フランス人がハマる日本の「大衆食文化」。ラーメンでもすしでもない、3つの“居酒屋メニュー”が人気

日本には、ひと晩に何軒も飲み歩く「はしご酒」という文化があります。筆者が暮らすフランスにはそうした習慣がないため、日本を訪れたフランス人から驚きと喜びの声が寄せられました。今回は、そんな日本の大衆文化と人気の居酒屋メニューをご紹介します!

パリの看板
現在のパリで大人気、日本の軽食(写真は筆者撮影、以下同)
フランスで暮らす筆者は、「外食」を通して、日本とフランスのある違いに気付きました。それは、フランスの人々が「ひと晩に1軒のレストランしか行かない」という事実です。

フランス人を魅了する「はしご酒」

フランスでは、カジュアルなビストロでも高級レストランでも、ひと晩に訪れるのは「1軒だけ」と決まっています。まれにバーに流れることはあっても、そこで楽しむのは純粋にお酒だけ。食事は基本的に、レストランでしか取らないのです。

渡仏したばかりの頃は、そんな外食文化を日本と比べて「少し寂しいな」と感じることもありました。今では慣れてしまいましたが、日本に帰国する際は、ひと晩に何軒も飲み歩く「はしご酒」が一番の楽しみだったりします。

しかし、その楽しさに気付いたのはどうやら日本人だけではないようです。日本が大好きだというフランス人の友人も、日本人に連れられて体験した「はしご酒」文化に大きな感銘を受けたと話してくれました。

日本の大衆食文化に惹かれるフランス人

フランスでは今、日本の大衆的な食文化に大きな注目が集まっています。これまでは「すし」の一点張りだった日本食も、YouTubeをはじめとするSNSの影響で、おにぎりやカレー、サンドイッチといった日本人のリアルな食生活に触れる機会がぐっと増えてきました!

中でも熱い視線を浴びているのが、いろいろなものを注文できる「居酒屋」スタイル。実際、パリの中心部では「IZAKAYA」と名付けられた日本風の居酒屋レストランが、20~40代のフランス人から大変な人気を集めています。日本の映画や漫画を見て「居酒屋を知った」という人も多いようです。

ただ、日本で“本物の居酒屋”を体験したフランス人たちは、「もうパリのIZAKAYAには戻れない!」と口々に言っています。物価の違いもありますが、それ以上に「ひと晩に2軒、3軒と飲み歩きするスタイルが新鮮で楽しかった」とのことです。

フランスには、1つのレストランで、ゆっくりと時間をかけてフルコースを楽しむという外食文化があります。だからこそ、ふらっと立ち寄れてカジュアルに飲める日本の居酒屋文化が目新しく映ったのでしょう。

日本人のフットワークの軽さに驚き

日本の居酒屋
居酒屋の渋さがフランス人にはたまらないのだとか
日本語が少し話せて、日本に知り合いもいるというフランス人の友人が、2024年に初めて日本を訪れたときのことです。彼は東京の居酒屋で、焼き鳥やハイボールなど、日本ならではの味を存分に楽しみました。

しかしお会計を済ませた直後、日本人の友達が「次、行こう!」と楽しそうに言い出したことにびっくり。「次って何だろう?」と首をかしげながらついて行くと、着いた先はなんとおでん屋さん。さっき食事をしたばかりなのに!? と、思わず驚いてしまったそうです。

さらに彼を驚かせたのは、次の店までタクシーで移動したこと。フランスではよほど遠くない限りタクシーは使わないため、そのフットワークの軽さにもカルチャーショックを受けたとか。しかも日本人の知人たちは、仕事終わりで疲れているはずなのに、そして翌日も仕事があるのに、ひと晩に何軒もはしごしながら案内してくれている……! フランス人の友人は、そんな日本人の優しさとエネルギーに感銘を受けたと話してくれました。

確かにフランスでは、「いろいろな料理をちょっとずつつまむ」という食文化が、普段の食事でも外食でも全くありません。頼んだお皿は基本的に自分だけのものですし、店を変えて気分を変えるという発想もゼロです。そのため、おいしいものや楽しい時間をみんなでシェアして、思いきり楽しむという日本の食文化が彼の目にはとても魅力的に映ったようですね。

彼にとっての「はしご酒」はこうして、日本での思い出の中でも特に楽しかった出来事として、今でも心に残っているそうです。
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フランス人から人気を集める、「意外」な居酒屋メニューとは?
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