「国民の幸福を常に願い、苦楽を共にする」。両陛下から受け継がれたその哲学は、いかにして若きプリンセスの中に育まれたのか。そして、会見の最後に語られた言葉に秘められた、皇室に残るという“静かなる決意”とは。
皇室研究者・高森明勅氏の著書『愛子さま 女性天皇への道』(講談社)より一部抜粋して紹介します。
成年記者会見での輝き
驚くべきは、敬宮殿下がまさに「どのような立場」になられても、多くの人たちにおのずと敬愛の気持ちを抱かせる「一人の人間として立派に」成長された事実でしょう。人々がその事実に気づいたのはいつか。おそらく令和4年(2022年)3月17日、敬宮殿下がご成年を迎えられたことにともなって、皇居・御所の大広間で初めての記者会見に臨まれた時ではないでしょうか。
殿下は春らしい若草色のスーツをお召しになって、終始、穏やかな笑顔を記者のほうに向けながら、ひとつひとつの質問に丁寧にお答えになりました。手元に用意されたメモに目を落とされる場面は、最後までありませんでした。
ご会見では誠実なお人柄がにじみ出ていました。優美で品格があり、しかもユーモアと親しみにあふれた、光り輝くような記者会見でした。
この記者会見を拝見して、「なぜか自然と涙が流れてしまった」とか、「心が洗われたような気持ちになった」などの感想が多く寄せられました。
ご会見でのお姿から、皇室の方々の中でも直系の血筋につながる方だけがまとうことができる、独特の高貴なオーラを感じた人もいたのではないでしょうか。
敬宮殿下は、この日までの20年間、ずっと天皇、皇后両陛下から薫陶、感化を受けて育ってこられました。
それによって、おのずと高い品格を身につけられた。その事実を誰もが納得できたご会見でした。
皇室が「最も大切にすべき精神」
敬宮殿下ご自身も、両陛下からの感化をはっきりと自覚しておられることは、この時のご会見でのご発言からもわかります。「私は幼い頃から、天皇皇后両陛下や上皇上皇后両陛下を始め、皇室の皆様が、国民に寄り添われる姿や、真摯に御公務に取り組まれるお姿を拝見しながら育ちました。
そのような中で、上皇陛下が折に触れておっしゃっていて、天皇陛下にも受け継がれている、皇室は、国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にしながら務めを果たす、ということが基本であり、最も大切にすべき精神であると、私は認識しております」
「両親と話をしておりますと、豊富な知識と経験に驚かされることが多々ございまして、また、両親の物事に対する考え方や、人との接し方などからは学ぶことが多くございます」
ご成年を迎えられたばかりなのに、すでに皇室が「最も大切にすべき精神」をつかんでおられることに驚きます。
さらに、両陛下から直接に「物事に対する考え方」「人との接し方」を学ばれているというのは、次の時代の皇室を担うべき方として、最も大切な内容ではないでしょうか。
敬宮殿下は両陛下からのお気持ちに前向きに応えようとされています。それを知ることができるのは、令和3年(2021年)のお誕生日にご成年を迎えられた時に発表された「ご感想」の中に、次のような一節があった事実からです。
「日頃から思いやりと感謝の気持ちを忘れず、小さな喜びを大切にしながら自分を磨き、人の役に立つことができる大人に成長できますよう、一歩一歩進んでまいりたいと思います」



