若い視聴者の中には、『海のはじまり』の津野晴明役や、『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』の冬村かえで役にて池松さんを知り、その演技力の高さに魅了された人もいると思います。
そこで、俳優として常に話題を集め続ける池松さんについて、この記事ではこれまでの仕事を振り返り、その魅力を紹介。今後注目すべき俳優である「池松壮亮」について、人気の秘密に迫っていきたいと思います。
過去にはトム・クルーズ主演のハリウッド映画にも出演
まず、池松さんのプロフィールからおさらいしていきましょう。1990年7月9日生まれの池松さんは、2001年に劇団四季のミュージカル『ライオンキング』で俳優デビューします。子役として活動を開始すると、2003年にはトム・クルーズ主演のハリウッド映画『ラスト サムライ』 で重要な役の少年・飛源を演じて一躍有名に。さらに、映画『鉄人28号』で主人公・金田正太郎役に抜てきされ、いわゆる天才子役として知名度を獲得していきます。
その後は、演技派として頭角を現しはじめ、2014年には『愛の渦』『紙の月』『ぼくたちの家族』など8作品に出演し、「第38回日本アカデミー賞」で新人俳優賞を受賞。映画だけでなくドラマでも人気で、『宮本から君へ』(テレビ東京系)、『オリバーな犬、 (Gosh!!) このヤロウ』(NHK総合)、『季節のない街』(ディズニープラス)といった、個性的な作品で主演を担当し、高い評価を受けています。
“天才俳優”池松壮亮の演技を堪能できる名作3選
子役時代から話題作に出演し続け、天才俳優としての才能を見せてきた池松さん。そんな池松さんの才能を感じられる作品を、独断と偏見で三つ紹介します。まず一つ目は、2014年に公開された『紙の月』です。宮沢りえさんが主人公・梅澤梨花を演じた作品で、池松さんは梨花と不倫する年下の大学生・平林光太を担当しました。
光太は何を考えているのか分からない不思議な雰囲気を醸し出し、独特な色気で梨花を誘惑。いつの間にか、光太との不倫関係に溺れた梨花が巨額の横領事件を起こすことになります。
何ともいえない色気を持つ光太は、池松さんのビジュアルともマッチしてハマり役に。年下の大学生としてさまざまな顔を見せる光太の演じ方が素晴らしく、梨花が闇に引き込まれてしまうのも納得できるような魅力を表現しています。
さらに、2018年に放送されたドラマ『宮本から君へ』では主演を担当。ヒロインが蒼井優さんという間違いない作品で、2019年には映画版も公開。双方で池松さんは主人公・宮本浩を演じています。
同作は新井英樹さんの漫画が原作で、宮本は漫画の主役らしい無器用ながら実直で真面目な破天荒キャラクター。蒼井さん演じる年上の恋人・中野靖子と交際し、王道のラブストーリーのような展開で物語は進みます。
しかし、途中からは衝撃的な性暴力なども起き、作品は大どんでん返しを繰り返す構成に。実写化が難しいと言われたすさまじいテンションの宮本を、池松さんはアクションシーンも体当たりで見事に演じています。
そして、最後は2023年に公開され大ヒットした『シン・仮面ライダー』。多くの人が見たであろう映画ですが、池松さんは主人公「本郷猛/仮面ライダー」を担当しました。圧倒的な知名度を持つ作品のリメイクで、しかも鬼才である庵野秀明監督作品という、信じられないようなプレッシャーがかかる映画で、池松さんは見事に座長として活躍します。
説明不要かもしれないですが、この作品では過去の『仮面ライダー』よりも幸福、善悪、暴力といったさまざまな心のゆらぎへの問題定義が行われました。また、庵野監督の撮影方法が特殊で、池松さんをはじめとした俳優陣は何度もリテイクを繰り返したとされています。
本郷猛を演じる際は常に葛藤している演技を見せ、仮面ライダーになると制御できない暴力性が出る……そんな難しい役は、池松さんでしか実現不可能だったのではないでしょうか?