ニューヨーカーはこんな「防犯アイテム」を携帯している
防犯対策に講じているのは、小売店だけではありません。ニューヨーカーたちは、日本人にはなじみのない「防犯グッズ」を身に着けています。
ペッパースプレー
カプサイシンの濃度が高い方が効果は持続し、射手距離が長いほど攻撃者との距離が取れるため、安全だと言えます。軽くて、コンパクトなため、持ち歩きが簡単です。
筆者もニューヨークに来て間もない頃、友人にペッパースプレーをプレゼントされました。夜間に人通りの少ないところを歩く際は、持っていると安心です。
セルフディフェンスキーチェーン
こちらも女性を中心に人気の護身グッズで、目や急所を突くことのできる先端がとがったスパイクが付いたタイプが多いです。可愛い色やデザインで、パッと見ただけでは護身用に見えないものもあります。
折り畳み式ナイフ
折り畳み式ナイフは、男女ともに利用者が多い護身グッズです。段ボールを開けるなど、護身用としてだけでなく日常使いする人もいます。
日本では、護身用であっても刃物を携帯することは軽犯罪法などに抵触する可能性が高いため、外出時に持ち歩く人はほとんどいないでしょう。
これらの防犯グッズは、手軽に手に入れることができ、比較的安価であることから、多くの人々に利用されています。一方で、防犯グッズは間違った使い方をすると危険なため、スポーツ観戦、コンサート、クラブなど多くの人が集まる場所では、荷物検査の時に没収されます。
アメリカの家には本当に銃があるのか
では、護身用の「銃」の所持はどうなのでしょうか。日本人からすると、銃は映画の世界のもので、現実味がないという意見が多いかもしれませんが、アメリカの銃規制は州によって大きく異なります。筆者が住んだことのあるカリフォルニア州とニューヨーク州は、アメリカで1、2を争うほどに銃規制が厳しい州のため、これまでに銃を見かけた経験はありませんし、これらの地域に住む知り合いで家に銃があると答えた人はいませんでした。
対して、銃規制が緩い南部や中西部の州在住の人は、自宅に銃を所持しているケースも少なくないようです。
9月には、ジョージア州の高校で銃撃事件が発生し、生徒2人と教師2人の合わせて4人が死亡、9人がけがを負いました。実行犯の容疑で逮捕されたのは14歳の男子生徒、さらにその父親も息子に銃の所持を許したとして、過失致死などの容疑で逮捕されています。
銃は安価なものだと200ドル程度で購入できるので、州の銃規制が整備されていなければ購入のハードルはかなり低く、そのことで子どもを含む多くの人にとって銃が身近な存在になってしまっているのかもしれません。
治安の悪化を受け、アメリカに住む人々はさまざまな防犯対策をしています。このような事情から、アメリカ人には「自分の身は自分で守る」という意識が日本人よりも深く根付いているのです。
この記事の筆者:山根 栞渚 プロフィール
アメリカ在住のライター。大学在学中にロサンゼルスへ留学し、現地の広告代理店でインターンシップとして勤務。帰国後、日本企業で広報担当としてライティング業務に従事。2024年からアメリカ・ニューヨーク州に移住し、マンハッタンにある旅行代理店に勤務しながら、ライターとして在住者ならではの視点で海外事情に関する記事を執筆。