月末の金曜日に早めの退社を促して買い物などを楽しんでもらうキャンペーン「プレミアムフライデー」が今月24日から実施される。新たな個人消費を喚起しようという取り組みだが、いったいどのような制度なのか。また、労働者にとってどのようなメリットや課題があるのだろうか。All Aboutの複数の専門家が次のように解説している。
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加速する「働き方改革」に関連して登場する「プレミアムフライデー」
国を挙げて「働き方改革」を進める動きが加速する中、「労働力不足の中、人材の確保・定着を図りたい」「従業員のメンタル不調や過労死・過労自殺等のリスクを回避したい」「外国人や女性、育児・介護中の社員の戦力化を図りたい」といったねらいから、残業時間の削減、在宅勤務制度や裁量労働制の導入などに取り組む企業も増えていると述べているキャリアコンサルタントの本田和盛氏。柔軟な働き方によって生産性が高まれば、会社にも従業員にもメリットがあるという。
月末の金曜日は、午後3時に退社する?
「プレミアムフライデー」とは、月末の金曜日に早く仕事を終わらせて、買い物や友人・家族との外食などを楽しんでもらおうというプロジェクト。経産省と各団体は、従業員が午後3時には仕事を終え、外食、旅行など特別な時間を過ごしてもらえるよう企業に呼びかけるとともに、各地のショッピングセンターや商店街などにイベントやキャンペーンを企画してもらい、幅広い分野で消費を喚起する計画だという。本田氏によると、プレミアムフライデーの一番の目的は、停滞する個人消費を喚起することで、その経済効果が期待されているという。
定着・成功には、実施日見直しも不可欠か?効果と実現性は?
働く立場からすれば、本来なら個々人のプライベートタイムの充実につながると考えられるこの施策だが、いまひとつ盛り上がりに欠けるのはなぜだろうか。従業員目線、労働者目線を忘れていることが原因だと述べているのは企業コンサルタントである大関暁夫氏。
「最大のネックとも言えるのが、実施日の設定にあります。アメリカのブラック・フライデーを真似て最終金曜日にしたと言われるこの設定。月末近くに午後3時終業ということに対しては、ネット上でも「なんで月末近く?」「現場を知らないお役人発想」等、企業従業員の立場からの意見と思われる書き込みが多数見られます」
今後のプレミアムフライデーの定着・成功に向けては、実施日見直しを含め従業員目線、労働者目線を加えてものを考えることは不可欠だという。
とはいえ、うまく広まれば、働き方改革を後押しするインパクトがあるかもしれないと述べているのが本田氏。月1日とはいえ、まだ明るい時間に退社することが慣例になれば、ワーク・ライフ・バランスの改善や、働き方の見直しを促す効果が期待できるかもしれないという考えだ。
初回のプレミアムフライデーは2月24日。働き方を見直すきっかけとなり、うまく定着することができるのか、しばらく注目していく必要がありそうだ。
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