他人との比較をしていい人、しないほうがいい人
仲間を作って互いを高め合うほうが、競い合うより目標達成の近道になるのは、仕事に関しても同様です。また勝敗を決するスポーツ競技などの世界でも、団体競技はもちろん、個人競技でも同様のことがいえます。他人を蹴落とそうとする人、とにかく自分だけが勝てればいいとがむしゃらになる人は、ある程度まで上にいけることはあっても、トップを極められないといいます。
スポーツの世界で優れた実績を残した人の中には「自分の成長や成功はライバルの存在があったからだ」という人がいます。
「よきライバル」とは、拮抗する力量を持つ者同士が、互いに競い合いながらもリスペクトし合い、ともに向上し合う関係にある相手のことです。ライバルの存在によって、目標に向かうモチベーションが上がり、競い合うことでともに力を伸ばしていける関係です。
このようなよきライバルの存在の効果は、「レッドクイーン効果」と呼ばれます。これは生物進化学の用語で、生物同士が競い合って進化し合うことを意味する言葉です。こうした効果は、スポーツだけでなく、人の活動のあらゆる場面に当てはまります。
注意が必要な点があるとすれば、「よきライバル」となるのは、自分の実力とほぼ互角の相手であることです。
自分よりずっと高い実力の人は目標にはなりますが、一気に目標に到達しようとすれば、挫折を味わう結果にもつながります。一歩一歩、段階を踏みながら目標に向かっていくことが大切なのです。
比較が「心の毒」になる前に。自分軸を取り戻す考え方
いずれにしても、他人が刺激となり、自己の成長につなげられるなら、他人との比較にも意味があります。しかし、他人を見て、自分に足りないところに目が向いて、自信をなくしたり、相手をうらやんだりするのなら、他人との比較は毒になってしまいます。
自分より下の人がいると安心する人や「自分はそこまで下じゃない」と現状に満足して、挑戦しなくなる人も同様です。
こうなってしまうなら、他人との比較などするものではありません。手に入れられるものは何もないうえに、将来にわたって失うものが大きいからです。
「他人は他人、自分は自分」そう割り切ると、気持ちがラクになり、さらに、これまでは曇りガラスに遮られてよく見えなかった自分が見えてくるようになります。
基準を他者に置くのではなく、自分軸で考え、判断する。それが最も自分を幸せにできる生き方なのです。 この書籍の執筆者:和田秀樹 プロフィール
1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。
東京大学医学部卒附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院である浴風会病院を経て、現在は精神科医。 国際医療福祉大学教授、ヒデキ・ワダ・インスティテュート代表。一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。川崎幸病院精神科顧問。和田秀樹こころと体のクリニック院長。立命館大学生命科学部特任教授。



