愛子さま「長く一緒に過ごせますように」。その言葉は、皇室に残る“覚悟”だったのか

2022年の愛子さまの成年会見には、天皇皇后両陛下から受け継いだ「皇室が大切にすべき精神」が体現されていた。「これからも長く一緒に」——両陛下へ送られた言葉の真意とは。高森明勅氏が分析する、プリンセスの覚悟。(写真:工藤 直通/アフロ)

20歳のご決意

20歳の敬宮殿下のご決意が正直に表明されています。

ここに「自分を磨き」とあるのは、天皇陛下がお誕生日に際しての記者会見で繰り返し述べてこられた「自己研鑽」「研鑽」=平成31年(2019年)、令和2年(2020年)、令和4年(2022年)=という言葉を、ご自身なりに咀そ 嚼しゃくされたうえで言い換えられたものでしょう。

先の記者会見でも「研鑽」という言葉を、ご自分の文脈の中に織り込まれて、自然な形で使っておられました。

「皇室の皆様は……(中略)このような(皇室の一員としての)立場で研鑽を積むということの意義をお示しくださっているように思います」と。

また「思いやりと感謝の気持ち」という表現にも注目する必要があります。

というのも両陛下のおことばの中に、これと共通する表現が、すでに用いられていたからです。たとえば、皇后陛下の令和元年(2019年)のお誕生日の際の「ご感想」に次のようにありました。

「愛子は……(中略)これからも感謝と思いやりの気持ちを大切にしながら、いろいろな方から沢山のことを学び、心豊かに過ごしていってほしいと願っています」

皇后陛下は、さかのぼって平成29年(2017年)から、この年まで続けて敬宮殿下に向けて「感謝と思いやりの気持ち」の大切さについて述べておられます。

また天皇陛下も、令和2年(2020年)、令和3年(2021年)の記者会見で繰り返し、敬宮殿下が「感謝と思いやりの気持ち」を大切にするように、言及しておられました。

敬宮殿下の「ご感想」の中の「思いやりと感謝の気持ち」は、両陛下のお気持ちを真摯に受け止められた“あかし”でしょう。

さらに、敬宮殿下は大学ご卒業後、皇族としてのお務めに励みながら、日本赤十字社にも勤務される「公務と仕事の両立」(令和6年=2024年=4月2日発表の文書回答)という献身的な選択をされました。

これは、「人の役に立つことができますよう、一歩一歩進んでまいりたい」という、この時の決意を着実に実行されたものと言えるでしょう。

「長く一緒に過ごせますように」というメッセージ

記者会見の場では、関連質問へのお答えの中で次のようなご発言もありました。

記者が敬宮殿下がお生まれになった時に、皇后陛下が「生まれきてくれてありがとう」とおっしゃったことに対して、20歳になられた敬宮殿下が両陛下に伝えたい言葉があれば聞かせてください、との質問へのお答えでした。

「母の『生まれきてくれてありがとう』という言葉に掛けて、私も『生んでくれてありがとう』と伝えたいと思います。……(中略)そして、『これからもどうかお体を大切に。これからも長く一緒に時間を過ごせますように』という言葉も添えたいと思います」

敬宮殿下がご誕生になった時の両陛下のお喜びを改めて思い浮かべると、両陛下にとって何よりも嬉しい素晴らしいお答えでした。

しかも最後に「これからも長く……」と付け加えておられたのは、軽く見逃せないメッセージを含んでいたように感じられます。

今の皇位継承ルールのままだと、敬宮殿下はご結婚とともに皇室から離れなければなりません。しかし、そのルールが変更されれば皇室にとどまることが可能になります。

もちろん、そのあたりはもっぱら政治の領域になります。だから皇族の立場ではストレートな言い方はできません。

しかし、そのようなルールの変更が政治の場で決まった場合、それを拒絶しないというお気持ちを、やわらかく示唆しておられる表現になっていました。
愛子さま 女性天皇への道
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この書籍の執筆者:高森 明勅 プロフィール
皇室研究者、國學院大學講師。専攻は、神道学、日本古代史。1957 年、岡山県倉敷市に生まれる。國學院大學文学部卒業後、同大学院博士課程単位取得。國學院大學日本文化研究所研究員、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当などを歴任。小泉純一郎内閣当時の「皇室典範に関する有識者会議」において8名の識者、皇室研究の専門家のひとりとしてヒアリングに応じる。「プレジデン トオンライン」にて『高森明勅の「皇室ウォッチ」』を月1回連載中。
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