ダイエット=体重を減らすことではなく、適切に食事をコントロールし、筋肉をつけながら美しい体にするメソッドを理解することが重要です。
京都大学名誉教授・森谷敏夫氏の最新著書『京大式 脂肪燃焼メソッド』から一部抜粋し、ダイエットに効果的な食事のバランスを紹介します。
タンパク質不足は「隠れ肥満」の原因に 痩せたい人にこそタンパク質が必要な理由
炭水化物とともに食事の中で減らしてほしくないのが、タンパク質です。ダイエットをするのであれば、むしろ、タンパク質は多めにとることが大切です。タンパク質は筋肉をつくる原料。不足すれば筋肉は痩せ細ってきて、リバウンドしやすくなったり、一見ほっそりしているけれど実は体脂肪率の高い「隠れ肥満」の状態に陥りやすくもなります。
タンパク質は食事誘発性の熱産生がもっとも多い栄養素でもあります。
たくさんのエネルギーを熱に変えることで、脂肪の燃焼を高めてくれますし、しかも、タンパク質を含んだ食品をとると、腸管から「GLP-1」という食欲抑制ホルモンが分泌されて、早く満腹感が得られます。
痩せたい人にとって、タンパク質はとてもありがたい栄養素なのです。
では、ダイエット期間中には、この大切なタンパク質をどのくらいとったらよいのでしょう。
食事は、「炭水化物6:タンパク質2:脂肪2」のバランスで
成人のタンパク質の1日の必要量は、体重1キログラムあたり1.2グラムです。この必要量の1.5倍、つまり体重1キログラムあたり、1.8グラムを目安にとれば、筋肉量を減らさなくて済むとされています。体重が50キログラムの人なら、タンパク質の摂取量は1日90グラムになる計算です。1食あたり、30グラムのタンパク質が必要になります。参考までにあげておくと、卵1個、牛乳180ミリリットルの中にタンパク質は約10グラム含まれています。100グラム中のタンパク質含有量は、生のアジが約20グラム、マグロの赤身が25グラム前後、豚肉が20グラム前後、納豆が16グラムほど。このように見ていくと、かなりの量を食べなくてはならないことに驚かれる方も多いことでしょう。
タンパク質にも動物性、植物性、乳製品などいろいろ種類があります。筋肉をつくるには肉がいちばんすぐれてはいますが、肉ばかりでは、摂取できるアミノ酸に片寄りが出ますので、魚や納豆、チーズや牛乳、あるいは卵など、さまざまな食品をまんべんなくとることが大切です。
タンパク質の重要性が強調されるようになった昨今でも、まだ、「炭水化物:タンパク質:脂肪」の摂取量の割合を「6:1.5:2.5」にするように推奨している方が多くいます。けれど、タンパク質が担う大切な役割を考えれば、ダイエット中は脂肪の摂取量を抑えて、かわりにタンパク質を増やし「6:2:2」にすべきでしょう。



