「All About」ガイドで、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演する安蔵靖志が解説します。
(今回の質問)
洗濯物の生乾き臭が気になる……実は洗濯機が原因のこともあるって本当ですか?
(回答)
洗濯や衣類干しのプロセスに問題がないのに生乾き臭がする場合、洗濯機に原因があることが考えられます。
洗濯機を清潔に保つことが生乾き臭抑制につながります
生乾き臭の原因が実は洗濯機にあることは非常に多いです。「なんだか洗濯物が臭い……」と感じたら、洗濯機自体の状態を疑ってみるべきかもしれません。生乾き臭の主な原因は、「モラクセラ菌」などの雑菌が、洗濯物に残留した皮脂や汗、洗剤カスなどをエサにして繁殖し、分解する際に排出する物質です。この菌は乾燥に強く湿った環境を好むため、洗濯槽の中に潜んでいることが多いです。洗い上がりの衣類に付着し、乾燥が不十分な環境で繁殖することで、あの不快な臭いを発生させます。
洗濯機が以下のような状態だと、雑菌が繁殖しやすくなり、生乾き臭の原因となります。
洗濯槽の裏側にカビや汚れが蓄積している
最も一般的な原因です。洗濯槽の裏側や、洗剤カスが付着しやすい部品のすき間には、水あか、せっけんカス、衣類の繊維くず、そしてそれらをエサにするカビや雑菌がびっしりと付着しています。これらの汚れは、通常の洗濯では洗い流されず、洗濯槽からはがれ落ちて衣類に付着し、雑菌の温床となります。洗剤投入口・柔軟剤投入口のヌメりやカビ
洗剤や柔軟剤の成分が固まったり、湿気がこもったりすることで、カビや雑菌が繁殖しやすい場所です。ここから雑菌が洗濯槽に流れ込む可能性があります。排水フィルター・排水ホースの汚れ
糸くずや髪の毛が絡まりやすく、ヌメりや雑菌が繁殖しやすい環境です。洗濯機の排水機能が低下し、内部に汚れが残りやすくなる原因にもなります。ゴムパッキンの汚れ(ドラム式洗濯機の場合)
ドアのゴムパッキンの溝に水や汚れがたまりやすく、カビや黒ずみが発生しやすい場所です。ここも雑菌の発生源となります。洗濯機内部の通気性不足
洗濯終了後も洗濯機のふたやドアを閉めっぱなしにしていると、内部に湿気がこもり、高温多湿な状態が続いて雑菌が繁殖しやすい環境になります。生乾き臭を防ぐためにすべきことは?
洗濯機を清潔に保ち、適切な使い方をすることで、生乾き臭を劇的に改善できます。定期的に洗濯槽をクリーニングする
月に1回程度、洗濯機に搭載されている「槽洗浄コース」を使用しましょう。専用のクリーナーや酸素系漂白剤(洗濯機用)を投入し、洗濯槽の裏側のカビや汚れを根こそぎ剥がして洗い流します。黒いピロピロしたカビが出てくることもありますが、それこそが洗濯槽の汚れの証拠です。洗濯機各部をこまめに手入れする
洗剤・柔軟剤投入口を取り外せる場合は定期的に取り外して水洗いし、乾燥させましょう。排水フィルター(糸くずフィルター)は毎回、または数回に1回はたまったゴミを取り除き、軽く洗ってヌメりを落としましょう。ドラム式洗濯機の場合、洗濯終了後に布でゴムパッキンの水分を拭き取り、カビが発生していないか確認してください。洗濯機使用後にふたを開ける
洗濯終了後はすぐに洗濯物を取り出し、洗濯機のふた(縦型)やドア(ドラム式)を開けっぱなしにして、内部を乾燥させましょう。湿気をこもらせないことが重要です。ドラム式洗濯機の場合、乾燥機能も活用しましょう。「槽乾燥」機能がある場合は、湿気を取り除くために使うとよいかもしれません。洗濯物を入れ過ぎず、洗剤は適量を使用する
洗濯物の量が多過ぎると、水流が悪くなり、洗剤が行き渡らず、汚れが落ちにくくなります。これにより、すすぎ残しや、汚れの残留が発生し、雑菌のエサになってしまうことも。また、洗剤や柔軟剤を入れ過ぎると、すすぎ残しが発生し、それもエサになることがあります。逆に少な過ぎると洗浄力が落ちてしまうので、表示された量を守りましょう。洗濯機に温水コースがある場合、臭いが気になる衣類や、頑固な汚れに使うと効果的です。お湯は洗剤の酵素を活性化させ、菌の活動を抑制します。洗濯物と一緒に、衣類用の酸素系漂白剤(液体または粉末)を投入することで、殺菌・消臭効果を高めることが可能です。
洗濯後には速やかに乾燥させましょう
洗濯が終わったら、洗濯物をできるだけ早く乾かすことが肝心です。洗濯機の中に放置する時間が長いほど、雑菌は繁殖しやすくなります。部屋干しの場合は、除湿機や扇風機、エアコンのドライ機能などを活用し、洗濯物が速やかに乾く環境を作りましょう。これらの対策を複合的に行うことで、生乾き臭の悩みを解消し、清潔で快適な洗濯ライフを送れるはず。ぜひ実践してみてください。
All About ガイドがすすめる洗濯機:シャープ「ES-GV8J」
この記事の筆者:安蔵 靖志
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手掛ける。
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手掛ける。



