同僚への年賀状、差出人は「自宅」ではなく「学校」? 現役教員が語る、激変した職員室の事情

昔は全員に出していた年賀状、今は「送れない」のが当たり前? 現役教員・松下隼司さんに聞く、個人情報保護で変わった職員室の連絡事情。(画像出典:PIXTA)

「異動した先生」の消息、年賀状で分かるって本当?(画像出典:PIXTA)
「異動した先生」の近況、どうやって知る?(画像出典:PIXTA)

公立学校の教員には、数年ごとの「異動」がつきもの。「お世話になったあの先生、元気にしているかな?」と、年賀状のやりとりで近況を知るのを楽しみにしていた人もいるかもしれません。

しかし近年、個人情報の取り扱いや連絡手段の変化により、職員室の年賀状事情は様変わりしているようです。

大阪の現役小学校教員・松下隼司さんに、教師ならではの年賀状事情と、その変化について聞きました。

(今回の質問)
先生は、以前一緒に働いていた同僚の近況を年賀状で知ると聞いたことがあります。本当ですか?

 

(回答)
最近は、なかなかないと思います。代わりに、LINEで近況を知ることもあります。


どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

そもそも、先生同士で年賀状を送り合わなくなってきた

「異動した先生の近況を、年賀状で知ることがあるんですか?」と聞かれることがありますが、正直に言うと、最近はなかなかないと思います。

というのも、先生同士で年賀状を送り合うこと自体が減ってきているからです。

以前は、同じ学校で働いている先生同士で年賀状を出すこともありましたし、担任していた子どもたちに年賀状を送る先生もいました。

しかし、最近はそういうやりとりはあまり見かけなくなりました。

住所が分からない、書かない——年賀状の前提が変わった

年賀状が減ってきた背景として、個人情報の扱いが変わってきたことはあると思います。

私の場合、初任校や2校目では、年度初めに先生たちの住所が載った名簿が配られていました。管理職、教職員、給食調理員さん、管理作業員さんたち全員のお名前とご住所がある一覧表をもらって、同僚の先生や管理職にも全員年賀状を出していました。

3校目に赴任した当初もありましたが、途中でなくなってしまいました。年々、住所録を配る学校は減ってきています。もう1つ、私自身の変化として、自分の住所ではなく勤務校の住所を書くようにもなりました。

そうした変化に伴って、担任している子どもに対しても年賀状を送らなくなりましたね。以前は、学校でやる仕事と家でやる仕事を分ける中で、年賀状は家で書いていました。閉庁日に持ち帰り、「年賀状出さな間に合わへん!」と思って29日や30日に家で書きながら、「あー、もうそろそろお正月やね」と。

でも、子どもの住所録(個人情報)を持ち帰るのはダメだ、危ない。でも学校では時間もないし……というので、だんだんと書かなくなりました。

年賀状の代わりに、今はLINEで近況を知る

その代わりに増えているのが、LINEでのやりとりです。

個別に「あけましておめでとうございます」と送ることもありますし、以前一緒に働いていた先生たちのLINEグループで、年始のあいさつをすることもあります。お正月用のスタンプなんかも、よくありますよね。

LINEだと、久しぶりに相手のアイコンを見ることがあります。アイコンやバックの画像が変わっていると、「家族が1人増えたんや」とか「子ども大きくなってるわ」とか、犬のアイコンになっていて「あっ犬飼いだしたんや」とか。

年賀状の住所を見る代わりに、そういうところから近況を知る、という感じです。

松下隼司さん
大阪府公立小学校教諭。令和4年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。令和6年版教科書編集委員。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門優秀賞などの受賞歴を持つ。「先生を続けるための『演じる』仕事術」(かもがわ出版)など著書多数。voicyで『しくじり先生の「今日の失敗」』を発信中。
先生を続けるための『演じる』仕事術
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地子給 奈穂
この記事の執筆者: 地子給 奈穂
編集・ライター歴17年。マンガ、小説、雑誌等の編集を経てフリーライターに転向後、グルメ、観光、ドラマレビューを中心に取材・執筆の傍ら、飲食企業のWEB戦略コンサルティングも行う。 ...続きを読む
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