ここがヘンだよ、ニッポン企業 第33回

のび太のように「運動神経のない子」を徹底的に見えない化! 運動会の「教育的配慮」はアリかナシか?

昨今の運動会で、足の速さ遅さが「見えない化」されていることが一部で議論になっている。しかし、どちらのシステムを採用したところで、日本の子どもたちの競争心や「やればできる」という気持ちが育まれることはないだろう。その理由を解説する。

徒競走を強制するシステムの弊害 

ご存じの人も多いだろうが、のび太は「あやとり」がプロ級だ。早撃ちもガンマンに勝つほどの腕前だ。海外の場合、このような子どもは、その分野をさらに磨いてYouTubeに映像を流し世界を目指すとか、同じ趣味を持つ子どもたちとさらにスキルを磨いていく。
 
しかし、日本ではこういう子どもであっても問答無用で運動会に参加させる。そして本番まで来る日も来る日も練習をさせ、挙げ句の果てに教師はさらなる努力ということで、「自主練」を推奨する。この子が本当に好きなことや、才能のあることに費やせる時間を犠牲にしてでも、「みんなと一緒に徒競走をする」ということを強制させるのだ。
 
こんな押し付けがましい教育をしていて、子どもたちの競争心や「やればできる」という気持ちが育つわけがないではないか。育まれるのは「人間というのはどんな嫌なことでも、不得意なことでもやらなくてはいけない」という社畜会社員のような従順さと、自分が得意なことなんてこの世で生きていく上ではなんの役にも立たないんだなという無力感しかないではないか。
 
それがこれ以上ないほど残酷な形であらわれている調査がある。日本財団の「18歳意識調査」だ。

「自分には人に誇れる個性がある」で最下位の日本

これはアメリカ、中国、イギリス、韓国、インド、日本の6カ国で、17歳から19歳の1000人にさまざまな質問をしたもので2018年から定期的に行われている。毎回、他の5カ国とは異なる日本の若者特有の傾向が浮かび上がって話題になるのだが、最新の「国や社会に対する意識」もかなり興味深い。
 
まず、「自分には人に誇れる個性がある」と答えた若者の比率だ。人に誇れるというのは、これは自分は負けないという「競争心」もつながる考えであろう。
 
最も高いのはやはりというか、中国の若者で84.8%、次にインドで83.9%、アメリカ81.1%と続く。いずれも競争心のある若者たちが、国の成長をけん引しているイメージがある国だ。
 
では、日本はどうかというと最下位で53.5%しかない。韓国の65.6%よりも10ポイント以上も低いのである。
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「全員強制参加」で個性が消えていく
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