40代、不倫を「実感」できない女たち

不倫の恋の取材をしていると、40代の既婚女性たちの多くが「ふと気づいたら恋をしていた」と話してくれることが多い。自分が恋に落ちているという認識がないままに、不倫の道に足を踏み入れてしまったというわけだ。

「不倫」の実感はないけれど……

昔の男から、甘い言葉をささやかれれば、つい……!?

不倫の恋の取材をしていると、40代の既婚女性たちの多くが「ふと気づいたら恋をしていた」と話してくれることが多い。自分が恋に落ちているという認識がないままに、不倫の道に足を踏み入れてしまったというわけだ。

「そんなの言い訳に決まってる」そう言いたいのもわかるのだが、実は彼女たちの恋の相手の多くが元カレだったりもともとの友人だったり、かつての同級生だったりするのだ。

最近、特にそういう関係が多い。もとからの知り合いなら気も緩む。友だちだと思っていたら、いつしか恋に巻き込まれていた。そんなこともあり得るのだと思う。
 

快感にひきずられて

「元カレとばったり再会したのが運の尽きでした」
苦笑いしながら、レイカさん(45歳)はそう言った。父親が倒れたため、実家のある関西の病院へ見舞いに行ったとき、病院で10代終わりから20代初めにかけて2年ほどつきあっていた元カレに会ったのだ。

「声をかけられてびっくり。まあ、地元だから会っても不思議はないんですが。そのときは連絡先を交換して別れたんですが、早速、その日の夕方、連絡がきました。父の病気も思ったほどひどくなかったので、日帰りで東京へ帰るつもりだったんです。新幹線のある時間ならいいかと思って、会う約束をしました」

彼はレイカさんにとって、初めてオトナのつきあいをした男性。大好きだったのにレイカさんが関東に就職したため疎遠になっていった。

「彼ももちろん、今や立派なおとうさんで会社員。あのころは楽しかったよねという話になったんですが、だんだん『なんでレイちゃんはオレをフッたんだ』と冗談交じりに絡まれて。あれから四半世紀ぶりだったけど、彼、けっこういい男になっていて。『レイちゃんは今もきれいだ』なんて言われてうれしくなって。だってこの年でそんなこと、誰も言ってくれないじゃないですか」

結婚して18年、ひとり息子は高校生。会社員の夫と、決して裕福ではないが小さいながらも郊外の一軒家で暮らしている。彼女はパートで家計を助け、どこにでもいる平凡な家庭だと思っていた。それでいいのだ、とも。

「だけど彼に褒められて手を握られたら、なんだか下腹部がキュンとして。居酒屋を出たらぐっと抱きしめられてキス。路上でですよ。やめてよと言ったけど、そのまま腕を引っ張られて近くのラブホへ。電光石火の早業でしたね。いつの間にあんなテクニックを仕込んでいたのか……」

部屋に入っても彼のペースで、いつの間にかベッドイン。こんなはずじゃないと叫んだが、「レイちゃんがステキすぎるんだよ」と言われて脱力した。

「10年近くセックスレスだったんですよ。心のどこかにこのままで終わりたくない、女としての悦びを味わいたいという気持ちはあった。でも、恋をしたいとは思っていなかった。そんな気持ちは封じ込めていたはず。それなのに彼にパンドラの筺を開けられてしまったんです」

ひと言でいえば、「生まれて初めてあんなに感じた」のだそう。結局、その日は朝まで一睡もせずに抱き合っていた。
 

裏切っているつもりはない

「彼は仕事が不規則だから帰らなくても大丈夫と言っていました。私はもともと、夫には実家に泊まってくると言ってあった。そんな安心感もあって自分を開放してしまったんです」

それが半年ほど前のできごと。そして今も、彼女は父親を見舞うとか実家の様子を見てくるとか言っては、彼と会っている。ときにはお互いの中間点で会うこともある。遠距離不倫だが、だからこそ続くのかもしれないと彼女は言う。

「それにしてもこれが恋なのか不倫なのか、私の中では実感がないんですよね。快感の上限が見えたら別れたくなるのか、あるいは身も心も彼に惚れているのか。不倫したのも初めてだし、家族を裏切っているつもりもないし」

それでも端から見たら、やっぱり不倫をしている人妻なんでしょうねと彼女は笑う。家庭を壊す気はもちろんない。だが彼との関係を清算しなければいけないという危機感もない。家庭の自分も、彼に会っている自分もリアルなのだ。モラルが低いわけではない。入り込んでしまった状況に適応しているだけ。案外楽しいから抜けられないだけ。そんな気持ちがよくわかる。そしてこういう妻たちは案外多いとも思う。

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