池松壮亮にハズレなし!? 2024年も名作連発
そんな池松さんですが、2024年の作品がどれも当たり役です。まず、『海のはじまり』で演じた津野ですが、賛否両論を受けながら物語の重要なキャラクターとしてドラマを盛り上げました。ドラマを見ていない人へ簡単に津野を説明すると、目黒蓮さん演じる主人公・月岡夏の子どもを別れた後に内緒で産んだ、南雲水季(古川琴音)に片思いしていた職場の同僚。しかも、ドラマ本編では水季は亡くなっていて、最後まで恋が成就することはありませんでした。そんな設定なので、ドラマの中では夏に複雑な感情を抱き、意地悪なセリフも多いキャラクターです。
8月26日に放送された特別編『恋のおしまい』では、水季と共に主役を務めることに。水季との淡い恋が描かれ、切ない恋心に揺れる2人を古川さんと見事に表現しました。このトリッキーな役である津野を、池松さんが抜群の演技力で見せたことで、ドラマはまとまりを見せました。
そして、2024年9月13日から公開した映画『ぼくのお日さま』も傑作です。池松さんの主演映画で、元フィギュアスケート選手の荒川を担当。まだ公開している作品なのでネタバレは避けますが、荒川を中心としてフィギュアスケートを学ぶ少女・さくら、吃音をもつ少年・タクヤの関係が描かれます。
3人の儚くも尊い関係性が切なく、涙なくしては見られない映画として人気に。さまざまな事情を抱えながら、フィギュアスケートを通じて描かれる少年・少女の恋の物語が美しい風景と共に映し出される作品です。
池松さん演じる荒川は、温かくやさしいまなざしでさくらとタクヤを見守ります。荒川自身の過去にもさまざまな事情があるのですが、池松さんのころころと変わる表情が見どころです。
かと思えば、こちらも絶賛公開中の映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』では、残虐過ぎる殺し屋・冬村かえでをハードに熱演。『ベイビーわるきゅーれ』シリーズは、女子高生殺し屋コンビの杉本ちさと(髙石あかり)と深川まひろ(伊澤彩織)のゆるゆる脱力系な日常と、キレキレなハードアクションが注目を浴びている作品です。
スタントパフォーマーとして世界的に有名な伊澤さんのアクションが話題になっていますが、今回の池松さんの冬村もすさまじいもの。これまで、さまざまなアクション作品で、見事なパフォーマンスを見せてきた池松さんらしく、サイコパスで攻撃的な性格の冬村はピッタリです。シリーズ最大のライバルとして君臨し、荒川を演じていた俳優とは思えない、血みどろの演技で観客を興奮させます。
2023年には独立も……今後の活躍にさらなる期待
今年だけでも、『海のはじまり』『ぼくのお日さま』『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』と、とにかく話題作に出演している池松さん。しかも、それぞれで主要キャラクターを演じ存在感を見せつけています。天才子役と言われ、これまで数多くの名作に参加した池松さんも2024年7月で34歳。2023年8月末日には、長く所属したホリプロを退社し独立しているだけに、今後の活動にもますます注目が集まります。まずは、2024年11月8日から公開する主演映画『本心』で、どんな演技を見せてくれるのか期待しましょう。
この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。