
「All About」ガイドで、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演する安蔵靖志が解説します。
(今回の質問)
寝るときのエアコン冷房、風向きはどこにするのが正解でしょうか?
(回答)
冷房は天井に向けて吹かせるのが正解ですが、直接体に当たらないように注意しましょう。
冷気は下にたまるので、冷房は天井方向が基本
冷房の風向きを考える上で最も重要な物理法則は「冷たい空気は下にたまる」という特性です。温かい空気は軽くて上昇する性質があるのに対し、冷たい空気は重く、下降して床付近にたまる性質があります。この特性を考慮すると、エアコンから吹き出す冷たい空気を効率よく部屋全体に行き渡らせるには、吹き出し口を「上向き」または「水平」に設定するのが基本です。天井や壁に冷気を当てることで、冷気が自然に下降しながら部屋全体を循環し、ムラなく冷やせます。
ただし、冷房の風が直接ベッドやふとんに当たらないように左右の風向を調節しましょう。人体に直接エアコンの風を当ててしまうと、体感温度が急激に下がり過ぎて寝冷えの原因になったり、肌やのどの乾燥を招いたりする可能性があります。また、体温が奪われ過ぎることで、自律神経の乱れや疲労感につながることもあります。
この基本的な考え方から、冷房使用時は「冷たい空気を部屋の上方向に送って自然に下降させる」ことに加えて、「人体に直接当たらないようにする」ことが効率的かつ快適な使い方と言えます。
寝室での冷房の効果的な使い方は?
寝室は、私たちの体にとって最もデリケートな状態である睡眠時に利用する場所です。そのため、冷房もさらに慎重に使う必要があります。風向きは「上向き」または「水平」が最適
先に述べたように、冷たい空気は下にたまるため、エアコンの風向きは「天井方向(上向き)」または「部屋の奥の壁方向(水平)」に設定するのが最も効果的です。さらに、左右の風向きは冷気が直接体に当たらないようにすることで、部屋全体を効率よく冷やせます。寝ている人の真上にエアコンがある場合でも、必ず風を壁や天井に当てるように調整しましょう。
設定温度は「25~28℃」を目安に
厚生労働省健康局が定めた「健康づくりのための睡眠指針 2014」では、睡眠に向く室温は13~29℃とされており、寝床内の温度が33℃前後が最適とのことです。冬の暖房は16~20℃といった温度設定で暖かい布団に入り、夏の冷房は25~28℃程度の温度設定で毛布やタオルケットなどを使うとちょうどいいでしょう。快適と感じる温度は個人差が大きいため、25℃から始めて、少しずつ調整して自分に合った温度を見つけましょう。室温計を置くとより正確に管理できます。
運転モードは「自動」や「冷房」「快眠モード」などを活用
就寝時の運転モードは「自動」モードか「冷房」「快眠モード」がある場合はそちらを活用するといいでしょう。「除湿」モードは、弱めの冷房運転によって湿度を下げることを目的としているため、室温が高過ぎたり低過ぎたりと、快適な室温を保てない場合があるためおすすめしません。多くのエアコンに搭載されている「快眠モード」や「おやすみモード」などのモードは、睡眠中の体温変化に合わせて自動的に温度を微調整したり、風量を弱めたりする機能です。これにより、寝始めの快適さと、朝方に向けての寝冷え防止を両立できます。
扇風機やサーキュレーターを併用する
エアコンと併用することで、冷たい空気を効率よく部屋全体に循環させられます。扇風機やサーキュレーターの風も、直接体に当てるのではなく、「天井や壁に向けて」運転させ、部屋の空気をかき混ぜるように使うのがポイントです。これにより、冷気のムラがなくなり、より均一で快適な室温が得られます。これらのポイントを参考に、ご自身の体質や環境に合わせた最適なエアコンの使い方を見つけて、快適な夏の夜をお過ごしください。
All About ガイドがすすめるエアコン:ダイキン工業「S285ATRS-W」
この記事の筆者:安蔵 靖志
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手掛ける。
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手掛ける。