その活動はアルバムの発売だけに終わらず、9カ所15公演の全国ツアーも開催予定。さらに、成宮寛貴さんが8年ぶりの俳優復帰するドラマ『死ぬほど愛して』(ABEMA)の主題歌としてアルバム収録の『super special love』を提供することも発表されています。
今回、「.ENDRECHERI.」として新たなステージに進んだ堂本さんのミュージシャンとしての魅力を、実際にライブを見たこともある元テレビ局スタッフが解説します。
「.ENDRECHERI.」とはどんなプロジェクトなのか?
そもそも「.ENDRECHERI.」はどんなプロジェクトなのでしょうか。KinKi Kidsとして国民的な知名度を誇る堂本さんは、2002年に「堂本剛」名義でソロデビューを達成。その後は、「ENDLICHERI☆ENDLICHERI」「244 ENDLI-x」「美 我 空」「ENDRECHERI」などの名義でソロプロジェクトを進め、2023年から「.ENDRECHERI.」名義で活動を行っています。
各プロジェクトにより音楽の方向性は微妙に違い、「.ENDRECHERI.」としては基本的にファンクミュージックをベースとした音楽を創作。今回の新作『END RE』も極上のファンクを鳴らしています。
『END RE』はポップスとファンクミュージックを融合させた名盤
今回発表された『END RE』は、ファンクミュージックと堂本さんがこれまでアイドルとして培ってきたポップセンスが見事に融合された一枚です。1曲目の『雑味 feat. George Clinton』は、Pファンクの始祖とされるジョージ・クリントンとのコラボ曲。あまりファンクミュージックになじみがない人でも聞きやすいポップなアレンジで、「雑味=That's me(自分のまま)」など、堂本さんのポジティブな歌詞も楽しめます。癖になるビートとメロディ、そして堂本さんの美声で繰り出されるラップがたまらない1曲でアルバムは幕を開けます。
続く『.ENDRECHERI. Brother』は、より本格的なファンクのビートとアレンジを聞かせる一曲。世界的なファンク・ソウルバンドのSly & the Family Stoneにも影響を受けているという堂本さんが、ファンキーでノリのいいビートと、ポップなメロディを融合させて仕上げた作品です。3曲目の『Dr. Ancient Funkish』は、ホーン隊をぜいたくに使った分かりやすいファンクミュージックで、非常に聞きやすい印象。4曲目の『Reborn』では80年代のアレンジに挑戦するなど、さまざまな形でファンクを表現しています。
かと思えば、ドラマ主題歌になった5曲目『super special love』では、KinKi Kidsの楽曲のような昭和歌謡的な雰囲気のメロディとアレンジを披露し、続けてソロデビュー曲『街』を再構築した6曲目『Machi....』へ。最後には『愛を叶えたい -RAION-』で、ラブバラードをしっとりと歌い上げています。
ファンクサウンドをベースにしながら、『END RE』ではさまざまな表現技法を披露。非常にカラフルで聞きやすいアルバムで、それでいて感心するような挑戦もしている名盤となっています。
これまで以上に個性を発揮する1年に?
今回のアルバムだけでなく、ここ最近のライブを含めた個人活動で、堂本さんは「解き放たれた」と感じます。2024年1月11日には、ももいろクローバーZ・百田夏菜子さんと結婚を発表。さらに、2024年3月には長く在籍した「SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)」を退所するなど、大幅に変化の時を迎えました。筆者は、当サイトでもライブリポートを寄稿した音楽フェス『LIVE AZUMA 2024』で堂本さんのステージを見ています。このフェスでの堂本さんはどこか肩の力が抜け、すがすがしい顔をしているようにも見えました。ちなみに、フェスに同行していた知人は、堂本さんに対してそこまで興味を持っていないようでしたが、心の底から震えるファンクサウンドを聞かせたことで、ステージを終えた頃にはすっかりとりこになっていました。
2025年、堂本さんはツアーも含め「.ENDRECHERI.」としての活動をこれまで以上に展開する予定です。テレビやラジオの番組、ライブやフェスでミュージシャンとしての魅力を示し、新たなファンを開拓していきそうです。
この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。