【前回の記事「2025年上半期のK-POPを振り返る」(#50)はこちら】
『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』が話題
K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):そういえば矢野さん、アニメ映画『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』はもうご覧になりましたか? 6月からNetflixで公開されている作品なのですが、今、世界的に話題になっています。
矢野:もちろん見ました! 正直、最初は海外制作アニメーション特有のキャラクターデザインに少々戸惑っていたのですが、途中からまったく気にならなくなりました。ストーリー自体は王道である気はするのですが、K-POPの曲、ダンス、爽快なアクションシーンの掛け合わせが刺激的で、最後まで飽きることなく楽しめました。BTSのジョングクさんも見ていて、とあるシーンで泣いてしまったとか。
ゆりこ:実は、私も最初の数分間は独特な絵柄になじめず「ふーん、これが海外でウケているのか」なんて冷静に見ていました。最近になって日本国内でも徐々に「面白かった」という感想や記事が回り始めましたが、海外人気より一歩遅れて波が来た要因はあの絵柄にもあったのかな? と邪推します。でも見ていくうちにどんどん物語に没入できて、楽しめました。
矢野:公開して間もなくNetflixグローバル映画ランキング1位を獲得したり、劇中の架空K-POPグループの歌う劇中歌が米ビルボードチャートで「Hot 100」1位にランクインしたりと、盛り上がっていますね。
ゆりこ:「HUNTR/X(ハントリックス)」が歌う『Golden』ですね。架空のグループではありますが、K-POPガールズグループ初の米ビルボード「Hot 100」1位と報道されています。イギリスのオフィシャルシングルチャートでもトップになりましたし、『Golden』以外のサントラも各国のチャートにランクインしています。作品自体の評価も高く、韓国はもちろん日本でも徐々に報道され始めていますね。日本のアニメを見慣れている人には多少の違和感を覚える可能性がありますが、そこを差し引いても見どころはたくさんある作品だと思います。見始めて10分間は「ううん?」となっても最後まで見てみて、とお伝えしたいです。
矢野:これまでにない作品ですよね。インド映画や、ミュージカル原作映画など劇中でダンスや歌が入る作品はいくつもありますが、K-POPそのものを取り入れた映画は初めて見ました。知っている曲も多数使われていて、純粋にワクワクしました。
【『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』作品情報】
・2025年6月より配信開始されたNetflix発のアニメ映画
・3人組K-POPガールズグループ「HUNTR/X(ハントリックス)」が秘密の能力を使い、デーモンからファンと世界を守るという内容で世界的にヒット中
・「HUNTR/X(ハントリックス)」の敵役、デーモン側のボーイズグループ「サジャ・ボーイズ」にも注目
・人気俳優イ・ビョンホンとアン・ヒョソプが声優として参加
・音楽は著名プロデューサーのTEDDYを中心にK-POP業界の敏腕クリエイターたちが参加
・サウンドトラックがアメリカやイギリスの音楽チャートの上位にランクイン
・劇中歌『Takedown』を歌うのはTWICEのジョンヨン、ジヒョ、チェヨン
・3人組K-POPガールズグループ「HUNTR/X(ハントリックス)」が秘密の能力を使い、デーモンからファンと世界を守るという内容で世界的にヒット中
・「HUNTR/X(ハントリックス)」の敵役、デーモン側のボーイズグループ「サジャ・ボーイズ」にも注目
・人気俳優イ・ビョンホンとアン・ヒョソプが声優として参加
・音楽は著名プロデューサーのTEDDYを中心にK-POP業界の敏腕クリエイターたちが参加
・サウンドトラックがアメリカやイギリスの音楽チャートの上位にランクイン
・劇中歌『Takedown』を歌うのはTWICEのジョンヨン、ジヒョ、チェヨン
仮想のK-POPグループが世界を席巻! 一度聞くとハマる劇中歌に注目
ゆりこ:やはり『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』を語る上で「音楽」という要素は外せません。矢野さんのおっしゃる通り、要所要所でこれまでのヒットK-POP曲が流れてくる。EXOファンの私としては突然『LOVE ME RIGHT』が流れて大興奮だったのですが、SUPER JUNIORの『Black Suit』もチラッと出てきてうれしかったですね。そしてメインの男性キャラクター・ジヌが登場した時はドラマ『社内お見合い』の曲が流れたのですが、その理由、分かりましたか?
矢野:一体何でしょう? 想像がつかないです。
ゆりこ:正解は……ジヌの声(※英語版)を演じているのが、俳優のアン・ヒョソプさんだったからです。『社内お見合い』は彼の代表作の1つなので、あえてクスっとさせる仕掛けを作ったのだと思います。ちなみに古代の悪魔の王はイ・ビョンホンが声を当てています。
矢野:豪華な面々ですね。所々でいろいろなK-POP作品のオマージュや「あの人をモデルにしているのでは?」と想像させる要素が出てきたことも面白かった。K-POPファン同士で考察したり、予想し合ったりする楽しみがありますね。そして僕の好きなTWICEのメンバーが参加しているので、ONCE(TWICEファン)は必見です。ジョンヨンさん、ジヒョさん、チェヨンさんが歌う『Takedown』をはじめ、オリジナルの劇中歌がどれもカッコよかったです。カバーダンス投稿もたくさん回っていますよね。 ゆりこ:関わっているクリエイターも豪華ですから。前回ALLDAY PROJECTの話でも出てきた、BLACKPINKのプロデューサーとして名高いTEDDYさんをはじめとするTHE BLACK LABELのスタッフたちに、これまでBTSやTWICEの曲を手掛けてきたアメリカの作曲家・Lindgrenさんも参加。メイン曲『Golden』の作曲を手掛けたのは、aespaの『Armageddon』を生み出したEJAEさんです。彼女は元々SMエンターテインメントの練習生で、今回ルミのボーカルも担当しました。仮歌として吹き込んだ声を監督が気に入り、大抜てきとなったのです。かつて少女時代のメンバーたちと共に、本気でアーティストを目指して努力していた彼女だからこそ、表現力豊かに歌い上げることができたのでしょう。ルミの歌声は、実在するK-POPグループのメインボーカルと比べても遜色ありませんでした。
矢野:アニメ、しかも架空のアイドルとはいえ、まるで実際にK-POPアイドルの音楽ライブを見たり聞いたりしているように感じたのは、K-POPのプロたちが制作したからなのかもしれません。本作は韓国の制作会社で、韓国のスタッフが作った作品かと思いきやアメリカ制作で、監督もカナダ(韓国系)とアメリカの方と知ってビックリです。ソウルの街や韓国カルチャーをきちんと取材し理解した上で作ったのが伝わりました。



