そんな悩みを抱く保護者は少なくない。こうした状況に対して、「小学生まではデジタルデバイスは親の許可のもと使用するようにしたほうがいい」と語るのは、これまで7000人のお母さんお父さんの相談に乗ってきたママプロジェクトJapan代表で家庭教育コンサルタントの岩田かおりさんだ。
スマホを戦略なく、子どもに渡しっぱなしにしない
「子どもが静かにしているから」とスマホを渡してしまうこともあるだろう。移動中にアニメを見せておくなど、必要なこともある。デジタルに頼ることが悪いのではなく、“子ども任せ”にしてしまうことが問題だと岩田さんは言う。「スマホは刺激が強いので、読書をするよりも、折り紙をするよりも、友達と遊ぶよりも、スマホを見ていたほうが簡単に楽しめます。自由に触っていい状態にしておけば、結果的にスマホ中心の生活に陥ってしまう可能性は十分にあるでしょう」
スマホを眺めていると、あっという間に時間が過ぎているということは大人にも起こる。SNSや動画は受動的で眺めていられるため、依存性も高くなる。では、どうしたらいいのか。
「なるべく早い段階でスマホを使う際のルールを子どもと一緒に決めてください。そして、そのルールを家族で粛々と遂行していきます」と岩田さんは言う。
スマホ使用のルールとは?
スマホ使用のルールとはどういったものがありえるのだろうか。「1日◯分以内」「夜◯時以降は触らない」などが考えられるが、岩田さんは実際にどのような実践をしていたのだろう。「わが家では小学生のうちは自分のスマホではなく、出掛けるときに持っていける子ども用の携帯を1台契約していました。『電車に乗り遅れた』など、外で何かトラブルがあったときには、連絡できる体制にしていたのです。
ちなみに、私は電話が鳴ってもワンコールでは絶対に出ないと決めていました。なぜなら、親がすぐにアドバイスをくれると思うと、子どもはどんどん自分の頭で考えなくなるからです。親が離れたところにいて助けられないときは、子どもが周囲の人に助けを求めなければいけません。
『電車を乗り間違えたら、駅員さんに聞いてみよう』など、瞬時に自分で考えて対策できるようになるには、親と常につながっていることが邪魔になることもあるのです」
確かに、親に電話をしても何も解決しない状況にもかかわらず、「1人の外出中に困るとすぐに電話をかけてくる」という子どもの話を聞いたことがある。1人でいるときに、適切な行動を取れることは、子どもの生きる力だと言えるだろう。
加えて、「自分でなんとかする力がなければ、学力も積み上がりません」と岩田さんは続ける。「自分にはどんな学びが必要なのか」「どうしたらそれを習得できるか」など勉強においても判断力が欠かせないからだ。



