復活は1度だけ?カムバック賞受賞選手のその後

2018年のプロ野球界で最も注目を集めた投手の1人とも言える松坂大輔。かつての球界のエースが中日で復活し6勝を挙げ、見事にカムバック賞のタイトルを獲得しました。そうしたカムバック賞受賞者の翌シーズンはどんな成績を残しているのでしょうか?

平成最後のシーズンに復活を遂げた平成の怪物

2016年オフシーズンにプエルトリコウィンターリーグに参加した松坂大輔(写真:アフロ)


昨シーズンのプロ野球界で最も注目を集めた投手の1人と言える松坂大輔。かつて平成の怪物と称された球界のエースもメジャーリーグからの復帰後は故障に苦しみ、2015年から在籍した福岡ソフトバンクホークスでは3年間で一軍登板はわずか1度のみ。それも1イニングだけの登板だったため、中日ドラゴンズへテスト入団を果たした際、「終わった投手」と見られていました。

ところが、いざシーズンが開幕すると、長年の経験に基づいた技巧派なピッチングでセ・リーグの打者たちを翻弄し、11試合に登板して6勝4敗、防御率3.74という成績をマーク。ファン投票で選出されたオールスターゲームでは第1戦の先発投手を任されるなど、人気は未だに衰えていないことを証明しました。

華麗な復活を遂げた松坂は2006年以来、12年ぶりのタイトルとなるカムバック賞を受賞。この賞は日本プロ野球機構が1974年から制定したもので、前年まで不振に喘いだり故障で苦しんでいたりする選手が復活した際に与えられます。

気になるのは歴代受賞選手たちのその後。復活を遂げた選手はそのままかつての力を取り戻すのか、それとも他球団に研究されてスランプに陥り去っていくのか……そこで各受賞選手の翌シーズンの成績を調べてみました。
 

先発投手は翌年以降も活躍するケースが目立つ

検証したのは松坂大輔を除く直近の10選手。ちなみに投手6人、野手4人という結果でした。まずは松坂と同じ投手の成績を見てみましょう。
 

カムバック賞受賞年の成績 翌シーズンの成績
受賞年 受賞者(球団名) 登板 勝利 敗北 セーブ ホールド 防御率 登板 勝利 敗北 セーブ ホールド 防御率
2001 成本 年秀 (阪神) 45 3 1 20 2.34 一軍登板なし
盛田 幸妃 (近鉄) 34 2 0 0 7.06 2 0 0 0 0.00
2003 平井 正史 (中日) 40 12 6 0 3.06 38 5 6 5 3.93
2012 大竹 寛 (広島) 24 11 5 0 0 2.36 25 10 10 0 0 3.37
2015 館山 昌平 (ヤクルト) 11 6 3 0 0 2.89 10 1 4 0 1 7.24
2017 岩瀬 仁紀 (中日) 50 3 6 2 26 4.79 48 2 0 3 10 4.67

※球団名の表記は当時のものを参照

各選手の成績を見ると、成本、盛田、岩瀬らのリリーフ型の投手は酷使が祟って成績が低下していますが、先発型の投手は翌年以降も活躍するケースが目立ちます。ちなみにリリーフの3投手はこの翌年に全員チームを去っているところも面白い共通点です。

一方、先発投手として2桁を挙げている平井や大竹は翌シーズンも堅調。平井はカムバック賞受賞翌年の2004年からセットアッパーに転身し、2015年まで現役で投げ続け、中日が日本一に輝いた2007年も頼れる中継ぎエースとしてチームに大きく貢献しました。

これを見ると、松坂の2019年シーズンも安泰と言えるでしょう。
 

抜群の安定感を誇る野手陣

続いては野手の4人を検証。投手は役割によって傾向が異なりましたが、投手とは違い毎試合出場することになる野手の受賞者はどうなるでしょう?
 

カムバック賞受賞年の成績 翌シーズンの成績  
受賞年   受賞者(球団名)  試合  打率  本塁打  打点  盗塁  試合  打率  本塁打  打点  盗塁 
2002 前田 智徳 (広島) 123 .308 20 59 0 128 .290 21 71 2
2003 鈴木 健 (ヤクルト) 135 .317 20 95 2 129 .289 15 65 1
2004 小久保 裕紀 (巨人) 125 .314 41 96 0 142 .281 34 87 1
2008 平野 恵一 (阪神) 115 .263 1 21 7 132 .270 0 18 3

※球団名の表記は当時のものを参照

投手とは異なり、野手には大きな変動が見られません。一度掴んだ流れをそのままに活躍する傾向が顕著なのでもし、2019年シーズンに受賞者が現れたら、来季以降も期待できるでしょう。
 

2019年は受賞者が現れるか?

いかがでしたか? 直近10選手を見ると、大半の選手が翌年以降も活躍する傾向にあるカムバック賞の受賞者たち。松坂の今シーズンの活躍はもちろんですが、昨年の松坂のように復活した選手が現れるかもしれないのがプロ野球の醍醐味。2019年のレギュラーシーズンはどんな成績になるか早くも目が離せません。
 

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