ある受験生が本命校のかえつ有明中学校を受験したら、同じ塾の生徒が声を掛けてきたそうです。その子は塾で一番上のクラスにいて、御三家を受験したはずです。「そんな偏差値の高い子が、なぜかえつ有明中学校を受けるの!?」とお母さまも驚いていました。
今、御三家を受けるほどの学力がある受験生も偏差値40台の学校を受験しています。「偏差値50以下の学校は受験しない。偏差値50の獨協中学校が残念だったら公立に進学する」というのは昔の話で、今はみんなどこかの私立に進学しようとします。
「推薦で有利」の甘いわなと、中堅校のリアル
さて、なぜ中学から私立に入れたいのかと言えば、やはり「大学進学に有利だ」と思うからでしょう。特に勉強が苦手な場合、公立中学に進学すれば、そのまま中堅高校に進学することになります。「それなら中学から私立に通った方がいい」と判断する保護者もよく見られます。
そういった中堅校では、推薦入試での大学進学を目指します。
そのため、「難関校より中堅校の方が評定平均値が取りやすいから、推薦で有利になる」と考える保護者もいますが、これも難しいところです。
例えば、ある中堅校は「探究学習の成果を生かし、総合型選抜で大学に行かせる」とアピールします。しかし、その学校から総合型選抜で慶應義塾大学SFC(総合政策学部・環境情報学部)に行けるのは、ごくわずかなエリートだけです。
多くの生徒は、大東亜帝国(大東文化大学、東海大学、亜細亜大学、帝京大学、国士舘大学)や桜美林大学などの中堅大学に指定校推薦や総合型選抜で進学します。そして、こうした知名度のある大学に推薦で進学できるのは、まだ「上澄み」なのです。
「下位半分は切り捨て」中堅校でも起きる選別の実態
中堅校は特進クラスとレギュラークラスを分けていて、後者は「推薦で大学に行かせる」という方針のケースも多いです。しかし、実際に推薦で大学に行けるのは半分ぐらい、ということも。特に男子校はその傾向があります。残り半分は評定平均値が低いので、推薦入試に出願すらできません。加えて、一般選抜の対策を熱心にしているわけでもないので学力も高くなく、一般選抜で希望する大学に行くのも困難です。
一方で、特進クラスの生徒たちは一般選抜向けの対策をしてきているため、まだ救いがあります。
難関校で「上位2割しか相手にしない」ケースは珍しくありません。なぜなら上位2割が東京大学含む旧帝大や医学部、早稲田大学や慶應義塾大学に受かってくれれば、それが合格実績になるからです。こういう学校は8割の生徒を切り捨てていきます。
ただ、学校経営を考えると致し方ない面もあります。難関校が成績下位8割を切り捨てるように、中堅校の中には評定平均値が低い生徒を見捨てることも少なくありません。



