世代を中心としたメンバーで臨む決断を下した(※)。
 

GK川島永嗣とFW岡崎慎司の両ベテランが選出され、森保監督のもとで主力と位置付けられるMF柴崎岳や中島翔哉が選出された一方で、発表時に日本代表として国際Aマッチに出場したことのない選手が、23人のメンバーのうち17人を占めることとなった。
 

そのひとりがストライカーの上田綺世(うえだ あやせ)である。
 

茨城県出身の彼は、中学時代に鹿島アントラーズの育成組織に在籍していた。しかし、高校生チームへの昇格は果たせず、鹿島学園高校から法政大学へ進学し、レベルアップをはかっていった。
 

上田綺世(写真:JFA/アフロ)

法政大学では1年時から出場機会をつかみ、2018年から活動をスタートさせた東京五輪世代のチームにも招集されていく。3年への進級を控えた今年2月には、卒業後のJ1リーグ・鹿島アントラーズ入団が内定した。国内タイトルをもっとも多く獲得し、日本代表を絶えず輩出している名門が認めたストライカー、と言っていいだろう。
 

先発でもジョーカーでも機能する

ペナルティエリア内での高い決定力が上田の持ち味だが、東京五輪世代での活動では違った特徴も浮かび上がる。途中出場でしばしば得点をあげているのだ。
 

昨年8月から9月にかけて開催されたアジア競技大会では、決勝トーナメント1回戦のマレーシア戦と準決勝のUAE戦で、後半途中から起用されて決勝ゴールをマークした。また、今年3月のアジアサッカー連盟U-23選手権予選(※2)でも、全3試合に途中出場してそのうち2試合で得点を決めている。先発としてだけでなく、交代カードの切り札(ジョーカー)としても期待できるのだ。
 

コパ・アメリカのFW陣は岡崎と上田、それに同じ東京五輪世代の前田大然の3人だ。経験豊富な岡崎を軸にグループリーグの3試合を戦っていくかもしれないし、試合間隔が中2日か中3日と短いことを考慮して、試合ごとにスタメンを入れ替えることも想定される。
 

いずれにせよ、3人のFW陣にはフル稼働が求められる。先発でも途中出場でもピッチに立つ機会がありそうだ。
 

大学生が日本代表に選ばれるのは、2010年1月の永井謙佑(現名古屋グランパス)と山村和也(現川崎フロンターレ)以来、およそ9年半ぶりだ。当時も若手中心で戦うチーム編成によるもので、選出の背景としては今回と似ている。
 

ともあれ、日本代表として戦うことに変わりはない。大学生だからと言って、評価の判断基準が下がるわけでもない。
 

ウルグアイ、チリ、エクアドルとグループリーグで対戦するコパ・アメリカをきっかけとして、上田は日本代表に定着できるか。キュートな印象を与える名前の持ち主は、南米の強豪に果敢に挑む。
 

※1)南米の代表チームナンバー1を決めるコパ・アメリカは、アジア地区の日本代表にとっては公式戦に当たらない。このため、選手の招集には基本的に所属クラブの承諾が必要で、国内ではJリーグも中断しないことから、森保監督は東京五輪の出場資格を持つ現時点で22歳以下の選手を中心にチームを編成した。五輪のサッカー男子競技は、開催年に23歳以下の選手に出場資格がある。そのほかに、年齢制限のないオーバーエイジを3人まで登録できる。
 

※2)来年1月にタイで開催される東京五輪アジア最終予選の一次予選。日本は最終予選の結果に関係なく、開催国として東京五輪に出場する。