勉強時間の変更は、事前に予告して
目的:十分な時間を与えることで、心の準備と覚悟をさせるやり方:新しいチャレンジについては、必ず事前に具体的な内容を伝える
受験勉強を始めてしばらくすると「このままの勉強量だとヤバい」「1日30分でも勉強時間を増やしたい」そう思うことはどのご家庭でもあると思います。そしてそれは、親子喧嘩の種でもあります。
テストの点数が悪くて、「明日から6時起き!」と言ったり、夏休みの直前に「夏期講習は週6日もあるからね!」と伝えたり。こういった「突然の勉強量アップ宣言」は、確実に子どもが反発します。
「何それ、聞いてないよ」
「え! 絶対やだ」
そのような親子喧嘩を回避するため、オトクサ家では事前通告を徹底しています。たとえば、
「4年生になったら、朝6時起きで勉強ね」
「6年生になったら、友達と放課後に遊ぶのは週1回ね」
「夏休みは、1日10時間の勉強スケジュールね」
遅くても2か月ほど前には伝えるようにします。子どもにとって、2か月先なんて、もはや1年先と同じくらいの感覚なので、何を言っても「ふ〜ん、わかったぁ」くらいの感じで捉えます。
19世紀のフランスの哲学者ポール・ジャネが発案した「ジャネーの法則」によると、「人生のある時期に感じる時間の長さは年齢の逆数に比例する」そうです。わかりやすくすると、10歳の子どもは40歳の親の4倍時間を長く感じるということ。「あぁ受験本番まで1年きったよ」、と親が焦っていても、子どもにとっては4年も先の感覚ということです。
親が焦っていくら声がけをしても、子どもはまったくエンジンがかからない……といった悩みは、もしかしたらこれが理由なのかもしれませんね。
早めに宣言することに加え、ことあるごとに口に出すことで親の本気度を伝えると共に、本人に心の準備もさせていきます。もちろんそれでも納得しない子どももたくさんいるはずですが、ここにもオトクサ家ではひと工夫し、最初はあえて高めの目標を提案しています。
たとえば、実際は「6年生の夏休みは、1日8時間は勉強してほしい」と思っていても、最初は「10時間」と提案します。
「え! 10時間なんて絶対に無理」
「じゃあ8時間にしようか」
「うん、それならいいよ」
そうやって少し緩くしたように見せて、実は子どもにさせたかった本当の勉強時間に着地させるのです。
さらにもうひとひねりして、実際に数日間、その厳しい方のルールでやって大変さを実感させます。思ったより問題なさそうならそのまま継続するし、やはり大変そうなら、「よし、がんばってるから時間を減らそうか」と提案します。
POINT
・大きな変更は、遅くとも2か月前には内容を伝える・実際より少し厳しめの目標を示して様子を見る
・子どもの様子次第で柔軟に調整できる余地を残す
特別な仕掛けは必要ない
オトクサさんの語る家庭学習法は、特別な仕掛けはありません。まずは子どもと一緒に机の周りを片付け、言葉かけの方法を変えるだけ。とてもシンプルに、子どものやる気を引き立たせる方法ばかりです。『通塾なしで開成合格! 中学受験おうち勉強法』には、これまでの中学受験の在り方を覆すような「オトクサ流」勉強法が多数載っています。中学受験のみならず、普段の自宅学習にも役立つこと必見の一冊です。ぜひご覧ください。
オトクサ プロフィール
1981年大阪府大阪市出身。小学生の時、自ら志願し 中学受験に挑戦し、私立の中高一貫校である清風中学校へ進学。中学・高校は塾に通わずに大阪大学に現役合格。現在、妻と8人の子どもとともに東京で暮らしている会社員。長男が塾なしで中学受験に挑戦する様子を描いたプログ『オトクサのほったらかし受験』では、子どもたちが自ら学び進めるための取り組みや、大家族ならではの日常を発信している。