(質問)
新卒の指導役を任されましたが、どうもやる気がなさそうです。主体性を発揮してもらうにはどうすればいいでしょうか?
(回答)
主体性がないように見えがちな新卒に対しては、やるべきことを具体的に伝えてお手本を見せる→実際に取り組んでもらい、できたら認めて褒めるという一連のステップを繰り返すことが大切です。まずは新卒の方の現状を観察し、背景を理解するところから始めましょう。
詳しくは以下で解説します。
新卒の指導はあなたの成長にもつながります
「やる気」の正体は? 2つのタイプ別アプローチ
「やる気がなさそう」に見える理由は、人によってさまざまです。まずはその人の状態を観察し、背景にあるものを探ってみましょう。1. やる気は見えないけれど、成果は出している場合
口数は少ないけれど、任せた仕事はきちんとこなしている。このタイプには、まず「期待通りに仕事をしてくれて、ありがとう」と、できていることを具体的に承認するのが効果的です。その上で、「もし自分で『こうすればもっとよくなる』と思うことがあれば、ぜひ試してみてほしい」と、次の成長への期待を伝えてみましょう。
2. やる気も見えず、成果も出ていない場合
この場合は、少し踏み込んで話を聞く必要があります。仕事で悩んでいるのか、あるいはプライベートなことで元気をなくしているのか。まずは「少し元気がないように見えるけど、何かあった?」と声をかけてみることから始めましょう。話を聞いたら、一緒に「小さな目標」を設定し、それを達成する経験を積んでもらうことが重要です。「今日はこの書類を3時までに作ろう」といった具体的な目標を立て、達成できたら一緒に喜び、褒めてあげてください。成功体験の積み重ねが、自信とやる気を高めるきっかけになります。
また、いずれの場合でも「主体性がない」と判断を下す前に、まず指導役のあなたが、相手の声を「聴く」姿勢を持つことも重要です。一方的に業務指示を出すのではなく、
「この仕事を進める上で、不安な点や気になることはある?」
「このやり方について、何か他にいいアイデアはある?」
「この業務を実施する上で、私にサポートしてほしいことはある?」
といった、オープンな質問を投げ掛け、新卒自身の意見や考えを促すのもおすすめ。彼らの視点を知ることで、指導の方向性もより的確になるはずです。
業務に支障を来す課題は、早めの指摘がおすすめ
いずれのケースでも、指導役として大切なのは、新卒の仕事に対する考え方を「社会人としての基準にすり合わせる」ことです。特に新卒の場合、仕事における「主体性」や「責任感」がどんなものか、まだ具体的に理解できていない場合も少なくありません。例えば、「すぐに休む」という行動も、自分は休んでも誰にも迷惑をかけないと考えている可能性も。その場合は、任せている仕事がまわりの人にどんな影響を与えているかや、その仕事にどんな責任があるかを、伝えてあげましょう。
指導の目的は「好かれること」ではなく「育てること」
「やる気がなさそう」と感じたら、本人にとっても、組織にとっても、率直に指摘することが最善の道となることが多いです。先輩側が「まあ、最低限はできてるし……」と見過ごしてしまうと、後々大きな課題となってしまう場合があります。私自身の経験からも、自分の足りない部分をはっきり指摘し、できるまでとことん向き合ってくれた先輩には、今も感謝しています。それは、私を成果が出せる人材に育てようと、真剣に向き合ってくれた証しだからです。
指導役は、好かれることや仲良くなることが目的ではありません。もちろん、良好な関係は大切ですが、それ以上に「会社が求める成果を出せる人材に育てること」が最大の使命です。時には愛情をもって厳しいことも伝えていきましょう。
前述しましたが、「主体性がない」と見えがちな新卒には、やるべきことを具体的に伝え、お手本を見せ、やらせてみて、できたら褒める。このシンプルなステップを繰り返すことが、一番の近道です。
ただし、指導は一人で抱え込むと疲れてしまいます。指導方法に悩んだり、不安を感じたりした時は、あなた自身を育ててくれた先輩や上司に相談してみてください。周りの力を借りることも、指導役の重要な心得の1つとして、ぜひ覚えておいてくださいね。
この記事の執筆者:
小林 佳代子
『女の転職type』編集長
新卒で(株)キャリアデザインセンター入社。転職情報誌及び転職サイト『type』『女の転職type』で、1000社以上の求人広告制作に携わる。2018年『女の転職type』編集長に就任。プライベートでは2児の子育て中。 女の転職type■https://woman-type.jp/ type■https://type.jp/
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