「変」と言われるのは、特別な存在の証。子どもの“自己肯定感”を高める、親の切り返し方

友達に「変」と言われた、仲間外れにされた……。そんなとき、親の言葉一つでその経験は「自己肯定感」に変わります。モンテッソーリ講師・丘山亜未さんが教える、傷ついた子どもの心を守り、強くする『親の言葉選び』とは?(画像出典:PIXTA)

「おはよう」「ありがとう」「ごめんね」と言う

朝、起きない子どもにイライラして、怒りながら「おはよう」も言えずに送り出した日。夜になってふと思い出すと、胸の奥がチクリと痛む。
 
「ありがとう」を飲み込んでしまったときや、「ごめんね」を言えないまま過ぎてしまったときも、心には小さな引っかかりが残るものです。
 
「おはよう」は、一日を明るくやわらかく始められる言葉。
 
「ありがとう」は、存在そのものを喜び合える言葉。
 
「ごめんね」は、また寄り添える言葉。
 
大人が挨拶に心を込めたとき、初めて子どもは本当の挨拶の意味を受け取ります。

忙しさや疲れで心がついていかない日があっても大丈夫。今日がダメでも、また明日、心を込めて「おはよう」が言えたらそれでいい。

たったひと言で、心の距離はぐっと縮まります。

解説:親の言葉で子どもの穏やかな心が育まれる

モンテッソーリ教育では、言葉を「人間の精神を形づくる力」として見つめます。

言葉の獲得とは、知識の習得ではなく、“自我の芽生え”そのもの。

名前を呼ばれ、応え、思いを伝える。そのくり返しの中で、子どもは「私は理解されている」「私は存在していい」と感じ、自我の芽が静かに育っていきます。
 
言葉は、他者への働きかけであると同時に、自分の内側を見つめる道具でもあります。この発達を支えるのが、日常の“語りかけ”。
 
特別な言葉ではなく、生活の中の自然なやりとりーー「おはよう」「おいしいね」「ありがとう」。そんなあたたかい音の積み重ねが、子どもの中で「世界はやさしい」という感覚を育てます。そしてその安心感が、やがて豊かな言葉と穏やかな心を育むのです。
 
モンテッソーリは、言葉を「思考が外にあらわれたもの」として捉え、心の発達と深く結びつけて考えていました。
 
子どもにとって言葉を学ぶとは、自分を知り、世界と調和して生きる力を育てること。
 
だからこそ、大人にできるのは、“言葉を教える”ことではなく、子どもが安心して言葉を育てていける環境をつくること。

安心と尊重の中で、子どもは自分のタイミングで言葉を見つけ、世界を理解していくのです。
1分だけ子どもを待ってみる モンテッソーリ流 子どもの才能を伸ばす100の小さなこと
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この書籍の執筆者:丘山亜未 プロフィール
株式会社kototo代表。モンテッソーリ幼児教室「ちいさないす」とモンテッソーリの学びを広げる教育事業「kototo Montessori Life」を主宰し、2万5,000組以上の親子を支援する。著書に『子どもの才能を伸ばす5歳までの魔法の「おしごと」』、『0~7歳 モンテッソーリ教育が教えてくれた子どもの心を強くする10のタイミング』(どちらも青春出版社刊)。
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