
実は、「同意」の概念は特別な場面で教える必要はありません。おむつ替え、トイレトレーニング、お風呂、子ども部屋での過ごし方など、日常生活のあらゆる場面が「同意」を学ぶ絶好の機会となるのです。
この記事では、『子どもを守る新常識 性被害 セーフティガイド』(キンバリー・キング 著)を一部抜粋・編集し、子どもが「自分の体は自分のもの」であることを理解し、相手との境界線を尊重できるようになるためのヒントをご紹介します。
特別な準備は何もいりません。毎日のちょっとした関わりの中で、子どもが自分自身を守る力を自然と身につけられるようになりますよ。
おうちで学べる「同意」
家庭生活の中でも、自然なかたちで「同意」について教えていくことができます。自分のからだを自分できれいにするトイレやお風呂の時間は、健康と衛生のために欠かせないことであることは言うまでもありませんが、その子の自立心と自尊心を育むと同時に、「同意」について実践的に学ぶための絶好の機会にもなります。
プライベートパーツがあらわになる場面での声かけと介助が、子どもに「同意」を教えるための生きた教材になるのです。
こうした場面でおこなう会話は、簡潔でわかりやすいものにしましょう。冗談や悪ふざけは無用です。要所要所でお子さんに選択肢を提示し、その都度「同意」を得ながら介助を進めてください。
また、もっとも身近な他人であるきょうだいとのかかわりも、「同意」を学ぶチャンスとして役立てることができます。
おむつ替えで
「さあ、ササっとおむつを替えますよ。きれいにしちゃおうね。プライベートパーツはきれいにしておくのがいいからね。はいじゃあ、おむつを取るよー」(おむつを取って)「いいかな? 拭き、拭き、拭き!」きれいにしたら、すみやかに新しいおむつをはかせます。
「もうちょっと大きくなったら、自分できれいにできるようになるからね。だけど、いまはまだ小さいから、お手伝いをさせてね」
実のところ、こうした語りかけをしても「同意」をとっていることにはなりません。おむつを替えることに関して、子どもは同意も拒否もできないからです。
それでも、こうしたやり取りが大切なのは、その子が「同意」という概念を理解するための土台づくりに、大きな役割を果たすからです。語りかけながらおむつ替えをすることで、その子は安心感を得ることができ、次に起こることに対して心の準備もできます。