過去問は、子どもが積極的に取り組みやすい環境を整えて
中学受験に挑むうえで悩むのが「過去問の取り組み方」です。「何年生から、何年分取り組めばいいのか」「面倒な実物大コピーは必須なのか」と、考え込む方も多いのではないでしょうか。
8人きょうだいの長男が通塾なしで開成中学校へ合格したオトクサさんは、「過去問は本番の1年前に挑戦!」「実物大コピーは諦めて、子どもが積極的に取り組みやすい環境を整える」ことを重視したそう。その背景には、過去問に取り組むうえで何を重視するか。オトクサさんなりの考え方が根付いています。
ここでは、オトクサさん流過去問の取り組み方を『通塾なしで開成合格! 中学受験おうち勉強法』から抜粋し、紹介します。
過去問は、志望校が決まったら挑戦開始!
小学5年生の2月から、つまり本番の1年前から難関中学校の過去問に挑戦しました。解けなくてもいいので、「目指すはこのレベルだ!」を知ることが大事だと思います。「過去問はいつから始めるべきか」という質問をよく目にしますが、実は、普段取り組んでいる問題の中で、既に多くの過去問に触れています。たとえば、市販の問題集を見ると「(2019年○○中学)」と出典が記載されているのを見かけますよね。
では、あらためて「時間を計って過去問を解く」のはいつから始めるべきでしょうか。一般的には小学6年生の秋以降と言われますが、オトクサは志望校が決まった時点で、まず1回トライすることをおすすめします。その理由は、次のようなものです。
・各学校独自の問題形式や出題傾向を知ることができる
・志望校の問題レベルを体験することで、現時点での実力の差を認識できる
・目指すレベルが明確になり、学習意欲が高まる
「1回分の過去問を無駄にしてしまう」という声もよく聞きますが、心配することはありません。問題を覚えている子は合格できると思っていいくらい、子どもは忘れてしまうものです。
たとえば長男の場合、受験の1年前(2022年2月1日)に四谷大塚主催の「開成入試同日体験受験」に挑戦しました。これは、6年生が受験した本番の入試テストを、その日の夕方に5年生が受験するという内容です。
しかし、実際の受験直前に同じテストを解いた時には、1年前に解いた記憶はまったく残っていませんでした。
たとえ忘れてしまっても、早い段階で本物の入試問題に触れた経験は、その後の学習の道しるべとなったと思っています。

過去問に取り組む量は?
よく「第一志望校は10年分、第二志望校は5年分、他は3年分に取り組みました」とか、「1回目は歯が立ちませんでしたが、2回目には合格者平均点を超えるようになりました」などといった声を耳にしますが、各家庭によって過去問に取り組む量は異なるでしょう。オトクサ家では、第一から第三志望校までは13年分、理科・社会はさまざまな学校の過去問をそれぞれおよそ100校分解きました。特に理科・社会は、アウトプットの訓練としてなるべく実践形式の問題をやらせたいと思い、数多く取り組みました。1度解いた後は、国語の記述と算数の間違えた問題だけはもう1度解き直します。基本的に2回目はやりません。
同じ問題が出題されることはないからという意味ではありません。もちろん1回より2回解いた方がいいです。ただし、その時間があるなら解いたことのない新しい問題に挑戦した方がいいという考えです。「2回目は点数アップしました!」なんて、やり直しをしていれば当たり前ですからね。
ちなみに中途半端な13回という数字は、『有名中学入試問題集』(声の教育社)を直近から3年分買っていたので、4年前から遡った10年分の過去問をメルカリで購入したということです。