「偏差値40台の中堅校なら、推薦で大学に行きやすいから安心」──。難関校の激しい競争を避け、あえて中堅校を選んで大学進学でのアドバンテージを狙う「戦略的受験」が増えています。
しかし、プロの視点から見ると、実は「偏差値50台の進学校」と「偏差値40台の中堅校」では、大学入試に向けた「勝ちパターン」も、そこに潜む「リスク」も全く異なります。
最も注意すべきは、入学後に成績が低迷し、浮上できなくなるいわゆる「深海魚」状態になった時です。その時、学校は手を差し伸べてくれるのか、それとも実績のために冷徹に切り捨てるのか。
一見面倒見がよさそうに見える中堅校の、パンフレットには載らない「大学進学事情」と、学校選びで親が確認すべき「究極の質問」について解説します。
偏差値50は「一般」、40は「推薦」? 入学後の大学戦略は全く違う
そもそも、中堅校の中には「推薦で大学に行かせる」という方針の学校が多くあります。実際、一般選抜での早稲田大学・慶應義塾大学・上智大学・東京理科大学・国際基督教大学(ICU)合格者がほぼゼロでも、総合型選抜なら10人程度合格しているケースは少なくありません。評定平均値さえ高ければ、実力以上の大学に進学できる可能性も十分にあります。
しかし、偏差値50前後(普連土学園や富士見高等学校など)の進学校に通う場合は、少し事情が異なります。
例えば、上智大学の公募制推薦には評定平均値4.0以上が必要です。もしこのレベルの学校で評定4.0を取れる学力があるなら、その基礎力で一般選抜でも十分に合格が狙えます。
推薦入試特有の膨大なレポート作成に時間を割くより、一般選抜の勉強に集中したほうが効率的ですし、うまくいけば国立大学や慶應義塾大学への合格も視野に入るからです。
一方、偏差値40台の学校では、学校側が推薦対策をしっかりやってくれるため、塾なしでも大学進学を目指せる強みがあります。
下位層は切り捨て? 「推薦に強い学校」が隠す残酷な裏側
ただ、ここには大きな落とし穴があります。「推薦で大学に行かせます」という学校でも、全ての生徒が救われるわけではないのです。指定校推薦も総合型選抜も、基本的には「評定平均値」が必須だからです。もし評定平均値が足りなくなると、推薦は受けられず、かといって一般選抜の対策も手薄なため、進学先がなくなり路頭に迷うケースも出てきます。
偏差値の高い難関校が、東京大学や医学部、早稲田大学や慶應義塾大学の合格実績のために「上位2割しか相手にしない」のと同じように、中堅校でも「推薦実績のために評定がよい生徒しか面倒を見ない」というケースがよくあるのです。
こういう学校は地元での評判が微妙になっていきます。「家の近所だから通わせたけれど、上位の子しか見ない」「一般入試の指導が手薄」といった愚痴が、近隣の個別指導塾などから漏れ聞こえてくるからです。
逆に、埼玉の武南高校のように「成績不振の生徒こそ面倒を見る」という姿勢で志願者を増やしている学校もあります。他にも、成績不振の生徒には卒業生を家庭教師として派遣してテコ入れをする学校もあります。



