2017年有馬記念の注目馬は?競馬専門紙『優馬』久光匡治さんに聞く

2017年12月24日に開催される有馬記念。競馬専門紙・優馬でトラックマンとして活躍している『久光匡治さん』をお招きして『有馬記念の注目馬・穴馬』などを聞いていきます。注目馬は?穴馬は?

馬券的中で2017年を締めくくりたい!有馬記念を大予想

前回に引き続き、競馬専門紙・優馬でトラックマンとして活躍している『久光匡治さん』をお招きして2017年12月24日に開催される有馬記念の展望を探る企画をお送りします。第1弾では、久光さんに、有馬記念の見どころや傾向などをお伺いしました。皆さんお待ちかねの第2弾は『有馬記念の注目馬・穴馬』などを聞いていきます。
 

今年1年を締めくくるべく、馬券的中に向けて予想の参考にして下さい!

久光さん
久光匡治さん

時計班として調教時計を採る傍ら、想定班としても厩舎取材に出る業界でも稀な二刀流トラックマン。優馬紙面による2017年の馬連回収率は第1位(12月17日終了時点)。
 

現在、ラジオ日本『土曜・日曜競馬実況中継』『中央競馬大作戦』、グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』に出演中。個人ブログ『好きこそものの上手なれ』も鋭意更新中。
 

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有馬記念予想に掛ける思い

矢田部 やはり有馬記念は力が入るレースでしょうか?

久光 今年から有馬記念の後に新設GⅠの『ホープフルステークス』ができたんですが、それでもその年の総決算という趣は変わりませんね。1年の中でも当てたい気持ちの強いレースです。まぁ僕は通年で予想を掲載している身なので『終わりよければ全て良し』では駄目なんですが(笑)、幸い今年は回収率が良くて、個々のレースにハマった予想が出来た1年だったのかもしれません。有馬記念もそうなれば良いんですけどね…(笑)。
 

ファン投票1位『キタサンブラック』は3連戦ですが…

矢田部 有馬記念の見どころの1つでもあるキタサンブラックの引退。当日はやはり1番人気が予想されますが、期待に応える走りを見せてくれると思いますか?

久光 過去にも強い馬が最後の有馬記念で疲れを露呈するケースはありましたし、秋にGⅠを3連戦するのは楽なことではありません。実力は言うまでもなく確かな馬ですから、良い状態で出走できるのか、そこに尽きると思いますね。

キタサンブラック
有馬記念で引退することになっているキタサンブラック。ジャパンカップでは3着だった(写真:伊藤 康夫/アフロ)

矢田部 実は私、キタサンブラックを本命に考えているのですが、不安に思っているのがまさにそこ、秋3戦目ということです。これまで休養明けの好走が多く、使い詰めると成績が落ちている印象があったので。

久光 確かに、単純な着順は叩き2戦目を境に落ちている傾向ですが、体調に問題があった宝塚記念を除けば、パフォーマンスが落ちてる印象はないですよ。昨年の有馬記念も最後は差されましたが、内容はとても強かったです。
 

今年の場合は、休養明けの天皇賞が不良馬場のきつい競馬で勝ったせいか、2戦目のジャパンカップはいつもより調教を控えられていて、僕はキタサンブラックの評価を4番手まで下げて予想しました。お陰で予想も的中できたんですが、そんな本調子でない中でも3着だったジャパンカップはキタサンブラックの実力を再認識させられる結果と言えるでしょう。秋3戦のローテーションは早くから明言していたことですし、昨年勝っているジャパンカップを、今年はある意味では、『ガス抜き』的に使って、有馬記念の方に照準を合わせているのは一連の調教などからも読み取れました。
 

矢田部 では疲れは気にしなくても良いということですか?

久光 前回の調教と比較するのが一番でしょうね。前回は二週前の段階が軽目の調教でしたから、それ以前のように、二週前からしっかり調教時計が出せているかはチェックポイントです。そこから更に攻めた調教が出来ていれば〇と判断していいと思います。
 

キタサンブラックと有馬記念のコース適性は?

予想

矢田部 コース適性はいかがですか?内回りコースより、外回りコースの方が得意なのかなと感じます。

久光 どちらかというと外回りの方が着順は良いですかね。ただ、内回りだからといって走りが悪くなっている訳ではありません。大跳びでダイナミックな走りですが、それでいて器用なのがキタサンブラックの凄いところ。難なく良い位置につけられるし、流れが速くても遅くても自分で動けるギアの軽さがあります。出遅れてしまった天皇賞でも、鞍上の意のままにポジションを押し上げることができました。この器用さがキタサンブラックの強みだと思いますし、有馬記念の舞台はむしろ歓迎くらいの印象があります。
 

2017年の有馬記念は牝馬が面白い

矢田部 久光さんといえば穴党というイメージがあります。

久光 無理に穴馬を狙っているわけではないですよ(笑)。あくまでヒットの延長がホームランという考え方。出塁を一番に、芯に当たればスタンドまで届く、そんな予想をしているつもりです。とはいえ、1着、2着という着順があって、馬券は種類も多いですからね。できるだけ馬券になる馬の中で人気がない方に重い印を打ちたいという気持ちはあります。人気も成績も申し分ない馬ばかりが本命なら、僕の予想は見なくても良くなっちゃうでしょうし(笑)。馬券を買う方が、僕の本命があったから買えたと言ってくれると嬉しいですよね。
 

第1弾でも触れましたが、今年は『ミッキークイーン』『ルージュバック』辺りの牝馬が面白いかなと思っています。あとは、不良馬場の天皇賞からリズムを崩している『ヤマカツエース』。昨年(4着)の走りができれば可能性は十分です。他には、同じ舞台の日経賞がとても強かった『シャケトラ』、一昨年2着など、大舞台でよく穴をあける『サウンズオブアース』も馬券的に面白そうですね。
 

久光氏注目は『シュヴァルグラン』

シュバルグラン
ジャパンカップで快勝したシュヴァルグランは有馬記念でも注目だ(写真:伊藤 康夫/アフロ)

矢田部 ちなみに、久光さんの本命候補の馬は?

久光 現時点での最有力は『シュヴァルグラン』ですかね。ジャパンカップで実際にキタサンブラックを破った訳ですし、ゆとりのあるローテーションで昨年よりも余力をもって臨めるの点も良いです。馬体がなかなか絞れなかった昨年と比べて、今年はしっかり締まった体でレースを使えているのも好印象。昨年はジャパンカップも有馬記念も外枠に苦しんだ面がありましたが、今年は最内枠を引いたジャパンカップが快勝でしたし、当然、有馬記念も好枠が引ければ評価を上げたい馬です。そしてもちろん、キタサンブラックに勝てたのはシュヴァルグラン自身が強くなっていることもあります。見ていて面白いほど成長力豊かな血統ですし、今は単純な実力だけでもキタサンブラックに引けを取らない所まできていると思いますね。
 

黄金世代!? 今秋大活躍の3歳馬について

矢田部 当日に上位人気が見込まれる3歳馬『スワ―ヴリチャード』は、キタサンブラックと未対戦という点で注目かなと思っています。

久光 シュヴァルグラン、キタサンブラックと共に支持されそうなのが『スワ―ヴリチャード』。前回のアルゼンチン共和国杯は本当に強い競馬でしたし、ダービー馬のレイデオロがジャパンカップで2着に食い込んだことも考えると、2頭に肩を並べるくらいの評価が必要かもしれません。ただ、この馬はそれほど器用な馬ではありません。そして右回りがどうかという大きな課題があります。陣営も右回りより左回りが良いと春の時点で言っていましたし、有馬記念がコーナー6回で右回りだというのを考えると、評価に悩む面はありますね。
 

矢田部 この秋は3歳馬の活躍が目立っていますが、やはり強い世代なのでしょうか?

久光 今年の3歳馬が結果を出しているのは、4歲世代の不振が一つの要因だと感じています。先日のマイルチャンピオンシップは3歳馬が3頭も掲示板に載る結果になりましたが、実は、4歳馬はエアスピネル1頭しか出走していないんですよ。本来ならば秋の大きなレースで中心になっていく4歲世代ですが、今年はちょっと元気がなくて……。だから3歳馬の活躍が目立つ状況にあります。僕は特別に3歲馬が強いということはないと思いますね。

サトノダイヤモンド
2016年の覇者であるサトノダイヤモンドも当時3歳だった。なお、今年は出場しない(写真:伊藤 康夫/アフロ)

ただ、斤量が軽いという面では、3歳馬は有利です。古い話ですが、ナリタブライアンが勝った1995年なんかは3歳馬のワンツーフィニッシュでしたし、この10年の有馬記念で3歳馬は4勝もしています。実際、昨年キタサンブラックを負かしたのは3歳のサトノダイヤモンドですから、世代の強い弱いは考えずとも、3歳馬も十分活躍できるレースであると思っています。
 

大一番はやっぱり勝ち馬に本命を打ちたい!

久光さんと矢田部明子

矢田部 最後に、有馬記念への意気込みをお願いします。

久光 予想に関して言えば2着でも的中ということにはなりますけど、こういう大一番はやっぱり勝ち馬に本命を打ちたいですね。成績の良かった1年を締め括る意味でも、バシッと当てて読者の皆さんに貢献できればと思います!
 

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前半・後半に渡ってお送りした、競馬専門紙・優馬『久光匡治さん』に聞く有馬記念。いかがでしたか?久光さんの予想を参考に、今年の有馬記念を的中させて1年を締めくくりましょう。
 

インタビュー・執筆したのは……

矢田部明子

矢田部 明子

工業高等専門学校で自動車のメカニズム、メンテナンスなど学ぶ。その知識と経験を活かしてクルマを運転する楽しさやクルマにまつわるメカニズムを解りやすく解説している。競馬のラジオ番組パーソナリティーを務めた経験から競馬にも造詣が深く、活動の幅を広げている。

https://allabout.co.jp/gm/gp/1759/library/

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