W杯予選、本田圭佑を招集――ハリルホジッチが選考基準を変えた理由

3月23日と28日に行われるロシアW杯アジア最終予選の日本代表に、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はクラブで出場機会に恵まれていない本田圭佑を招集した。また、自身はこれまで招集していない34歳の今野泰幸を、およそ2年ぶりに復帰させた。その真相とは?

最終予選は混戦模様…選考で重視したのは「経験」

何が何でも勝つのだという、指揮官の決意が滲むメンバー選考だ。
 

3月23日と28日にロシアW杯最終予選を戦うサッカー日本代表のメンバーが、16日午後に発表された。
 

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が、今回の選考でもっとも重視したのは「経験」だ。
 

W杯アジア最終予選は6か国ずつ2つのグループで争われ、各グループの上位2か国が出場権を得る。3位でも可能性はつながれるが、3位同士のプレーオフ、北中米カリブ海地区4位のとの大陸間プレーオフと、過酷な戦いをくぐり抜けなければならない。そのため、どの国も2位以内をターゲットにしている。
 

全10試合の半分にあたる5試合を消化した現在、日本のグループBは混戦模様だ。サウジアラビアと日本が勝点10、オーストラリアとUAEが勝点9となっている。先行きが不透明ななかで、日本は23日にアウェイでUAEと激突する。昨年9月のホームゲームでは、1対2で苦杯をなめた相手だ。
 

UAEの“日本対策”に指揮官は警戒心を強めた

しかも、UAEは特別な舞台で日本を迎え撃つ。それまで使用してきたアブダビのスタジアムではなく、よりコンパクトなアル・アインのスタジアムを会場に選んだのだ。
 

この変更に、指揮官は警戒心を強めた。
 

「このスタジアムでの試合をテレビで観戦したが、より狭く、アウェイチームの選手にプレッシャーを感じさせる雰囲気でした。そう考えると、経験値がどうしても必要になる」
 

果たして、ハリルホジッチ監督は選考基準を見直す。「クラブで試合に出ていない選手は選ばない」という前提を棚上げし、所属するACミラン(イタリア)でほとんどプレーしていない本田圭佑を、これまでどおりに招集したのだ。本田ほどではないものの出場機会の限られている長友佑都(インテル・ミラノ/イタリア)も、メンバーに名を連ねた。
 

本田
ACミランでほとんどプレーしていない本田圭佑を招集した(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

ハリルホジッチ監督は「本田は我々のトップスコアラーだ」と説明し、「本田も長友も、試合に出られないなかでプラスアルファのトレーニングをしている。代表でプレーする意欲もある」とも付け加えた。メス(フランス)で控えに回っているGK川島永嗣も、同じ理由で選出されている。試合で起用するかどうかはともかく、彼らベテランの経験を生かしてチームに落ち着きをもたらしたいのだろう。
 

34歳のサプライズ招集も

本田、長友、川島とともに10年と14年のW杯に出場したベテランも、15年1月以来の招集を受けた。34歳の今野泰幸だ。
 

「最近の試合では若手を何人か呼んできたが、もしかしたらまだメンタル面で準備ができていないかもしれない、と感じた。アウェイで大きなプレッシャーを感じながらの試合では経験が必要だ。今野の招集は驚きではない」
 

ガンバ大阪でプレーするベテランの招集理由を、ハリルホジッチ監督はこう説明する。キャプテンの長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)、山口蛍(セレッソ大阪)に次ぐボランチの3番手との位置づけだが、控え選手にも経験値を求めたところに、指揮官の覚悟が読み取れるだろう。
 

サッカーのリーグ戦では、アウェイゲームの引き分けは許容範囲とされる。23日のUAE戦も、負けなければいいという考え方は成り立つ。ただ、不確定要素を抱えたまま予選が終盤を迎えるのは避けたい。敵地でUAEを叩き、自らの手でライバルを蹴落とすことを、ハリルホジッチ監督は自らに課している。
 

ロシアW杯最終予選 UAE戦、対タイ戦 メンバー

  • UAE戦
    日時:3月23日(木) 19:30~
    会場:アルアイン/Hazza Bin Zayed Stadium
  • タイ戦
    日時:3月28日(火) 19:35~
    場所:埼玉/埼玉スタジアム2002

<メンバー>

GK
川島 永嗣 (FCメス/フランス)
西川 周作 (浦和レッズ)
林 彰洋  (FC東京)

DF
長友 佑都 (インテル・ミラノ/イタリア)
槙野 智章 (浦和レッズ)
森重 真人 (FC東京)
吉田 麻也 (サウサンプトン/イングランド)
酒井 宏樹 (オリンピック・マルセイユ/フランス)
酒井 高徳 (ハンブルガーSV/ドイツ)
昌子 源  (鹿島アントラーズ)
植田 直通 (鹿島アントラーズ)

MF
今野 泰幸 (ガンバ大阪)
長谷部 誠 (アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)
髙萩 洋次郎(FC東京)
倉田 秋  (ガンバ大阪)
香川 真司 (ボルシア・ドルトムント/ドイツ)
清武 弘嗣 (セレッソ大阪)
山口 蛍  (セレッソ大阪)

FW
岡崎 慎司 (レスター・シティー/イングランド)
本田 圭佑 (ACミラン/イタリア)
大迫 勇也 (1.FCケルン/ドイツ)
原口 元気 (ヘルタ・ベルリン/ドイツ)
宇佐美 貴史(FCアウクスブルク/ドイツ)
久保 裕也 (KAAヘント/ベルギー)
浅野 拓磨 (VfBシュツットガルト/ドイツ)
 

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