オーディション「timelesz project(通称・タイプロ)」を通じて、8人組のアイドルグループとなった「timelesz」。新メンバーが加入したばかりですが、グループとして既に本格始動し、2月21日放送の『ニノさんSP』(日本テレビ系)で8人そろって初のバラエティー出演を果たしました。番組では“大暴れ”を見せ、放送終了後にはSNSを中心に大きな話題を巻き起こしました。幸先のよいスタートとなり、新メンバーを迎えたことがプラスに作用しています。
2025年は、8人体制でこれまで以上の活躍が期待されるtimelesz。この記事では、新生timeleszが、今後はどうやってブレークしていくのかを、元テレビ局スタッフが考察します。
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課題はあるものの、グループとしての可能性を見せた『ニノさんSP』
まず、放送されたばかりの『ニノさんSP』におけるtimeleszの活躍から振り返ります。番組は、嵐の二宮和也さんが司会、timeleszメンバーの菊池風磨さんがレギュラーを担当。同じくレギュラー出演者であるお笑いコンビ・ガンバレルーヤの2人はタイプロのファンであることを公言しており、timeleszにとって仲間が多くホーム感のある好条件な環境でした。番組では、新メンバーの橋本将生さん、篠塚大輝さん、猪俣周杜さん、寺西拓人さん、原嘉孝さんが1人ずつ自己紹介。新メンバー同士で考えたキャッチコピーも添えられ、それぞれが個性を発揮しました。さらにメンバー全員で「timelesz組体操」にも挑戦し、和気あいあいとした雰囲気で8人のチームワークのよさが光っていました。
筆者が放送を見て感じたのは、『ニノさんSP』を初のバラエティー出演に選んだのは大正解だったということ。一般応募だった橋本さん、篠塚さん、猪俣さんは本格的なテレビ出演が初めてだったため、番組ではかなり緊張していた印象です。実際に、新メンバーが「初出し特技」を披露する企画では、篠塚さんは炭酸水の早飲みに失敗し、猪俣さんは「アメを早食いする孫悟空の物まね」で、持ち前の天然さを発揮して総ツッコミを食らう展開に……!
2人は、同番組の進行を務めた平成ノブシコブシ・吉村崇さんにツッコミで助けられていましたが、厳しい見方をすればほかの番組で披露していたら散々な目にあっていた可能性も……。そう考えると、アイドルのことを“理解”している出演者が多い二宮さんの番組は、新メンバーをお披露目する機会としてふさわしい場所だったのではないでしょうか。
また、菊池さんがレギュラーを務める番組だったことで、既に活動していたメンバーをいじりやすい雰囲気だったのもプラスポイント。「timelesz組体操」では、菊池さんだけでなく既存メンバーの佐藤勝利さん、松島聡さんもイジられる場面があり、グループとして新旧メンバーで垣根がないことをアピールできていました。
さらによかった点は、既に俳優として芸能活動をしている原さんと寺西さんのキャラクターを披露できたこと。原さんは二宮さんからのイジリにも対応し、高いバラエティー能力を発揮。寺西さんは落ち着きがあり、あらゆる瞬間で柔軟な対応力を見せ、かつバラエティー番組への出演が少ない佐藤さん、松島さんのキャラクターもうまく引き出していました。
テレビ関係者としては、timeleszにとって「身内」の多い環境において、新生・timeleszの“見本市”となるような番組内容でスタートを切れたのは大正解だったと考えます。
一気に露出が増えそうな「timelesz」
そんなtimeleszですが、今後はどんな活動が予測できるでしょうか。まず、新メンバーが加入したことで、一気にテレビ番組への出演が増えると考えられます。2月28日には、タイプロでも披露された新曲『Rock this Party』をデジタルリリース。この新曲発表に合わせて、音楽番組に呼ばれることが多くなるでしょう。
3月8日放送予定の『with MUSIC』(日本テレビ系)では、新生・timeleszの地上波初歌唱が決定しています。また、春にはテレビの改編期に合わせて、大型の音楽特番も控えているので、一気に露出が高まる可能性も。新メンバーが世間に周知されるチャンスで、しっかりとしたパフォーマンスを見せることができれば、勢いがつくのは間違いないでしょう。
原&寺西の俳優業にも期待
また、原さんと寺西さんは、ドラマや映画の仕事を増やすチャンスです。2人は舞台を中心に俳優業を行っていて、演技力の高さには定評があります。原さんは現在『劇場版 トリリオンゲーム』が公開中で、4月には映画『#真相をお話しします』の公開も控えています。寺西さんは、ミュージカルの仕事を抱えながら、ドラマ『離婚弁護士 スパイダー シーズン2』(日本テレビ系)に出演中。俳優としての仕事が増えてきたタイミングでtimelesz加入が決まり、話題性も抜群です。2人を起用したいというドラマ、映画のプロデューサーがますます増えそうな状況に、大ブレークの兆しを感じます。
またバラエティー番組の関係者は、今回の『ニノさんSP』を見て「timeleszメンバーを使ってみたい」と必ず思っているはず。8人全員での出演というのは難しいかもしれませんが、何人かに分けて番組に呼ばれることが多くなるかもしれません。timeleszの露出は間違いなく増えるので、ここから数カ月間はチャンスであり“試練の時”になりそうです。
課題は「炎上しやすい状態」か
さて、ここまでtimeleszについて論じてきましたが、課題もいくつかあると感じています。まず、タイプロを通じてtimeleszは炎上しやすい状態であること。本人たちも既にネタにしていますが、菊池さんが原さんのビジュアルをイジり過ぎて、ファンクラブ会員に向けて配信された新メンバーのお披露目動画では、早々に炎上を経験。また、テレビ出演に関しても批判的なコメントがSNSで書き込まれるなど、何かと叩かれやすい状況です。特にメディアへの露出が多い菊池さん、そして新メンバーは、悪い炎上に巻き込まれないように発言や行動を注意する必要があるでしょう。前述した通り、『ニノさんSP』でも新メンバーが空回りする場面がありました。芸人のように面白くあるべきとは言いませんが、ある程度のトーク力、バラエティー番組での対応力は必要なところ。デビュー直後で大変な時期ですが、特に一般応募の3人については芸能人としての最低限のスキルの取得が早急に求められます。
とはいえ、橋本さんはイケメン、篠塚さんは頭脳明晰(めいせき)、猪俣さんは天然ボケとキャラクター分けができているのは魅力的なポイント。それぞれが、自分の特性を生かせるようにセルフプロデュースできれば、一気にグループとしても大ブレークする可能性があります。
さらにタイプロを見ていた視聴者にとっては、一般応募3人の成長物語を見守り続けられるのも喜ばしいことです。候補生からメンバーになり、アイドル、芸能人としてステップアップする姿を見せれば、ファン獲得につながるでしょう。
グループとして倍以上にメンバーを増やし、新たに始動しているtimelesz。新メンバーも参加したラジオ番組『timeleszのQrzone』『timeleszのレコメン?』(ともに文化放送)では、全員が息の合ったトークを繰り広げ、団結力を感じる瞬間もありました。特に、新メンバーをすぐに受け入れた佐藤さん、菊池さん、松島さんの懐の深さはさすがのひと言。この3人が新メンバーのいい部分をタイプロ同様に引き上げていけば、どんどん人気を集めるグループになっていくでしょう。
新たな仲間を迎え入れたtimeleszが、どこまで成長していくのか、今後も目が離せませんね。
この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。