北朝鮮は、日本時間の29日午前5時58分、平壌の順安区域付近から弾道ミサイル1発を北東方向に発射しました。弾道ミサイルは約2700km飛行し(最高高度が約550km)、北海道の上空を通過。6時12分に襟裳岬の東約1180kmの太平洋上に落下しました。共同通信によると、北朝鮮のミサイルが日本上空を通過したのは5回目だといいます。
これにより、政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)で北海道など12道県にミサイル発射と日本上空の通過を伝えました。Jアラートとはどのようなものなのでしょうか?また、Jアラートが使用された時に、我々は何をすればよいのでしょうか。
参照
Jアラートが使われるのはどんな時?
弾道ミサイルが日本に飛来する場合、政府としては、24時間いつでも全国瞬時警報システム (Jアラート)を使用し、緊急情報を伝達します。政府がすでに明らかにしているJアラートを使う基準は、以下の通りです。
- 日本の領土・領海に落下する可能性がある場合
- 領土・領海を通過する可能性がある場合
つまり、日本の領土・領海に落下する可能性や、領土・領海を通過する可能性がないと判断した場合は、Jアラートは使用しないということです。
一方で、日本の排他的経済水域(EEZ)内にミサイルが落下する可能性がある場合は、Jアラートは使用しないことになっていますが、 船舶、航空機に対して迅速に警報を発するとしています。
領土や了解、排他的経済水域とは
なお、領土とは「領土」とは国家が領有する陸地のことで、「領海」は基線(海岸の低潮線、湾口もしくは湾内等に引かれる直線)からその外側12海里(約22km)の線までの海域のことです。ちなみに「領空」は、国家の領土・領海の上空空域を指し、高度限界は一般的に大気圏(約100km)といわれています。
ちなみに、排他的経済水域(EEZ)は、領海の外側に、領海の基線から200海里を超えない範囲内で設定が認められ、ここでは沿岸国が天然資源など「経済的」なことに対して、「主権的行為」をとることができます。
Jアラートが使用されるとどうなる?
政府の発表によると、Jアラートが使用されると、市町村の防災行政無線などが自動的に起動し、屋外スピーカーなどから警報が流れるほか、携帯電話にエリアメール・ 緊急速報メールが配信されるといいます。なお、Jアラートによる情報伝達は、「国民保護に係る警報のサイレン音を使用し、弾道ミサイルに注意が必要な地域の方に、 幅広く伝達する」としているので、29日のようにJアラートが鳴らない地域もあります。
弾道ミサイルが日本に飛来する可能性があると判断され、情報が伝達された場合、屋外にいる場合は、近くの頑丈な建物や地下(地下街や地下駅舎などの地下施設)に避難するよう政府は述べています。 その後、弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下する可能性があると判断され、直ちに避難するようにといった続報があった場合は、以下のような行動をとるようにと政府は示しています。
- 屋外にいたら⇒近くの頑丈な建物や地下に避難する。近くに適当な建物などがない場合は、物陰に身を隠すか地面に伏せ頭部を守る。
- 屋内にいたら⇒できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動する
なお、29日は弾道ミサイルの発射は午前5時58分、6時5~7分ごろに北海道上空を通過し、同12分には太平洋に落下したといわれていますが、Jアラートの通知は午前6時2分でした。対処が必要だとしても残された時間は少なく、即時に行うことが重要であることが明らかになったとも言えます。
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