2月25日、東京マラソン2018が開催され、約36,000人のランナーが東京の街を駆け抜けました。この大会で2位(日本人1位)となった設楽悠太選手が2時間6分11秒と、16年ぶりに日本記録を更新しました。
各部門の優勝者は以下のとおりです。
- マラソン男子優勝・・・ディクソン・チュンバ選手(ケニア)
- マラソン女子優勝・・・ベルハネ・ディババ選手(エチオピア)
- 車いすマラソン男子優勝・・・山本浩之選手
- 車いすマラソン女子優勝・・・マニュエラ・シャー選手(スイス)
- 10kmマラソン男子優勝・・・井上大輝選手
- 10kmマラソン女子優勝・・・千葉彩有花選手
前日までの天気予報では東京の天気は曇り、気温も低くなることが予想されていましたが、当日は曇りながらも風も落ち着いていた穏やかな天候でした。
世界記録の期待が高まった男子マラソンは、ペースメーカーが世界記録更新ペースで先頭集団を引っ張りましたが、やがてペースダウンし、結果的に日本記録更新ペースで推移していきました(世界記録を狙っていたウィルソン・キプサング選手は残念ながら途中棄権に。早野レースディレクターによると体調不良だったそうです)。
その後、30km過ぎでスパートしたディクソン・チュンバ選手が2時間5分30秒で優勝。設楽選手は一度離れてしまいましたが、40km付近で先を走っていた井上大仁選手を追い越す(昨年とは逆の展開!)と、その勢いのまま3位、2位を走る外国人選手を詰め、結果的には2時間6分11秒を記録、2位でゴール。16年ぶりの日本記録更新となりました。井上選手も2時間6分54秒をマークし、5位に入りました(井上選手も日本記録歴代4番目の記録ということになります)。
MGC出場権を獲得した選手たちの声
東京マラソンは、2020年の東京五輪の出場選手を決めるための大会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の出場権がかかるレースでもありました。今回は6人が出場権を獲得しました。
- 設楽悠太選手(Honda)
「沿道の応援が力になった。今後は、みなさんが思っている以上の記録を出したい」 - 井上大仁選手(MHPS)
「目の前で日本記録を出されて歯がゆい気持ち。日本記録より上の記録で勝負したい」 - 木滑良選手(MHPS)
「上の2人が6分台なので、そこで戦えるようになりたい」 - 宮脇千博選手(トヨタ自動車)
「設楽選手、井上選手とは力の差がある。(MGC出場権を獲得したので)今後は挑んでいくレースをしたい」 - 山本憲二選手(マツダ)
「MGCは9月なので暑いと思う。自分に耐性があるのか。上位とはスピードの差を埋めたい」 - 佐藤悠基選手(日清食品グループ)
「今後もステップアップするために着実にやっていく」
また、東京マラソンでは学生ランナーの奮闘も目立ちました。
サイモン・カリウキ選手(日本薬科大学)は2時間10分00秒の学生1位でフィニッシュ。鈴木健吾選手(神奈川大学)は初マラソンを2時間10分21秒で終えました。また、岩佐壱誠選手(帝京大学)は2時間14分00秒、大森澪選手(中央学院大学)は2時間18分11秒、女子も山本明日香選手(大阪芸術大学)が2時間34分26秒と健闘しました。未来のマラソンランナーとして期待が高まります。
東京マラソンには、倍率12.1%を勝ち抜いた多くの市民ランナーも参加しており、東京マラソン財団によると出走者は36248人で、完走率は96.3%だったとのことでした。
今回の東京マラソン2018では設楽選手による「日本記録」が生まれるなどドラマがありました。それだけでなく、佐藤選手や宮脇選手の復調、設楽選手や井上選手、木滑選手など着実にステップを踏んで記録を伸ばす選手が出てくるなど、長らくメダルから遠ざかっている日本陸上長距離界にとって明るい話題が豊富に見られたように思います。「日本のマラソンがスタート地点にたったが、まだ世界とは3分差がある。しかし、短距離の桐生祥秀選手の(壁を打ち破る)役目を、設楽選手がやってくれた」と瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーが語っていたように、今後に期待が持てる展開でした。
来年はどのようなドラマが生まれるのでしょうか?注目してみてみると良いかもしれません。