今回、お話をうかがったのは、カンボジア人男性・サムさん(仮名)。2020年10月に来日し、在住歴はちょうど4年になります。カンボジアの首都、プノンペンから車で2時間ほどの距離にあるタケオ州出身です。
「日本人は、年配や上司に対して丁寧すぎる」
日本で材料工学を学び、カンボジアに戻って教育や研究で出身国に貢献したいと考えて来日したというサムさん。「技術、科学の教育において、日本は世界でトップの1つだと思っています」と言います。そんなサムさんが、仕事の面で気になったことがあるそうです。「日本人は、年配や上司に対して丁寧すぎると思います。リスペクトしすぎ、と感じることがよくあります。一緒に外出したり、プライベートで上司に会った時も、お別れの際に何回もおじぎしていたことを不思議に思いました」と言います。
さらに、「日本の場合は、上司より先に帰るのはよくないという風潮があると聞いたことがありますが、カンボジアではそんなことは一切ありません。かと言って、上司をリスペクトしていないというわけではありません」と続けました。
日本は「田舎でも必ずスーパーがある」
サムさんが、日本に住んでいて「便利だ」と思うことは、「公共交通機関の利便性」とのこと。「カンボジアでは車やオートバイを使うので、主にオートバイで道が渋滞することがよくあります。日本では、多くの人が公共交通機関を利用するし、選択肢が多いので便利です」と話してくれました。また、「日本では、田舎でも必ずスーパーがあることは便利だと思います。カンボジアでは、都会にいかないとスーパーがないので、いつも遠出していましたし、アクセスが大変でした」とのことで、都市でなくても生活利便性が高いと感じたそうです。
「友人の助けが必要」“言葉の壁”を感じることも
一方、日本に住んでいて「不便だ」と感じたことは、「日本語が分からないのに、役所から日本語の書類が送られてくることです。全てが日本語なんです。少しでも英語が書かれていたら……と思いました」と話してくれました。そんな時は友人に助けてもらうのだそうです。「インフラ関係で電話しても、日本語ができないので困ります。言語の壁は、特に電話越しだと大変だと感じます」とも明かし、特に役所を通す手続きにおいて、“言葉の壁”を感じることが多いのだと言います。
カンボジアで見ていた日本のアニメは『ドラえもん』
サムさんに、日本の好きなところを聞くと、「すしが好きです。特にサーモンや脂がのっているトロ。そばも好きです」と回答。カンボジアでは、日本のアニメが流行していて、アニメ『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日系)の人気も高く、サムさんも見ていたのだそう。
「日本のアニメは友人がよく見ていたし、『ドラえもん』も見ました!」
“戦隊もの”は特に気に入って見ていたのだそう。「幼少期は、変身や合体する時がカッコよくて好きでした」と話してくれました。
「大丈夫です」は困ったとき、ひと言で解決できる便利な日本語
最後に、サムさんが「好きな日本語のフレーズ」を聞くと、「『大丈夫です』が好きです」と言います。好きな理由は、「相手が何を言っているか分からない時とか、店の人に何か聞かれた時でも、『大丈夫です』を使うと一発で解決するので役に立っています」とのこと。本当に大丈夫な状況なのかどうかはさておき、「大丈夫です」は、サムさんが“言葉の壁”に当たったとき、とりあえず切り抜けるという役割も果たしているようです。