全国を吹き荒れた「春の嵐」が去った関東で気温上昇…
前線を伴った急速に発達した低気圧の影響で、17日から18日にかけて、全国の広い範囲で「春の嵐」が吹き荒れ、北海道では18日昼も荒れた天気になっている。北日本では同日夜から19日にかけて、大気が不安定な状況は続くとみられ、強風や大雨に注意が必要だと気象庁が発表している。
この低気圧の影響で、静岡県では土砂崩れが発生したほか、首都圏では交通機関のダイヤが乱れるなど、被害があった。
一方、「春の嵐」が通過した関東地方では、内陸部を中心に気温が上昇し、2017年初の真夏日になる地域もありそうだという予報もある。「春の嵐」が通過した後ということで湿度も高いため、熱中症には注意をしたい。どのような対策を立てればよいだろうか。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏がAll Aboutの『異常熱波が日本列島を襲う!生死に関わる熱中症対策』で解説している。
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熱中症では、どんな症状が出る?
和田氏によると、熱中症は生死に関わる深刻な「病気」というような認識を持つ人は少なく、軽視しがちという。また、普段から頭痛や眩暈(めまい)などの持病を持つ人は体調の変化に気づかず、深刻な状態になるまで放置してしまう傾向があるといい、改めて注意が必要だ。
熱中症は最初、以下のような症状が出るという。
- 頭痛
- 眩暈(めまい)
- 立ちくらみ
- 筋肉痛
- こむらがえり など
続いて、発汗による体温調節が不能になると「熱失神」「熱けいれん」などの症状に移行するという。さらに体温の調整機能が麻痺してしまうと、多臓器不全につながり、血液の凝固などによって死に至る可能性が高まるという。
「高温の場所で、不快感、倦怠感、吐き気、嘔吐、意識障害などの症状が出たら病院搬送の必要を考えましょう」(和田氏)
高齢者、幼児に及ぶ熱中症の危機は周囲が管理
熱中症の死者数はその半数近くが65歳以上の高齢者で占められていると和田氏は説明する。
年代別の熱中症発生原因を見てみると、15歳~19歳はスポーツ中、30歳~59歳は労働中、60歳以上の人は日常の生活の中で発生しているケースが多いとのことだ。
また、0~4歳の幼児の熱中症死者は自動車内での閉じ込めによるものが多数を占め、「周囲の注意不足がなければ確実に防げた事故」と和田氏は指摘する。高齢者の中にはエアコン嫌いな方もいるが、エアコンを使わないことが時に死を招くということを認識し、「近所での見守りや、町内の自治会などでの注意喚起などを徹底していくべき」と和田氏は述べる。
水分補給や温度調節!熱中症を予防する方法
■なぜ熱中症になってしまう?身体で起こることは
和田氏によると、人は気温が高くなると、体温調節のために、発汗し、体温を下げる機能があるという。汗が体から蒸発するときに体に溜まった熱を放出してくれるが、高齢者はこの機能が低下しているために熱中症の被害を受けやすくなるという。
また、発汗状態が長く続くことで、体内の水分や塩分などが不足すると、体内の血流量が減って粘度が高くなり、汗が出なくなったり、臓器に機能不全が始まったりするという。
■対策1.エアコンや扇風機を使うこと
気温が30℃前後であっても湿度が高い場合には、汗が蒸発せず、体内に熱がこもったままになるという。よって室内が28℃を超え、湿度が70%を超えるような場合は、必ずエアコンや扇風機などを併用して、室内の温度・湿度を下げるようにしたい。
■対策2.水分をこまめに摂るころ
気温が30℃を超える場合、喉が渇く前に積極的に水分をまめに摂ることが一番の熱中症予防になると和田氏は述べる。同時に塩分などを含んだもの、例えば市販のスポーツドリンクや経口保水液(食塩とブドウ糖が含まれる)のほか、塩分の含まれた「熱中症予防飴」などを定期的に摂るのもお勧めという。また、熱中症は寝ている間に発症する場合もあるので、寝る前にコップ一杯の水を飲むのも習慣づけた方が良いという。
■NGは、アルコールやカフェイン
一方、アルコールやカフェインを含む飲料(コーヒーや紅茶)は利尿作用を強めるので、体の水分補給には向かないという。
熱中症の症状を和らげるには
熱中症の症状になっていると思われたら、下記の対応が必要だと和田氏は指摘する。
- 暑い場所から涼しい(クーラーの効いた)場所や日陰に移動させる
- 意識のある場合は冷たい水をすぐに補給する。
- 衣服をゆるめ、濡れたタオル等で体を拭く。
- 首回り、腋の下など動脈近くを冷却材やアイスパックなどで冷やす。
- 団扇や扇風機などで体に風を送る。
- 症状が回復しない、意識がはっきりしない場合はすぐに救急病院へ運ぶ。
「熱中症は生死にかかわりますので、応急処置をきちんと覚えておきましょう」
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