「日本は奇跡的に滅んでいないだけ」。賢い人間10倍、悪人100倍…隣国を“侮ってはいけない”理由

「日本は奇跡的に滅んでいないだけ」。攻撃的な習近平政権の裏にある「強烈な被害者意識」と、アヘン戦争以来のトラウマとは? 賢い人間10倍、悪人は100倍……元TBS記者が説く、隣国を「正しく恐れる」ための視点。(画像出典:shutterstock)

「勝てる」と見込んで何度も負けてきた国、日本

「彼を知り、己(おのれ)を知れば、百戦殆(あやう)うからず」

孫子の兵法の中で、最も有名な一句です。

日本では一般的に、「敵と味方との実力をはっきり知ったうえで戦えば、何度戦っても敗れることはない。」(『広辞苑』第七版)と訳されます。

この日本語訳の「敵」に当たる部分の原文は「彼」で、“敵”というより、“相手”のことをよく知れという意味でしょう。

日本は歴史上、隣の大国である中国を基本的には恐れてきました。それゆえ、中国の文化や制度を日本に取り入れようと、遣隋使や遣唐使を派遣しました。

しかしその一方、中国と戦争をして、幾度も亡国の一歩手前までいきました。

663年の白村江の戦いでは唐に、1590年代の豊臣秀吉の文禄・慶長の役(戦前には「朝鮮征伐」と呼ばれた)では明に、いずれも勝てると見込んで、朝鮮半島に軍を送り敗北しました。

1274年、1281年の元寇(蒙古襲来)では、元に勝てるだろうとの見込みで、迎え撃ちました。そして、前世紀の日中戦争の敗北です。元寇では、なんとか元軍を撃退しましたが、このとき占領された対馬などでは、当時の恐ろしさを、その後数百年にわたって語り伝えています。

たとえば元軍は、対馬で捕虜にした人々の手のひらに穴を開けて、鎖を通してつなぎ、船のへりに並べたといったエピソードもあります。

日本と中国の歴史的な国力の違いを考えれば、これまで中国と何度も戦争をして、日本が占領されなかったことは、奇跡に近いといえるかもしれません。

今後同じことが起きれば、本当に日本が滅びる可能性も、完全には否めません。

実際、前世紀の日中戦争は、その後アメリカとの戦争に発展して、日本はアメリカに占領されました。歴史を踏まえても、隣の大国との戦争は、絶対に避けなければならないと知るべきです。

孫子の兵法にならって、まずは中国のことを知ろうとする。侮らないこと、過度に恐れないこと、そして、よくわからない政治の動向も含めて、理解する努力を怠らず、“正しく”恐れるのが肝要です。
日本人が知っておくべき中国のこと
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この書籍の執筆者:武田一顕 プロフィール
1966年生まれ。東京都出身。早稲田大学第一文学部卒業。元TBS報道局記者。国会担当記者時代の“国会王子”という異名で知られる。また、『サンデージャポン』の政治コーナーにも長く出演し親しまれた。2023年6月退社後、フリーランスのジャーナリストに転身して活動中。大学在学中には香港中文大学に留学経験があり、TBS在職中も特派員として3年半北京に赴任していた経験を持つ。その後も年に数回は中国に渡り取材を行っている「中国通」でもある。著書に『日本人が知っておくべき中国のこと』(辰巳出版)など。
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