2月末までの北海道新幹線の乗車率は平均33%
2016年3月26日に運行を開始した北海道新幹線は、まもなく開業1周年を迎える。先日、JR北海道の島田社長は、記者会見で2月末までの北海道新幹線の乗車率が平均33%であることを発表。これは、1日平均6500人が利用していることになり、前年の開業前の在来線特急「スーパー白鳥」「白鳥」の利用者数の1.7倍であるという。
たった33%という人もいるだろうが、北海道新幹線を走る「はやぶさ」は、航空機のように東京からノンストップで新函館北斗まで行くのではなく、仙台、盛岡、新青森にも停車する。したがって、東京~仙台、仙台~盛岡といったビジネス利用も多く、東京駅発車時点では乗車率100%に近いこともざらである。間際に東京駅から新函館北斗駅までの指定券を取ろうとしても満席で断念せざるをえないこともあり、「構造的」に新青森~新函館北斗間が100%の乗車率となりえないのだ。
正確なデータは公表していないけれど、「のぞみ」や北陸新幹線「かがやき」も東京駅を発車した時点では満席であっても、末端区間の広島~博多間、富山~金沢間では乗車率が50%を切ることはよくあるのである。そう考えると、北海道新幹線の乗車率が極めて低いということにはならないと思われる。もちろん、在来線のほとんどが赤字であるJR北海道にとっては、もっと頑張ってもらいたいところではある。
課題は東京~新函館北斗間の時間短縮
北海道新幹線の課題としては、東京~新函館北斗間の時間短縮が挙げられる。現状の最短4時間2分は、どう考えても航空機との競争には不利である。そうでなくても、新函館北斗駅は、函館市内には位置しないので(駅名のようにお隣の北斗市にある)、函館駅までは、シャトル列車の「はこだてライナー」に乗り換えてさらに約20分かかる。実質的には東京~函館(駅)間は最短4時間半と見るべきなのである。
これを少しでも短縮する必要があるが、ネックとなっているのが青函トンネル内の走行だ。青函トンネルを含めた前後の80kmほどの区間は、在来線との共用区間で貨物列車が頻繁に走っている。このため、速度が遅い貨物列車が足かせになるのみならず、トンネル内において高速ですれちがうと貨車が荷崩れを起こし事故につながる恐れがあるため、新幹線や電車のトンネル内での最高速度は時速140kmに抑えられているのだ。
これを160kmまで引き上げる検討をしていると島田社長は記者会見で明らかにした。技術的な問題点をどのようにクリアするのか、具体的な発表が待たれる。
2031年頃の「札幌への延伸」が実現すれば
いわゆる「4時間の壁」というのは、東京駅と函館市内との往来を念頭に置いたものであって、大宮~函館であるとか、首都圏~大沼公園といったリゾート地への移動であれば、北海道新幹線の利用は、甚だしく不利にはならないであろう。
さらに、2031年頃に予定されている札幌への延伸が実現すれば、東京~札幌の移動はともかく、東京~倶知安(リゾート地ニセコの最寄り駅)の乗車においては、航空機利用で空港から長距離バスへの乗り継ぎを含めたトータルな移動時間と比べると、その差はかなり接近したものとなろう。乗り換えなしに観光地に向かうことができるメリットが活かされた時、北海道新幹線の利用価値は今以上に高まる。そんな意味でも、一日も早い札幌延伸が待たれるのである。
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