「勉強タイム」の仕掛けづくりで宿題を習慣化
「勉強タイム」を設定することは、宿題の習慣化の1つとして有効だという。「子どもに宿題をしなさい!」「いつ始めるの!」と注意をするのではなく、◯時になったら親もスッと資格の勉強を始めるなど、親子での勉強タイムを設定しておくのだ。あるいは、読書タイムにしてもいいという。子どもは親の姿をよく見ているので、お母さんやお父さんが学びに向かっていれば、子どもは「あ、勉強タイムなんだな」と察して、自分の宿題をするようになるという。
他にも、習慣化する工夫として3つの仕掛けを岩田さんが教えてくれた。
仕掛け1. 「スタディーモード」のライトに切り替える
宿題タイムになると、電気を「スタディーモード」に切り替えるようにする。食事をしたり団欒(だんらん)したりするときは、リラックスできる暖色系の色味のライトに。夕飯後、宿題や勉強をする時間になったら、「スタディーモード!」と宣言して寒色系の明るいライトに切り替える。そうすることで、「宿題をしなさい!」と直接言わなくても、スイッチの切り替えができるようになるという。
仕掛け2. メロディー時計を使って子ども自身で時間管理
「宿題をする時間でしょ!」「もう◯時だから寝なさい!」と朝から晩まで子どもに注意をしていると、親もへとへとになってしまう。岩田さんは「ぴったりの時間になると音楽が鳴るメロディー時計を使うのは有効です。メロディー時計を導入し始めたときは、『あ、◯時になったね』など子どもの行動を促す声がけをしますが、次第に音楽が鳴っただけで、子どもが自ら宿題を始めたり就寝準備をしたりするようになります」と語る。
仕掛け3. 甘いものから宿題タイムに突入
「お菓子も有効に活用してOK」と岩田さんは言う。「宿題をする時間になったら、『飴いる人?』『ゼリー食べる人?』などと子どもをおびき寄せ(笑)、ちょっとしたお菓子を食べながら宿題をやっていた時期もありました」(岩田さん)
また、岩田家ではきょうだいの末っ子になると、長男や長女の様子を見て「この時間は勉強するものだ」と自然に順応していった。そして、「こういうものだ」という習慣化が一度定着してしまえば、どんどんラクになる。あとは、子どもが自分から学ぶようになっていくからだ。
子どもを追い込んで宿題をさせ続けていると、あらゆる学びに対して「やらされるもの」だというイメージがついてしまう。大切なことは、「宿題をさせる」ことではなく、子どもが自分で学びに向かっていくこと。
大人になっても学び続けていくことは大切なのに、人生の早い段階で学びに対してマイナスイメージを持つことは、どう考えても得策ではない。宿題バトルから卒業できるよう、学びのイメージダウンにならない仕掛けを上手に取り入れていこう。 岩田かおりさん プロフィール
家庭教育コンサルタント/株式会社ママプロジェクトJapan代表/全国ワーキングマザーの会副代表。幼児教室勤務を経て、「子どもを勉強好きに育てたい!」の思いから、独自の教育法を開発。ガミガミ言わず勉強好きで知的な子どもを育てる作戦『かおりメソッド』を全国へ展開中。3人(1男2女)のママ。著書に『自分から学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。
この記事の執筆者:佐藤 智 プロフィール
横浜国立大学大学院教育学研究科修了。出版社勤務を経て、ベネッセコーポレーション教育研究開発センターにて、学校情報を収集しながら教育情報誌の制作を行う。その後、独立。全国約1000人の教師に話を聞いた経験をもとに、現在、学校現場の事情をわかりやすく伝える教育ライターとして活動中。最新刊は『渋幕だけが知っている「勉強しなさい!」と言わなくても自分から学ぶ子どもになる3つの秘密』(飛鳥新社)。



