ここがヘンだよ、ニッポン企業 第37回

山上被告を「悪を倒した英雄」にしてしまった日本で、これから急増する「非モテ独身男」の政治テロ

旧統一教会の解散命令を受け、安倍元首相を殺害した山上被告を英雄視する声が一部で高まっている。しかし、彼がやったことは過激思想「インセル」に基づくテロ行為でしかない(サムネイル画像出典:pixta)。

「何十年もかけてできなかったカルト宗教の解散をたった1人で成し遂げた山上ってやっぱりスゲーじゃん!」

「なんだかんだと全て彼の狙い通りに世の中が動いている。これはもう日本を変えた英雄ってことで無罪でよくね?」

2025年3月25日、東京地裁が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に対して「解散」を命じたことで、ネットやSNSの一部で山上徹也被告の評価があらためて「爆上がり」している。

旧統一教会と政治家の関係は「闇」でも何でもなかったのだが……

東京地裁が旧統一教会に対して解散を命じた
日本政府とメディアは山上被告を「悪を倒した英雄」にしてしまった(画像出典:pixta)
ご存じのない方も多いだろうが、実は旧統一教会の解散というのは、「被害者」や弁護士・ジャーナリストが古くは1980年代から繰り返し訴えてきたものだ。しかし、これまで解散させられた教団は、幹部が逮捕されるなどの刑事事件だった。しかも、旧統一教会の献金や勧誘のトラブルは他教団でも見られるものということもあって、その訴えを国は却下し続けてきた。

しかし、2022年7月に山上被告が安倍晋三元首相を殺害したことで、国の方針がガラリと変わる。

山上被告が母親が入信した旧統一教会に強い恨みを抱き、教団を壊滅することを目的としていたという「動機」に注目が集まると、同情論・擁護論が一気に盛り上がった。

そしてネットの世界ではよく語られ、週刊誌の企画会議ではボツにされるような「安倍家三代と旧統一教会」のようなテーマが突然、「日本政界の闇」として格上げされ、政権批判の材料となったのである。

結局、追い詰められた岸田文雄前首相は解散命令を発出し、裁判所もそれを支持したという流れだ。

暴力テロの時代へ

山上被告は弁護士やジャーナリストが30年かけても成し遂げられなかったことを「首相殺害」という暴力行為であっさりと達成した。つまり、「剣はペンより強し」をこれ以上ないほど分かりやすい形で証明をした「日本近代史上最も成功した暴力テロ犯」なのだ。

こうなれば「俺も山上みたいに」という者が現れるのも当然だ。 日本人は1970年代の左翼学生運動への強烈なアレルギーがあるので、政治家へのテロはそれほど多くなかった。

しかし、山上被告が安倍元首相を殺害してからは毎年起きている。2023年は岸田前首相の演説中にパイプ爆弾を投げた男がいたし、2024年は自民党本部に火炎瓶を投げ込んだ男もいた。2025年には「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首がナタで頭をかち割られそうになった。

つまり、山上被告は旧統一教会を壊滅させただけではなく、日本を「暴力テロの時代」に突入させたのである。そこで大きな役割を果たすのが、「非モテの独身男」だ。

……ということを言うと、独身男性から「好きで独り身でいる者もいるのに危険人物扱いとは人権侵害だ!」というお叱りが飛んできそうだが、これは差別や偏見でもなく、世界で進行している「現実」だ。
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世界中で増加する「非モテの独身男」のテロや無差別殺人
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