中断がもたらす変化
今シーズンのJ1リーグは5月20日までに15節を終了し、ロシアW杯の開催に伴う中断期間に入る。リーグ戦が再開されるのは7月18日だ。
およそ2ヶ月の中断期間は、チームに様々な変化をもたらす。シーズン開幕前のようにキャンプを行なうチームがあれば、新戦力の補強に乗り出すチームもある。開幕当初の目標に遠いチーム、下位に低迷するチームが、監督交代を決断するタイミングにもなり得る。
主力選手を引き抜かれるチームも、あるかもしれない。2010年の南アフリカW杯で、日本代表はベスト16入りした。レギュラーとしてプレーしたGK川島永嗣は、川崎フロンターレからベルギーのクラブへ移籍した。
左サイドバックで存在感を示した長友佑都も、FC東京からイタリアのクラブに新天地を求めた。南アフリカW杯では出場機会のなかった内田篤人も、同じタイミングでドイツのクラブの一員となった。
14年のブラジルW杯後には、柿谷曜一朗がセレッソ大阪を離れた。Jリーグからスイスへ、戦いの場所を移した。
つまり、こういうことだ。2018年シーズンを戦うのは中断前と同じでも、中断後は異なる表情を見せるクラブが現われる可能性がある、ということである。
降格圏から優勝したチームも
14年のシーズンが分かりやすい。
14節の中断時点で首位に立っていたのは、浦和レッズだった。2位はサガン鳥栖、3位はヴィッセル神戸である。
では、全日程終了時の順位はどうだったのか。優勝を飾ったのは、ガンバ大阪なのである。
中断前はJ2降格圏の16位に沈んでいたガンバは、7月に期限付き移籍で獲得したブラジル人FWパトリックの活躍と、シーズン序盤はケガに苦しんだ宇佐美貴史の復調により、7月の再開後の20試合を15勝3分2敗の驚異的なペースで駆け抜ける。
2位の浦和レッズとの勝点差はわずかに「1」で、3位の鹿島アントラーズ、4位の柏レイソル、5位の鳥栖とも1勝分の「3」差しかなかった。優勝争いが混戦になったことも、ガンバの優勝を後押ししたのは間違いない。それでも、2ヶ月の中断がなかったら、ガンバはここまで変われなかったのでは、と思うのだ。
ベテランたちが大記録達成に肉薄
最後に、今季中に達成されそうな個人記録に触れておこう。
J1リーグ最多出場記録を持つGK楢﨑正剛(名古屋グランパス)は、あと19試合で650試合の区切りを迎える。楢﨑に続くのはDF中澤佑二とMF遠藤保仁で、中澤はあと29試合で、遠藤はあと32試合で、600試合の大台に乗る。
J1最多得点のFW大久保嘉人(川崎フロンターレ)は、あと21点で史上初の200ゴールを達成する。大久保はリーグ戦出場でも区切りの数字に迫っており、あと1試合で400試合出場だ。
大久保のチームメイトの小林悠は、ここまでリーグ戦で78得点を記録している。100得点となれば、J1リーグでは14人目だ。23ゴールで得点王に輝いた昨年に比肩する活躍をノルマとして、記録達成に結び付けたいところだろう。
J1通算100ゴールは、FW玉田圭司がより近い。J1に復帰したグランパス所属の37歳は、ここまで96得点を記録している。現在は途中出場が増えているものの、今シーズン中の大台到達は視野に入っているはずだ。
チームの動向をフォローするのもいい。個人を追いかけるのもいい。どちらにしても、J1リーグに注目してほしいと思う。2020年の東京五輪で脚光を浴びるであろう若きスター候補生も、Jリーグで数多くプレーしている。平昌五輪のあとは、ぜひともJリーグを!
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