初対面のフランス人に「聞いてはいけない」3つのこと。出生地主義も採用する国でタブーとされる質問

年齢や出身地など、初対面の会話でよく交わされるオーソドックスな話題。日本では一般的な質問でも、フランスではNGとされることがあります。今回はフランスに在住する筆者がそのNGテーマをご紹介します。

パリのパッサージュ
フランス人は初対面で絶対に聞かないことがある(写真は筆者撮影、以下同)
初対面の人と会話をする際、多くの場合は年齢や出身地、職業など「互いの情報」を軸に話が進みます。

筆者が暮らすフランスでも同様ですが、日本の感覚でそのまま質問すると「失礼」「無礼」と受け取られるケースがあります。状況によっては、会話がそこで途切れてしまう……なんてことも。実はフランスでは、日本よりもデリケートに扱われる話題が意外と多いのです。

フランス人が初対面で避ける話題

パリのバー
初対面の集まりではどんな会話が飛び交うのか
フランス人の間では、初対面で絶対に避けるべきとされる質問があります。ここでは、聞いてはいけないテーマとその理由についてご紹介したいと思います。

年齢

「何歳ですか?」といった質問は、フランスでは基本的にしません。年齢を尋ねることは、同性・異性を問わず失礼にあたると考えられています。日本ではケースバイケースで許容されることもありますが、筆者自身、フランスで初対面の相手からこの質問を受けたことは1度もありませんでした。

というのも、「年齢を知ったところで何にもならない」と多くのフランス人が考えているから。そのため普段の会話では、「この人はだいたい30代かな」「おそらく40代くらいだろう」といった感覚的な推測でやりとりが進んでいきます。

フランス語に、日本語ほど豊かな敬語表現がないことも理由の1つです。年齢を知っても言葉遣いに大きな変化が出ないため、誰に対してもフラットな口調を使うことができるのです。もし年齢を聞く場合は、ある程度親しくなってからの方が無難でしょう。

出身国

フランスは移民や難民、他国からの移住者がとても多い国です。ヨーロッパ系の白人だけでなく、中東系、マグレブ系(北アフリカ出身者)、アフリカ系、アジア系といったさまざまなバックグラウンドを持つ人々が生活しています。

さらにフランスは、「血統主義」のほか「出生地主義」も採用している国。中でも特に多いのが、「親は移民だけど、自身はフランスで生まれ育った」というフランス人です。彼らには、18歳になると一定の条件を満たせばフランス国籍が与えられることになっています(※執筆時点)。

こうした背景から、肌の色や髪の色だけを見て「どこの国から来ましたか?」と尋ねることは、フランスでは年齢以上に失礼な質問だとされています。これは差別とまではいきませんが、初対面で聞くべきではないことの1つ。その人のルーツがどこであるかは、相手が話してくれるまで待つのがマナーです。

配偶者やパートナーの有無

結婚しているか、子どもがいるか、恋人がいるかどうかについても、初対面ではタブーな質問です。相手がオープンな性格で自ら話題にする場合は別ですが、自分から尋ねるのは極力避けたい内容です。

筆者としても、仕事を共にしたフランス人から「プライベートな質問」を受けた経験がありません。どうやらフランスではパーソナルなこと、特にパートナーの有無については、仕事上の関係では聞くべきではないと考えられているようです。

個人的な思想に関わる「宗教」についても同様です。ちなみに、フランスでは宗教に関する話題は、初対面かどうかにかかわらず非常にデリケートなものとして扱われています。
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フランス人が初対面で聞くこととは?
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