電車の発車メロディーはどうやって決まる? 茨城・牛久駅で『オー・シャンゼリーゼ』が流れる理由とは
電車の発車メロディーはどのように決められているのか、「All About」鉄道ガイドの野田隆が解説する。
電車に乗る際、ホームで耳にする発車メロディー。普段何気なく聞いているメロディーだが、どうやって決まっているかご存じだろうか? 発車メロディについて、「All About」鉄道ガイドの野田隆が解説する。
(今回の質問)
発車メロディー(駅メロ)はどうやって決まる?
(回答)
国鉄時代はけたたましいベルだった駅の発車合図は、民営化でJRになってから各社、耳にやさしい駅メロディが主流となっていく。あらかじめ用意された何種類かのメロディーが駅によって選ばれていたが、そのうちご当地駅メロがはやりだした。
分かりやすいご当地駅メロ

例えば、JR蒲田駅の『蒲田行進曲』、東京メトロ日本橋駅や三越前駅の『お江戸日本橋』、銀座駅の『銀座カンカン娘』(銀座線)『銀座の恋の物語』(日比谷線)は、採用された理由がよく分かるだろう。
高田馬場駅の『鉄腕アトム』がご当地駅メロの始まり
しかし、パッと聴いて、なぜこの駅でこの曲? と事情通でないと分からないものもある。
「『鉄腕アトム』ゆかりの高田馬場駅前
JR山手線高田馬場駅の駅メロはアニメ『鉄腕アトム』主題歌。これは、物語の中で主人公アトムが高田馬場にある科学省で2003年4月7日に誕生したという設定になっていること、番組制作を担当した「手塚プロダクション」が高田馬場に事務所を置いていることにちなんだもの。
2003年3月1日からJR山手線高田馬場駅で発車メロディーに使用されている。アトムの誕生年を迎えたことを記念して、この駅メロが誕生した。これが大変好評だったので、各地でご当地駅メロが雨後の竹の子のごとく生まれたといわれている。
恵比寿駅と牛久駅の駅メロ採用理由
かつてビール工場があった恵比寿ガーデンプレイス(左側)脇を走るJR山手線
同じJR山手線の恵比寿駅は映画『第三の男』の主題歌が使われている。かつて恵比寿駅に隣接してビール工場があり、その出荷のために駅が設置されたという歴史がある。そのビール工場とはヱビスビールのことで、テレビCMのBGMが映画『第三の男』のテーマ曲を使っていたことにちなんでいる。
牛久駅周辺のイメージとは合わない(?)パリのシャンゼリゼ通り
ちょっと分かりにくいのが、JR常磐線牛久駅2番線上りホームの『オー・シャンゼリーゼ』。華やかなフランスの首都パリをイメージした曲想と駅周辺の風景とはミスマッチのような気がする。
調べてみると、牛久市内にある日本初の本格ワイン醸造場「牛久シャトー」にちなみ、ワインの本場フランスをイメージして選ばれたとのことだ。