「どこかを削る政治は終わり」。高市早苗が目指す、日本経済のパイを広げる具体策

中国との関係や安全保障環境を見据え、高市早苗はどのような日本の国家像を描いてきたのか。2024年9月刊行の著書をもとに、改めて彼女の描く国力のあり方を読み解く。(画像出典:首相官邸ホームページ)

画像出典:首相官邸公式Webサイト
中国の脅威を前に、高市早苗が示す国家像とは?(画像出典:首相官邸ホームページ
衆議院選挙を経て、日本の政治は新たな局面を迎えた。あらためて注目されるのが、新時代のリーダー・高市早苗が描き続けてきた国家像だ。

彼女が説くのは、単なる経済成長ではない。お年寄りが安心して暮らせることで若い世代が未来に投資できる「全世代の安心感」と、サイバー攻撃や土地買収から国民を守り抜く「総合的な国力」の強化である。

「内閣が吹っ飛ぶ覚悟で挑む」と語った省庁再編の真意とは。2024年9月に刊行された大下英治氏の著書『高市早苗 愛国とロック』(飛鳥新社)より、彼女の揺るぎない国家観を一部抜粋して紹介する。

高齢者が幸せな国

高市が日本のリーダーとなった時、どのような国家像を目指しているのか。

「今の日本はなかなか厳しい時期ですが、心を合わせて、日本の総合的な国力を強くするべき時期だと思っています。外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力……。すべてです。

日本企業は一つひとつの分野を見ると、世界一の技術を持っています。にもかかわらず、ビジネスでは負けているケースも目立つ。だから、優れた技術やサービスのプランを持っている企業には、国も投資をして、成長させなくてはいけません。

やはり、経済のパイを拡大させなくてはいけません。そうでなければ、十分な社会保障も安全保障も継続できません。そのためには、総合的な国力を強くしないといけません」

高市は全世代が安心感を抱ける社会を作らなくてはならないと考える。

「国力を上げるために、少子化対策はとても重要な取り組みです。私も、力を入れてきた政策です。

他方、私は年齢を重ねた方々が幸せでなければ、若い方々が消費をしないと思っています。お年寄りが必要な医療や福祉を受けて安心して暮らしていないと、若い方々も消費や自らへの投資に安心してお金を使えません。

しかし現在は、残念ながら、歳をとるととても苦しい生活になるという不安感に覆おおわれています。それを解消する取り組みに力を入れなくてはいけません。

私は積極財政派と言われています。歳出カットばかりに励むのではなく、特に世界共通の課題を解決できるような技術分野には投資を惜しまず、国内外へのビジネス展開で富を生み、税率を上げずとも税収増が実現できるようにして、真に必要な施策に積極的な財政支出もできる状況を作りたい」

増税に頼らない積極財政の道

少子化対策は、ストレートに子どもを産む世代にフォーカスするだけでは不十分。高齢者が暮らしやすい政策にも力を入れるべきだ。

「子育て支援策はもちろん重要です。ただ、その分の財源がご高齢の方々の負担になるならば、安心して歳を重ねられません。現在若い世代も、自分の親世代が生活費にも困り、必要な医療や介護が受けられない状況だと、将来に備えるためにお金を使わなくなり、経済は縮小してしまいます。

私は全世代の安心感創出を目指します。どこかを削って別のどこかに持っていく考え方ではなく、日本経済のパイを大きくする。日本企業が技術で勝ってビジネスで負けている分野を見直して、もっと日本に富を呼び込みたい。税率を上げなくても税収を増やせる状況をつくれれば、全世代型社会保障は実現できます」

国民の生命や財産を守り抜く取り組みにも力を入れていく。

「最近では日本のEEX(排他的経済水域)内に中国がブイを勝手に設置しています。明らかに国連海洋法条約違反です。しかし、条約には違法構造物の撤去に関する規定がありません。だから中国に撤去要請をしたものの、ブイは放置状態です。船舶航行の安全に関わりますから、日本政府は撤去しなくてはいけません」
次ページ
中国の脅威を前に、高市早苗が「法改正」を叫ぶ理由
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • どうする学校?どうなの保護者?

    「まだ体育館で軟禁されてるの?」役員決めを廃止したPTA、保護者と先生が手にした“穏やかな春”

  • ヒナタカの雑食系映画論

    映画『鬼の花嫁』で永瀬廉が体現する「俺様ではない魅力」とは。『シンデレラ』的物語へのアンチテーゼも

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    江ノ電20年ぶり新車、謎の「1人掛け席」の正体は? 観光サービスではなく「混雑地獄」に挑む苦肉の策

  • 海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン

    「移民」に冷たいのはどっちなのか? スイスの厳格過ぎる学歴選別と、日本の曖昧過ぎる外国人政策