残業時間は最長138時間…過労自殺も

パナソニックの工場(富山県砺波市)に勤務していた社員3人に、労使協定の上限を超える違法な長時間労働をさせたとして、砺波労働基準監督署は15日、労働基準法違反の疑いで法人としてパナソニックと、労務管理担当の男性幹部2人を書類送検した。
 

3人の残業時間は最長で97~138時間で、うち1人は過労自殺をしていたという。
 

残業の上限は「月100時間未満」で決着

残業時間に関しては、このほど残業時間の上限規制を巡る労使間協議が決着。政府は、繁忙期の上限は「月100時間未満」、「年間の上限720時間」、「2~6カ月の平均が80時間を超えない」という基準を盛り込んだ働き方改革の実行計画をまとめ、労働基準法改正に着手するという。
 

参考:

パナソニック書類送検 砺波工場長時間労働、死亡社員は過労自殺

パナ、労基法違反容疑で書類送検 最長138時間残業の疑い

残業、月100時間未満で決着 最長で年間720時間

 

これまで、労働基準法で労働時間は1日8時間、週40時間と決められていた。これを超えて労働者を働かせる場合は、「36協定(サブロク協定)」を結べば「原則月45時間、年360時間まで」が可能となっていた。また、これ以上働かせる場合は特別条項付きの36協定を結ぶ必要があり、これを結んだ場合の上限は事実上設けられていなかった。
 

厚生労働省は過労死ラインは時間外労働月80時間としており、健康リスクがあることは広く認知されているが、長時間労働によって具体的にどのような影響があるのだろうか。睡眠専門医の坪田聡氏がAll Aboutの『働く人の睡眠が危ない!? 快眠で能率アップを目指せ』で解説をしている。
 

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残業時間が延びれば睡眠時間が削られる

時間外の労働時間が増えると、その分睡眠時間が削られる。

「週40時間勤務で残業がない人は、睡眠を平均7.3時間とっています。これが、残業時間が1ヶ月に80時間、つまり1日あたり3.5時間では、睡眠時間が平均6時間に減ってしまいます。さらに、残業時間が1ヶ月に100時間、つまり1日あたり4.5時間になると、睡眠時間は5時間しかありません」(坪田氏)
 

睡眠時間が削られるとどのようなことが起こるのか。坪田氏は時間外労働が月に100時間、または直前の2~6か月間の平均で月80時間を超え、睡眠時間が短くなると、健康障害のリスクが急激に高まるという。例えば以下のようなものがある。
 

睡眠時間が短くなることで起こるリスクとは

■糖尿病の発症リスク

7~8時間睡眠の人に比べて、睡眠時間が5時間以下の人は糖尿病の発症リスクが2.5倍に、睡眠時間が6時間でも1.6倍にアップするという。これは、忙しくて睡眠不足になった人でも、不眠症のために眠れない人でも、同じ結果だ。
 

■高血圧の人は注意

徹夜すると翌日の血圧が1日中、10mmHgも高いままになってしまう。夜更かしして睡眠時間を3~4時間に削っただけでも、翌日の血圧が上がってしまうので、もともと高血圧がある人は要注意。
 

■精神状態への影響

睡眠不足は、精神の状態にも大きな影響を与える。不眠症患者の20%はうつ症状を持ち、うつ病患者の70%には不眠が伴うという。また、不眠を治療しないでおくと、不眠のないグループに比べて、うつ病の発生頻度が40倍になる。一方、不眠をきちんと治療すればうつ病になる確率が、不眠のないグループとほぼ同じレベルの1.6倍にまで改善する。
 

「残念なことに最近は、過労死や過労自殺が増えています。これらの人々が亡くなる前の状況として、「眠りたいのに眠れない、眠りたいけど眠っていられない」という特徴があります。あなた自身が感じたり、あなたの周りの人がこのようなことを訴えていたら、早めに精神科医を受診することを強くお勧めします」(坪田氏)
 

■残業中はほろ酔い状態?

通常の勤務時間であれば、いくらかの波はあるが、さほど仕事の能率が落ちることはないという。しかし、朝、目覚めてから13時間たつと、作業能率が低下し始めるという。17時間以上起きていると作業能率は、血中アルコール濃度が0.05%と同じレベルになってしまうという。これは自動車を運転していれば、「酒気帯び運転」と判定されるほどのアルコール濃度。
 

また、長く起きていると、ミスも目立つようになるほか、寝不足が続くと居眠りも増えるため、危険な作業をすれば事故を引き起こしかねなくなるという。
 

よく眠るための10カ条

しっかり働くためには、良く眠ることが大事だと坪田氏は述べ、「働く世代の快眠10か条」を紹介している。

  • 十分かつ快適な睡眠で、仕事のやる気と効率がアップ。煮詰まる前にグッスリ眠って、疲労の回復とストレスの解消を図る
  • 睡眠時間は人それぞれ。日中の充足感が快適な睡眠のバロメーター
  • 朝…目覚めとともに体内時計がスタート。快眠の秘訣は起床時間。布団を出たら明るい光を浴びて、体内時計をリセットし、朝食をきちんと摂ること
  • 昼……わずかな昼寝が午後の仕事効率を高める
  • 夜……快適な睡眠は自らの工夫で作り出す。夕方以降は、少し暗めの照明で過ごしたり、夕方の軽い運動や就寝前のぬるめのお風呂につかれば、寝つきを良くしてくれる
  • 寝る前に……自分なりのリラックス法を見つける
  • 寝室……眠りやすい寝室環境も大切
  • 眠れないときの対処法……眠りは追いかけていくと逃げてゆく。布団に入って30分たっても寝つけないときは、他の部屋でリラックスしながら眠たくなるのを待つ
  • それでも眠れない時は……早めに医師に相談を
  • 勤務交代の工夫……上手な休息と、睡眠時間の確保が大切。夜勤明けにはサングラスなどで強い光を見ないようにするなどの工夫を

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