例えば、早慶上智ICUの一般選抜では英検準一級以上の英語力が求められます。ところが総合型選抜ならばこれらの大学に英検2級で合格することがしばしばあります。
なぜなら、総合型選抜は「評定平均値」「英語資格試験」「志望理由書」の3つの合計点で合否が決まるからです。
英検2級でこれらの最難関私大に合格するためには志望理由書で差をつけなくてはなりません。総合型選抜のキモは志望理由書です。
今回は「評価される志望理由書」について、『7日間で合格する総合型選抜学校推薦型選抜 志望理由書 面接』(学研プラス)の著者で、総合型選抜専門塾AOIの福井悠紀さんの話を交えながら言及していきましょう。
そもそも志望理由書とは何か
「志望理由書は、なぜ大学に入りたいかを説明する書類です」(福井さん)
拙著『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(青春出版社・杉浦由美子)に岡山大学の農学部に推薦入試で入学した学生の志望理由書を掲載しました。
この学生は「野菜の食料自給率を上げるための研究をしたい」ということを志望理由とし、農業アルバイト経験の中で、現状は苗を離して植えていくことに着目。一度の収穫量を増やすためには、もっと密度を上げて植えていくことが必要で、それを大学で研究したいと書きました。
このように自分が大学で何をやりたいかを具体的に書き記すのが志望理由書です。
この志望理由書の最前線はどうなっているのでしょうか。
AIに志望理由書を書かせることができる今、大学の対応も厳しくなっています。
AI時代、求められる志望理由書の質も高くなる
「AI技術の進化により、書類の中身がこれまで以上に問われるようになりました」(福井さん)まず、志望理由書は単に論理的な文章を書くことだけが評価される時代ではありません。今は、AIで文章が簡単に生成できるため、「誰でも書ける」レベルの内容では差別化が難しくなっています。
そこで求められるのが、自分自身で考え、調べ、体験したことを自分の言葉で表現する「思考の過程」です。
福井さんは、生徒たちが最初に興味を持つテーマの発見方法についてこう話します。
一方で、調査方法も変化しています。インターネット検索やAIを使った情報収集は非常に便利ですが、それだけで終わらせると内容が浅くなりがちです。多くの生徒は、学校の授業や好きな教科の内容、あるいは先生の研究テーマなどから少しずつ関心を深めていきます。必ずしも初めから壮大な社会問題である必要はなく、小さな興味関心から始めてよいのです。
「ぜひ図書館の本や学術論文など、より信頼性の高い情報源にあたってみてほしい」(福井さん)
今は論文がインターネット経由で簡単にダウンロードでき、スマートフォンで読むことができます。
こうして幅広い情報を集めて自分の考えを練ることが、大学が求める「学ぶ姿勢」の現れになります。AIに頼って「情報をただ写しただけ」の文章になると、実際に総合型選抜の試験官が読み解いたときに「本当に理解して書いているのか」と思われて、たとえ、一次試験を通っても面接で厳しく追及されます。



