新女王が華麗に舞った!第78回桜花賞レポート

4月8日(日)に行われた第78回桜花賞。4戦無敗の2歳女王、断然の1番人気となったラッキーライラックをはじめ戦前からハイレベルなメンバー構成でも注目を集めた一戦ですが、結果は2番人気のアーモンドアイが差し切り快勝。その様子を改めて紹介します。

桜の舞台で見せた異次元の末脚に観客は熱狂!

アーモンドアイ
アーモンドアイが快勝。ルメール騎手がガッツポーズを見せたのも印象的(写真:山根英一/アフロ)

4月8日、阪神競馬場で第78回桜花賞が開催されました。ダントツの1番人気を誇っていた2歳女王のラッキーライラックをはじめとしたハイレベルなメンバーが集まったということで、レース当日の阪神競馬場には前年比106.1%となる4万6794人の観客が来場。新たな桜の女王誕生の瞬間を見届けることになりました。
 

ファンからも高い注目を集めた今年の桜花賞は、先に抜け出したラッキーライラックを、外から迫ったアーモンドアイが並ぶ間もなく差し切り快勝。勝ちタイムの1分33秒1は従来の記録を0.2秒も上回るレースレコードで、上がり3ハロンのタイムは驚異の33秒2。その異次元の末脚にファンは熱狂しました。
 

新たな女王が誕生した今年の桜花賞。その様子を振り返ってみましょう。
 

「無敗」が仇になったラッキーライラック

今年の桜花賞は良くも悪くも「ラッキーライラックvs残り17頭」というのが戦前の下馬評でした。というのも、ここまでのラッキーライラックの戦績が圧倒的だったからです。
 

父オルフェーヴルがクセの強い馬だったのとは対照的に、娘であるラッキーライラックはソツのないレース運びが持ち味。スタートで出遅れたことは一度もなく、先行した状態からメンバー上位の上がり3ハロンのタイムを叩き出されてしまうと、後方にいて足を溜めていた馬はもう手も足も出ません。そんなレースをここまで4戦中3戦で披露。だからこそ無敗でいられたわけですが、一方で不吉と言われていたのが、桜花賞での枠番でした。
 

ラッキーライラックが入った1枠1番は先行するには申し分のない枠ですが、桜花賞では過去20年、勝ち馬はおろか連対馬さえ1頭も出ていないといういわゆる死に枠。それゆえにレース前から不吉に思うファンも少なからずいました。
 

そんな中で迎えた桜花賞では、今までの中でも最高にいいスタートを切り、道中は3番手をキープ。直線ではいつものように早めに先頭に立ちスパートを掛けましたが、結果的にこれが仇に。後方で脚を溜めていたアーモンドアイがワンテンポ遅くスパートをかけると、並ぶ間もなく差し切られ、気が付けば1馬身3/4の差を付けられ2着に敗れていました。
 

初めて一敗地に塗れることになったラッキーライラックですが、4コーナーを回った時点で3番手以内にいた馬で唯一の馬券圏内入りと、2歳女王の意地を見せました。今後どんなレースを見せるかも注目です。
 

驚異の勝ちっぷり!アーモンドアイは追われる立場に

そんなラッキーライラックをいとも簡単に破ったのがアーモンドアイ。1月に行われたシンザン記念の時点でキレのある末脚に定評がありましたが、桜花賞までの3戦はすべて出遅れ、直線で巻き返すというラッキーライラックとは真逆とも言えるレーススタイルを見せていました。
 

迎えた桜花賞では初めて出遅れずにスタートを切りましたが、鞍上のクリストフ・ルメールは敢えて後方から2番手という後ろの位置に下げました。
 

先行するラッキーライラックをマークする馬が多いため、ペースが上がると読んでの判断だと思われますが、これが功を奏しました。
 

そして迎えた直線。なまじインコースを突くと馬群に包まれると判断したのか、アーモンドアイはあえて大外に進路を取ってスパート。すると目の覚めるような末脚を見せ、気が付けば先頭にいたラッキーライラックも残り100mの時点で交わして、追いすがる2歳女王を尻目に最後は手綱を持ったままの状態でゴール。ルメール騎手は昨年、一昨年ともに桜花賞で1番人気の馬に騎乗しながら勝てなかったこともあり、レース後には馬上でガッツポーズを見せたのが印象的でした。
 

ここまでは追う立場だったアーモンドアイは、牝馬2冠目のオークスでは迎え撃つ立場に変わります。ハイレベルな今年の牝馬クラシックはまだまだ始まったばかり。その様子に目が離せません。
 

◆2018年桜花賞全着順

着順  枠番  馬番  馬名 性齢  斤量  騎手 タイム/着差  人気  調教師
1 7 13 アーモンドアイ 牝3 55 C.ルメール  1:33.1 2 国枝栄
2 1 1 ラッキーライラック  牝3 55 石橋脩 1.3/4 1 松永幹夫
3 5 9 リリーノーブル 牝3 55 川田将雅 1/2 3 藤岡健一
4 4 7 トーセンブレス 牝3 55 柴田善臣 1.3/4 8 加藤征弘
5 8 17 マウレア 牝3 55 武豊 ハナ 4 手塚貴久
6 2 3 リバティハイツ 牝3 55 北村友一 ハナ 10 高野友和
7 3 5 レッドサクヤ 牝3 55 松山弘平 ハナ 12 藤原英昭
8 3 6 スカーレットカラー 牝3 55 岩田康誠 クビ 15 高橋亮
9 8 18 ツヅミモン 牝3 55 秋山真一郎 ハナ 16 藤岡健一
10 7 15 プリモシーン 牝3 55 戸崎圭太 1.1/4 6 木村哲也
11 2 4 アンコールプリュ 牝3 55 藤岡康太 2 9 友道康夫
12 8 16 フィニフティ 牝3 55 福永祐一 1.1/2 5 藤原英昭
13 6 12 デルニエオール 牝3 55 池添謙一 クビ 13 池江泰寿
14 4 8 ハーレムライン 牝3 55 大野拓弥 クビ 11 田中清隆
15 7 14 レッドレグナント 牝3 55 M.デムーロ 1/2 7 大竹正博
16 6 11 コーディエライト 牝3 55 和田竜二 2.1/2 17 佐々木晶三 
17 5 10 アンヴァル 牝3 55 藤岡佑介 3/4 14 藤岡健一
取消 1 2 アマルフィコースト 牝3 55 浜中俊 - - 牧田和弥
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