ここがヘンだよ、ニッポン企業 第34回

「あれは全て私がやりました!」 わが社の“承認欲求モンスター”をどう扱うべきか?

兵庫県知事選におけるPR会社社長の炎上騒動が尾を引いている。なぜ彼女はあのような投稿をしてしまったのだろうか。“承認欲求強めな人”にありがちな物事の解釈の仕方を見ていこう。(画像:PR会社社長のInstagramを一部加工)

政治家の「頼れるのは、あなただけ」を真に受け……

基本的に政治家というのは、「いかにしてタダで人を動かすのか」ということを考えている人たちだ。面会をした人全てに「お力を貸してください」とか「ぜひこれからもいろいろ教えてください」なんて言って、ペコペコ頭を下げる。
 
こういう世界に慣れている人間は「ああ、こいつはタダで応援してほしいんだな」と相手にしなかったり、「当選したら何かしら得があるから、手弁当で手伝っておくか」となる。
 
しかし、たまに「ウブな人」がこの誰にでも言う社交辞令を真に受けて、「○○先生から助けてくれと依頼された」と自分に都合よく解釈をする。
 
筆者も昔、選挙を控えた国会議員の出版を手伝って事務所に出入りをしていたところ、「私は彼の選挙全般を任されている」と胸を張る広告代理店、PR会社の人たち5〜6人に会った。

もちろん、これは彼らが話を盛っている。実際は当選後を見据えたボランティアでちょこちょこ口を出していた程度だ。しかし、このような“いっちょかみ”のビジネスマンたちに限って、飲み会なんかでは「あー、あれはわれわれが当選させたもんだよ」なんて自慢話をするものなのだ。
 
「選挙戦」というのは、このようにして「頼れるのは、あなただけですよ」とささやいて、いかにしてタダで選挙を手伝ってもらうのか、という勝負でもあるのだ。
 
いずれにせよ、「承認欲求強めの人」はこのように自分を中心に物事を解釈をするので、ビジネスの世界ではトラブルが多発しがちだ。ビジネスパーソンはそのあたりを踏まえて、「わが社の承認欲求モンスター」に仕事を任せていただきたい。
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この記事の筆者:窪田 順生
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経てノンフィクションライター。また、報道対策アドバイザーとしても、これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行っている。
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