国立感染症研究所によると、乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者報告数が急増している。同研究所が11日に発表したデータによると、9月26~10月2日の1週間に全国3000の小児科から報告されたRSウイルスの患者数は5463人で、今の統計方法になった2012年以降で最多(同期比)という。なお前週の9月19~25日の患者報告数は4204人だった。

 

同研究所は8月中旬から患者報告数が増加し始め、9月に入り、過去数シーズンと同様に報告数が急増しているとしており、注意をしていきたい。

  

RSウイルス感染症とはどのような病気なのだろうか。医学博士の清益功浩氏がAll Aboutで以下のように解説している。

 

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RSウイルスの感染経路・潜伏期間

清益氏によると、RSウイルスのRSは「Respiratory Syncytial(=呼吸器の合胞体)」の略。ウイルスが感染すると、呼吸器の細胞が合わさって1つになるため、名づけられたという。原因となるウイルスは「パラミクソウイルス科ニューモウイルス属」で、麻疹ウイルスなどと同じ種類でメタニューモウイルスに似ているといい、ノドや気管支などの呼吸器に感染すると清益氏は説明する。

  

感染経路……飛沫感染、手指を介した接触感染。最初に鼻に感染することが多い

潜伏期間……感染してから発症するまでの潜伏期間は2~8日。典型的には4~6日

感染期間……ウイルス排泄期間は7~21日と長いため、感染が広がりやすい

 

感染力は強いという。

 

RSウイルス感染で起こる細気管支炎

1歳ぐらいまでの小さな子ども(赤ちゃん)、低出生体重児や心臓に病気を持っている子どもがRSウイルスに罹ると、細気管支炎を起こして重症化しやすいという。さらに、肺に病気を持っている人も重症化するといい、注意が必要だ。

 

細気管支炎は、肺に近い気道(細気管支)にRSウイルスが感染し、様々な症状を起こす病気。代表的な症状として清益氏は以下のものを挙げる。

 

  • 水のような鼻汁
  • 鼻づまり
  • ひどい咳、むせるような咳
  • 呼吸数が多くなる多呼吸や肋骨の下がへこむ陥没呼吸などの呼吸困難
  • 呼吸をさぼる無呼吸

 

なお細気管支炎では38.5℃以上の発熱は少ないという。

 

学童・大人のRSウイルス感染は肺炎のリスク

小学生以上の学童や成人の場合、RSウイルスは鼻から感染し、風邪程度でおさまる事が多いが、時に気管支炎を起こし、喘鳴を起こす気管支炎や肺炎を起こすこともあるという。

 

また気管支喘息の子どもは、RSウイルスに感染すると喘息発作が誘発されるという。

 

RSウイルス感染症の治療法

清益氏によると、RSウイルス感染症に特効薬はないという。ミルクの飲みが悪い場合は輸液をし、咳に対しては気管支を拡げる薬や痰を切りやすくする薬、炎症を抑えるステロイドが使われたりするという。

 

呼吸状態が悪くなると、人工呼吸器をつけて、呼吸を助けてあげる必要がある。特に、早く生まれた低出生体重児や心臓に病気を持っている子ども、一部のダウン症の子どもの場合は重症化するので、予防が大切という。予防のためには、パリビズマブ(シナジス)という薬が使われる。この薬は非常に高価で、3kgの赤ちゃんで使うと1回約8万円弱になるといい、流行期の前に、1ヶ月毎に5回筋肉に注射すると清益氏は説明する。

 

RSウイルス感染症の予防法

清益氏は予防法として以下のものを挙げる。

 

  • 家族全員で手洗い
  • 親子ともに、かぜをひいた人との接触を避ける

 

また、1歳以下の乳児にいかに感染させないようにするかが重要なポイントだと指摘している。

 

RSウイルス流行期(10月頃から2月頃)には、次のような場所、行動を避けてほしいという。

 

  • 受動喫煙の環境(タバコの煙は、子供の気道を刺激するため、咳症状が悪化し、喘鳴を起こす。また、感染後の症状悪化だけでなく、健康時にも気道の状態を悪くしてしまうため、感染するリスクも高くなるという)
  • 人の出入りが多い場所
  • 保育所の利用
  • 乳幼児と兄姉(学童、幼稚園児)との接触

 

大きな子ども、大人はRSウイルスが感染していても自覚症状が出ないことが多いため、感染しやすい乳幼児の寝室を風邪をひいている家族と別にするといったことも重要だという。

 

【関連リンク】

RSウイルス感染症の症状・治療・予防法